連載:俺のクルマと、アイツのクルマ男にとって車は名刺代わり。だから、いい車に乗っている人に男は憧れる。
じゃあ“いい車”のいいって何だ? その実態を探るため「俺よりセンスいいよ、アイツ」という車好きを数珠つなぎに紹介してもらう企画。
【写真17点】「メルセデス・EQA」の詳細写真をチェック■29人目■石塚光明さん(48歳) イシヅカミツアキ。コリコアソシエーション代表。マーケティングファームにて15年間勤務し、2011年に独立。キャンブロ社の正規代理店や企業の商品企画、コンサルティングなどその守備範囲は多岐に及ぶ。これまでの車歴はトヨタのマークIIワゴンや、ホンダ・HR-V、Gクラスなどすべてサンルーフが備わっている。
www.koriko.netメルセデス・ベンツ・EQA 同社のコンパクトSUV、GLAと同じ姿をした電気自動車。2021年4月から日本でも販売されている。満充電での航続可能距離は410km。衝突被害軽減ブレーキや、半自動運転機能を含む先進安全運転支援機能「インテリジェントドライブ」、音声だけでさまざまな操作ができる「MBUX」を標準装備。--{}--
Gクラスからの買い換えで、たどり着いたEQA
「充電状況を確認できるんですよ」とスマートフォンを見せてくれる石塚さん。EQAは単に電気自動車なだけじゃなく、あれこれ新しい。
「スマホでドアロックもできるし、ロックし忘れたかどうかもコレを見ればすぐわかるんです」。
「スマホでドアロックもできるし、ロックし忘れたかどうかもコレを見ればすぐわかるんです」。
もともと乗っていた’94年式のメルセデス・ベンツGクラスのメンテナンスでパーツ探すのに時間がかかることもあって、次に買うならメンテナンスが楽なのが良いと考えたのが、EQA購入のきっかけだ。長く乗りたいからなるべく新車で選ぶことにした。エンジン車と電気自動車のどちらかにするかも、友人たちに相談。中には「電気自動車はまだ早いかもよ」と否定的な意見もあったという。
「いろいろ意見を聞いているうちに、自分には電気自動車が合うなと思い始めたんですよ。オイル交換とかないし。ガソリンスタンド行かなくて良いし。iPhoneみたいに充電出来るのも最高かなって。内燃機関を選ぶのでもなく、両方備えたハイブリッドでもなく。どうせなら振り切って『まだ早いよ!』って言われるうちにあえて電気に行くのが自分らしいかなと(笑)」。 とはいえ最近では電気自動車の選択肢もだいぶ増えてきた。その中でなぜEQAだったのだろう。
「やっぱり車はドイツ車か日本車だろうと思って。そこでやっぱり憧れのメルセデス・ベンツかなと。そのEV車ってカッコいいかなって」。メルセデス・ベンツにはEQCもあるが、自宅の駐車場に収まり、妻も乗れて……と考えていったらEQAという選択がいちばんしっくり来た。
センスの良いモノを“使い続ける”格好良さ
「まだ早い」という友人の言葉が「それは買いだ」と聞こえた石塚さん。それには石塚さんの性格だけでなく、仕事も関係しているかも知れない。
主に企業の商品開発やプロモーションを手掛ける会社を約10年前に起業した石塚さん。例えば名古屋の東山動物園での商品開発をしたときは、いろいろなアーティストとコラボしたアイテムの物販以外にも、園内の紙コップなどの副資材も開発。「紙コップ、プラカップは洗って持ち帰る人もいたりして、ちょっとゴミが減ったりしたのも良かった。僕も海外とかで可愛いなと思うとたまにやりますもん、大事に紙コップ持ち帰り。そんなことを動物園でやってみたかったんです。ガチャガチャは子供が買えるお土産を作りたくて。でも安っぽく見えないピンバッジを作るためにハイブランドのアクセサリーなどもめちゃくちゃ見て研究しました。
どちらも花井祐介さんにアートワークをしてもらって、最高に可愛いですよ」。結果的に購入数を制限するほど人気が出た。これらのグッズ人気はもちろん、入場者を増やすことにも繋がっている。
