2023年には完結編を控えているアニメ『進撃の巨人』。2013年から放送されてきた本作、OPの雰囲気もどんどん変わっていることに気づいていましたか? 音楽ライターがその変遷をご紹介します。

いよいよアニメも佳境に突入し、2023年にはTheFinalSeason 完結編を控えているアニメ『進撃の巨人』。
ド迫力の戦闘シーン作画や声優さんたちの迫真の演技など、原作の物語に加え様々な面からも多くのファンに支持を得ている本作ですが、『進撃の巨人』のアニメをより魅力的にしている要素のひとつにストーリーを彩ってきた音楽の存在も大いにあることでしょう。ガチオタク兼 音楽ライターとしても活動している筆者が紹介する本シリーズ。今回はそんな『進撃の巨人』を主題歌の面から解説します。壮大な物語に華を添える音楽にも、実は『進撃の巨人』の物語の変遷が色濃く反映されていた?
『進撃の巨人』OPの変遷は物語のカギ?勇敢な「紅蓮の弓矢」か...の画像はこちら >>

CD『自由への進撃』(『紅蓮の弓矢』収録)

via CD『自由への進撃』

重厚な『紅蓮の弓矢』で開幕。人類の勇ましさが表れていた

人々の生活を脅かす脅威の生命体・巨人と人類の闘争を描いた『進撃の巨人』。
主人公・エレンを始めとした調査兵団の面々が、壁の中の小さな世界で大事な人たちを守るための戦いの物語でもあった本作。
そのアニメ主題歌と言えば、やはり初代のLinked Horizon『紅蓮の弓矢』を思い浮かべる人も多いことでしょう。

大迫力のサウンドとドイツ語なども交えた歌詞で、作品の世界観をこれ以上ない程に見事に描ききったこちらの楽曲。Linked Horizonはこの楽曲で初のNHK紅白歌合戦にも出場し、アニメと併せ幅広い世代にその存在を知られることともなりました。

紅蓮の弓矢

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それ以降『自由の翼』『心臓を捧げよ!』など多くの楽曲を手掛け、『進撃の巨人』主題歌とは切っても切れない存在となったLinked Horizon。
その大きな特徴としては、やはり物語の舞台でもある中世ヨーロッパを思わせる調査兵団の雰囲気を投影した、勇猛かつ壮大な重厚感を感じさせるオーケストラ楽曲です。当初『進撃の巨人』という物語は、巨人という理不尽で大きな力にそれでも必死に足掻いて対抗する、人類の勇気や英知の賛美がテーマのようにも思われていました。

小さな壁の中で暮らす人々は非力で、到底自分たちの何十倍も大きな巨人には叶いません。
それでもいつかこの巨人を殲滅し、人類の勝利と平和を掴むために。それを目指すエレンや調査兵団たちの気概が、主題歌にも大いに反映されていました。またLinked Horizonの楽曲だけでなく、YOSHIKI feat. HYDEの『Led Swan』やcinema staff『great escape』にはそんな「勇ましさ」が。そして神聖かまってちゃん『夕暮れの烏』や日笠陽子『美しき残酷な世界』などには、物語の「不条理さ」が詰め込まれています。

その二つの要素が、これまでの『進撃の巨人』のアニメ主題歌に関する重要なポイントであったとも言えるでしょう。

【YOSHIKI feat. HYDE】Red Swan -Anime MV-【進撃の巨人】【Attack on Titan】

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勇ましさから“困惑”や“混沌”へと変化した『僕の戦争』

巨人VS人類の戦争に内包された「勇ましさ」「不条理さ」が大きな物語の要素であった『進撃の巨人』。
しかし本作の主題は、ちょうどアニメ4期からのストーリーで大きな転換点を迎えます。


巨悪であった巨人は、実は自分たちと紙一重の存在であった事。巨人の力を内包したパラディ島に住むエルディア人全体が、世界中から迫害される人種であったという事。
エレンたちの悲願であった壁の外の世界。人生で初めて目の当たりにした大海原の向こうで彼らを待ち受けていたのは、これまでの比にならないほどの苦難の連続でした。

僕の戦争

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打倒巨人の悲願の中で一致団結していたエレンたち人類は、自分たちを取り巻くより大きな世界と大勢の人々の中で、少しずつ思想や理想に食い違いが起こり始める形に。
自分は何のために、一体誰と戦うべきなのか。一人ひとりの正義が問われ始めるアニメ4期からの物語の変化が、今作を彩る主題歌にももちろん反映されています。


