管理栄養士のともゆみです。春野菜の「ふき」。
水煮になっているものを買ったことはありますが、生のふきを手にしたことはかつてなく、わたしにとっては未知の領域。「ニチレイフーズ」のホームページにふきの茹で方や処理の仕方、保存や冷凍までを網羅したメソッドが紹介されていたので、この際挑戦してみたいと思います。果たして味は水煮のものと違いがあるのでしょうか?

【新玉ねぎの保存】冷蔵なら茶色い薄皮は剥いておく⁉冷凍しても生食できる⁉冷凍で加熱時間が短縮⁉

「ニチレイフーズ」のホームページに「ほほえみごはん」というサイトがあります。そこで食材の保存の仕方や野菜の下処理方法などが詳しく紹介されています。

ふきは収穫後から時間とともにアクが強くなっていくので、手に入れたらできるだけ早く茹でるのが基本です。茹でた後は、水に浸けて冷蔵保存(保存期間は1週間)するか、冷凍なら1か月保存できます。
ふきを色よく茹でる方法や皮剥き方法も紹介します。

ふきの下処理方法(茹で方)

1.フライパンの直径よりもやや短めにふきを切ります。できるだけ長い方が皮を剥く手間が少なくて済みます。切ったら塩(ふき6~8本に対して大さじ2弱)を振って板ずりします。手のひらを使ってふきを転がします。ふきの色がきれいに出て、アクが染み出しやすくなります。


【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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2.フライパンに深さ2cmほどの湯を沸かし、ふきを重ならないように入れて茹でます。茹で時間はすぐに調理する場合や冷蔵保存する場合は、細いふきで約3分、太いふきで約5分。冷凍保存する場合は細いふきで1分、太いふきで3分です。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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3.茹で上がったらすぐに冷水に取り、余熱で火が入りすぎるのを防ぎます。途中水を交換しながら芯までしっかり冷まします。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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4.皮を剥きます。
ふきの太い方の先端に浅く包丁を入れ、薄皮を少し剥きます。ふきを回しながら1周分剥きます。皮の先を揃えてつまみ、一気に下まで引いて皮を剥きます。わたしはそのやり方でうまくいかなかったので、先端に浅く包丁を入れたら下まで一気に剥くというのを1周しました。包丁でちょっと剥くと一気に剥けて気持ちがいいです。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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5.ふきを食べやすい長さに切り、保存容器にふきと水を入れます。
そのまま冷蔵庫で一晩さらしておくと、アクが抜けて食べやすくなります。冷凍保存の場合は、この5の工程は省いてもいいです。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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ふきの冷蔵保存

保存容器にふきをひたひたの水とともに入れて冷蔵庫へ入れます。水を毎日取り替えると、ふきがきれいに保てます。保存期間は約1週間です。冷蔵保存ならふき特有の食感をキープできます。


生のふきで作ったお味は?「煮浸し」を作ってみた。

さっそく作って食べてみます。煮浸しを作ります。だし汁200ml、薄口しょうゆ小さじ1、みりん小さじ1、塩少々を煮立たせたところへ下処理をしたふき100gを入れます。弱火で5分煮たら出来上がりです。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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あ、おいしい。
ふきのとうを思わせる風味で、シャキシャキした食感が心地いいです。やはり売っている水煮のふきとは味も香りも歯ごたえも全く違いますね。こんなにおいしいなんて感動です。今後は春になったら毎年作ろうと思います。

ふきの冷凍保存

【冷凍方法】
基本の茹で時間より短めにふきを茹で(細いふきで1分、太いふきで3分)、皮を剥いておきます。表面の水分をキッチンペーパーで拭き取り、ラップで小分けに包みます。ジッパー付き保存袋に入れ、金属製のバットにのせて急速冷凍します。冷凍庫で約1か月間保存可能です。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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【解凍方法/使い方】
冷凍したふきは繊維の食感が若干強くなるため、煮物などがおすすめです。凍ったまま煮物や汁物に加えて調理します。

冷凍したふきを使って、冷凍しないで作ったものと同じ「煮浸し」を作ります。だし汁200ml、薄口しょうゆ小さじ1、みりん小さじ1、塩少々を煮立たせたところへ冷凍のままのふき100gを入れます。再沸騰したら弱火にして5分煮たら出来上がりです。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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冷凍したものはやはりシャキシャキ感が減り、ふにゃっとした食感になります。口の中で繊維が多少残りますが、風味は残っていて十分堪能できますよ。

調理してから冷凍するのもおすすめ。「伽羅蕗(きゃらぶき)」も作ってみた。

調理後に冷凍する方法もあります。伽羅蕗のようにしっかりと煮詰めてから冷凍すれば、食感もおいしさもキープできます。そのまま冷蔵庫で解凍して食べたり、凍ったまま刻んで炊き込みご飯の具にしたり、煮物などにも応用できたりと使い勝手もいいです。

【伽羅蕗の作り方】
下処理をしたふき250gに対してしょうゆ大さじ2弱、みりん50ml、酒50mlを鍋に入れ、中火で煮汁がなくなるまで煮ます(約20分)。今回は全て半量で作り、10分煮たところで汁気がなくなったので火を止めました。

調理済みのふきを小分けにしてラップに包みます。ジッパー付き保存袋に入れ、金属製のバットにのせて急速冷凍します。解凍するときは冷蔵庫へ入れ、自然解凍します。

【ふきの保存】板ずりの仕方や皮の剥き方、茹で方…そして美しいグリーンをキープする方法を試してみた
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調理してから冷凍したふきは、調理直後の冷凍していないふきと比較すると、ややシャキシャキ感は減り、やわらかくなりますが、最後に繊維が残ることもなく、同時に食べ比べないとわからないほど冷凍したかわからなくなっています。味は冷凍していないものと同じで、おいしく食べられます。

ふきについて

ふきは数少ない日本原産の野菜で、食用とする部分は葉柄と呼ばれる茎の部分。独特の香りとほろ苦さが特徴で、煮物や伽羅蕗、炒め物などにします。栄養成分はあまり多くなく、カリウムや食物繊維が多めです。カリウムには余分なナトリウムの一部を体外に排出する働きがあり、高血圧予防に欠かせない成分のひとつです。食物繊維は便秘の予防・改善に働きます。

生のふきを買ってきて料理するのは初めてでしたが、難しい工程はなく、わたしでもできました。思っていたほど手間もかからず、こんなにおいしいなら毎年作りたいと思いました。やはり冷凍せずに食べるのがおいしいですが、冷凍する場合は調理してからの方が断然おすすめです。参考にしてみてくださいね。

参考文献:
からだのための食材大全 監修者 池上文雄 他 NHK出版
春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典 監修 吉田企世子 エクスナレッジ