来園者が紙コップを思わず持ち帰りたくなる理由や、何度もガチャガチャのレバーを回したくなる理由は、ココでしか手に入らない+思い出という魅力があるからこそと石塚さんは言う。「オンラインで何でも買える時代だからこそ、わざわざ行かなきゃ買えないのが新しいのかな?(笑)」。
以前、とある会社で同様の仕事をしていたという石塚さん。最初は50人ぐらいの会社だったが、昼夜働く頑張りで、やがて上場を果たす。「その頃は働いていてめちゃくちゃ楽しかった。やり甲斐もあったし、寝なくても全然余裕だったし、むしろ家帰らないで働きたい的な(笑)」。そんなときに仕事で知り合った人から「セールスプロモーションのグッズって、要らない人にとってはゴミを作っているのと一緒」と言われたことがある。
自宅の玄関前に設置された充電器。自宅には高効率で環境に優しいエネファームも備わる。
自宅の玄関前に設置された充電器。自宅には高効率で環境に優しいエネファームも備わる。
石塚さんは「最初はビックリしたけど。なるほど、確かにそういう側面もある」と納得したという。これが東山動物園での“捨てずに持ち帰りたくなる紙コップ”にも繋がっていくのだが、ともかくその人の考え方に惹かれ、付き合いを深めていく。「丈夫で、センスの良いモノを使い続ける」という格好良さはその人に学んだという。これが独立のきっかけになった。
「もともと田舎者ですし、自然遊びをするので、地球環境のためにとは思っていますが、積極的な環境運動や活動まではしていません。でも、これからの時代を作っていく我々には、環境に優しいとかサステイナブルといった意識が不可欠だと絶対思いますし、そんな仕事をしていたいなと思います」。--{}--
何がカッコいいか、似合っているかを、しっかりと持っている
現在は先述のような企業のセールスプロモーションや商品開発をメインに、キャンブロ社の業務用テーブルウェアの代理店も務めている。
優れた保温保冷性の強化発泡スチロールで作られたドイツ製キャンブロ社のクーラーBOX。抜群に軽いのに、人が乗っても大丈夫だ。
優れた保温保冷性の強化発泡スチロールで作られたドイツ製キャンブロ社のクーラーBOX。抜群に軽いのに、人が乗っても大丈夫だ。
「キャンブロは耐久性がとても高い、アメリカの業務用ブランドです。世界中の大手ホテル業界や、州立大学の学食、病院、軍など公的機関の定番。
丈夫でずっと長く使えるから、環境にも優しいし、キャンプなどにもめちゃくちゃ使えて、プロユースなのでカッコいい。このクーラーBOXはドイツ製プロダクトっていうところも最高です」。
考えてみれば、現代には生産地も値段もさまざまな商品が溢れている。「そんな“いろいろあって選べる時代”に“何をあえて選ぶか”ということを大事にしています。自分にとって意味のある一軍だけを家に連れて帰って、ガンガン使いたい」と石塚さんは言う。モノの洪水に揉まれても、自分の中で何が自分にとって格好いいか、似合っているかをしっかりと石塚さんは持っている。ところでGクラスはその後どうしたのだろう?「それが手放せなくなっちゃって(笑)」。電気自動車だから、やっぱり航続距離が不安?
「いえ、この前もEQAで静岡まで途中充電をしなくても往復できましたから、特に航続距離に不満はないです。それよりも買ってからわかったんですけど、ルーフキャリアを付けるとガラスルーフが干渉して開けられなくなるんです」。
大きなサンルーフは、電動で開閉が可能。
大きなサンルーフは、電動で開閉が可能。
何しろスノーボードもサーフィンも大好きな石塚さん。ボードを上に載せられないのは困る。
だからといって「ルーフを開けられないのもあり得ないんです。買ってきた車すべて、サンルーフ付きにしているくらい、好きなんです」。なので、
アウトドアライフを満喫するためにこれまでのGクラスが手放せなくなったという。
環境に優しいEQAと、長く付き合えるサステイナブルなGクラス。そのどちらもやっぱり、石塚さんには似合っていると思うのだ。