聞いたことのない料理名がメニューにあったとき、写真が載っているとちょっと安心しますよね。ですが「おしゃかこごり」という名前と写真から連想できたのは、およそ料理とは程遠い「もしかしたらおしゃかって、あのお釈迦様?」だけでした。
今回は、山梨県の不思議な名前の郷土料理に挑戦します。味の予想もつきませんので、とにかく作ってみました!

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この記事は、「農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリスト」という肩書で活動している山本謙治さんことやまけんさんが、『家の光』で2021年12月号~2024年4月号まで連載していた「やまけんのニッポン郷土食遺産」を参考にしています。

『家の光』はJAグループである家の光協会が、農家向けに毎月発行しているファミリー・マガジンで、今から100年以上前の大正14年(1925年)に創刊しました。「食と農」「暮らし」「協同」「家族」という4つの柱を基本に、JA組合員をはじめ地域の人々の暮らしに役立つ情報を掲載しています。

今回挑戦するのは、山梨県身延(みのぶ)町で生まれた郷土料理の「おしゃかこごり」。一見不思議なネーミングですが、おしゃかはお釈迦様のこと、こごりは漢字で「凝り」と書くように、固まりのことを言います。こごりはどうやら山梨の方言らしいのですが、「煮凝り(にこごり)」など普段から使っている言葉なので、「え?方言だったの?」と思ってしまいました。丸く固めた表面に大豆のゴツゴツした見た目がまるでお釈迦様の頭のようなので「おしゃかこごり」というそうです。

名前の由来には納得したものの、味の想像がつきませんので、さっそく作ってみましょう!

山梨県身延町の郷土料理「おしゃかこごり」の材料と作り方
※今回はやまけんさんの記事と、山梨県ホームページを参考にして作りました。

【材料】※5~6人分
大豆…120g

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大豆は一晩水に浸けて戻しておきます。

上新粉…100g
薄力粉…100g
砂糖…70g
塩…適量
熱湯…200ml

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【作り方】※調理時間:50分
1. フライパンに大豆を入れ、弱火で15分ほど香ばしく煎ります。

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水分をしっかり含んだ大豆ですので、フライパンを常に動かしながら煎らないとすぐに焦げてしまいます。
レシピによっては水で戻さずに煎ってから煮る作り方もあるようです。

2. 大豆がかぶるくらいの熱湯(分量外)を加えて5分ほど中火で煮て、粗熱が取れたら皮を剥きます。

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わたしは個人的に豆の皮が好きなので、今回は剥かないことにしました。剥くか剥かないかは好みで判断してください。

3. 大豆の粗熱を取っている間に蒸し器を用意します。
一段目に水を入れて火にかけ、二段目に大きめに切ったクッキングシートを広げておきます。

ついでに手を濡らす水をボウルに用意しておくと、後で焦らずにすみます。

4. 鍋に上新粉、薄力粉、砂糖、塩を入れ、ざっくりと混ぜます。

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5. 熱湯を加え、全体を弱火にかけてよくこねます。

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6. 生地が重くなってきたら大豆を加えてなじませ、ヘラに付いて落ちないぐらいの固さになるまで練ります。

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生地の量に対して大豆の量がかなり多いようにも感じますが、名前の由来であるお釈迦様の頭を思い出すとかなりゴツゴツしていますので、大丈夫なんじゃないかな?と自分に言い聞かせながら練りました。

7. 手を水で軽く濡らし、ピンポン玉くらいに丸めて、蒸し器のクッキングシートの上に並べます。


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8. 蒸し器で約15分蒸し、器に盛りつけて出来上がりです。

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表面がいい感じに乾いたところでひとつつまんで口へと運んでみると、もちっとした生地の歯ごたえと大豆のしっかりした食感がほぼ同時に感じられ、そのまま噛んでいくと大豆特有の甘味と生地に混ざった砂糖の甘味が加わってきました。

生地の粉の約1/4が砂糖ですので、かなりの甘さを覚悟していたのですが、思っていたほど甘味が強いわけではなく、ちょうどいい甘さに感じられました。おそらく大豆がたくさん入っているせいだと思いますが、おいしくてそのまま続けていくつも食べてしまいました。

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毎年4月8日はお釈迦様の誕生日とされていて、それを祝う「灌仏会(かんぶつえ)」という行事が行われます。別名を「花まつり」とも言いますが、その日に、お釈迦様の仏像におしゃかこごりをお供えし、それを食べるとお釈迦様のように知恵が授かるという言い伝えのある地域もあるそうです。

大豆を水で戻したり戻さなかったり、大豆を煎ったり煎らなかったり、いろいろなレシピがあると書きましたが、あられを入れたり、生地を牛乳でのばしたり、地域や家によってずいぶん違いがあるようです。普段私たちが作る食事も、家庭によって作り方や味が少し違いますので、それと同じことなのかもしれません。

祭りと紐づいた郷土料理ですので、そう簡単に廃れることはないと思われます。山梨県が次世代への継承に取り組んでいる郷土食「やまなしの食」全176品目の中で、さらに代表的な「特選やまなしの食」47品目のひとつに認定されているくらいですから、人々の思いが込められた郷土料理なのだと思います。ちなみに小学校の調理実習でも作っているそうですので、末永く受け継がれていくに違いありません。

おいしい大豆の味がしっかりと感じられる郷土料理ですので、ぜひ作って味わってみてください!

参考Web
山梨県ホームページより「やまなしの食データベース おしゃかこごり」
https://x.gd/YccuA

山本謙治さん プロフィール農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリスト。
学生時代にはキャンパス内に畑を開墾して野菜を生産し、卒業後は畜産関連の調査・コンサルティングの仕事や流通業を経て会社を設立。農業・畜産分野での商品開発やマーケティングに従事する傍ら、日本全国の食を取材して地域の郷土料理や特産物を、書籍やテレビを通じて一般に伝える活動を続けている。
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