アニメ4期1作目のオープニング主題歌となった神聖かまってちゃん『僕の戦争』には、楽曲タイトルから非常にストレートなメッセージが込められていますね。今後物語においての戦いは「僕たちの」ではなく「僕の」戦争であるという、非常にパーソナルな要素が内包されているようにも感じられます。さらに今回新たに主題歌となったSiM「The Rumbling」は、ワールドワイドに熱い支持を受ける彼らのヘビーなバンドサウンドが、『進撃の巨人』の世界観とも見事にマッチ。
また歌詞や公式MVも、アニメの先の展開を如実に反映した楽曲として、ファンの間でも大きな注目を浴びています。

SiM - The Rumbling (Anime Special Ver.)

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どちらの楽曲もこれまでの主題歌に比べ、迫力や壮大さはそのままに、より不穏で、ややもすれば血生臭い雰囲気を纏うサウンドに。
その変化からは、転がり始めてしまった運命に対するエレン達の「困惑」「混沌」が、ひしひしと感じられることでしょう。

巨人という未知の存在との戦いが、人と人の正義のぶつかり合いという、よりリアルで現実世界にも肉迫した戦いへ。

そんな物語のテーマの変遷が、本作の主題歌にも明白に現れているのは非常に興味深い点とも言えますね。

主題歌に反映された壮大な物語の変遷

巨人との不条理な戦い、そして人間同士の正解のない正義をぶつけあう戦い。
平和な暮らしを手に入れるため、大事な人を守るため、自分の信念を貫くため。『進撃の巨人』では終始何かを手に入れるための戦いが描かれていますが、その戦いの向かう矛先によって、物語のカラーはここまで大きく変わります。

狭い壁の中から広い世界へと舞台は広がりますが、ストーリーの本質は一般的な大義名分からよりパーソナルな、個々人のテーマへ。その対極的な変化も、作品の面白さをよりぐっと増しているポイントです。そんな『進撃の巨人』の物語の行く先を、大迫力のアニメ作画、そしてストーリーのテーマを色濃く反映した音楽や楽曲と共に。
あわせてぜひ、最後まで楽しんで頂ければと思います。(執筆:曽我美なつめ)

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TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season 作品情報

■放送情報
TVアニメ「進撃の巨人 The Final Season」第76話「断罪」NHK総合にて2022年1月9日(日)24時5分放送開始!

■イントロダクション
「その巨人はいついかなる時代においても、自由を求めて進み続けた。
自由のために戦った。名は――進撃の巨人」
ついに明かされた壁の外の真実と、巨人の正体。
ここに至るまで、人類はあまりにも大きすぎる犠牲を払っていた。
それでもなお、彼らは進み続けなければならない。
壁の外にある海を、自由の象徴を、まだその目で見ていないのだから。
――やがて時は流れ、一度目の「超大型巨人」襲来から6年。
調査兵団はウォール・マリア外への壁外調査を敢行する。
「壁の向こうには海があって、海の向こうには自由がある。ずっとそう信じてた……」
壁の中の人類が、初めて辿り着いた海。
果てしなく広がる水平線の先にあるのは自由か、それとも……?
エレン・イェーガーの物語は、新たな局面を迎える。

■スタッフ
原作:諫山 創(別冊少年マガジン/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸 友洋
総作画監督:新沼大祐 / 秋田学
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:大西慈
美術監督:小倉一男
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:奥納基 / 池田昴
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:KOHTA YAMAMOTO / 澤野弘之
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
制作:MAPPA

■キャスト
エレン・イェーガー:梶 裕貴
ミカサ・アッカーマン:石川由依
アルミン・アルレルト:井上麻里奈
コニー・スプリンガー:下野 紘 
ヒストリア・レイス:三上枝織
ジャン・キルシュタイン:谷山紀章
ライナー・ブラウン:細谷佳正
ハンジ・ゾエ:朴 璐美
リヴァイ・アッカーマン:神谷浩史
ジーク・イェーガー:子安武人
ファルコ・グライス:花江夏樹
ガビ・ブラウン:佐倉綾音
ピーク・フィンガー:沼倉愛美
ポルコ・ガリアード:増田俊樹
コルト・グライス:松風雅也

■■More Information■■
The Final Season公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season Part 2 PV第2弾

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