
YUSUKE TAKEI●25年に亘りエア フォース 1を集め続け、SNKRSでも紹介されたナイキ公認のコレクター。600足以上を誇るコレクションは現在も増え続けており、ありとあらゆるモデルを知り尽くしたエア フォース 1マスターといえる。
【1足目】オリジナル(1982年)

1982年に発売された最初のモデル。すべての歴史はここから始まった。
「エア フォース 1を語るうえで、まずこの一足を外すわけにはいきません。1982年に発売されたエア フォース 1のファーストモデルです。白のアッパーにシルバーのスウッシュを配した最初期モデルは、通称“エア フォース ゼロ”と呼ばれています」。

当時のモデルはヒール部分にスウッシュが付かない。
手に入れたのは20年以上前、購入金額は発売当時の値段よりやや安い2万円ほどだったという。いまでは骨董品のような存在で、めったに市場に出回らない超レアな一足だ。エア フォース 1の原点にしてオリジナル。すべての歴史はここから始まったといっても過言ではないルーツオブルーツである。【2足目】インディペンデンス デイ(1997年)


メタリックブルーの輝きがハイテク感を加速させる。
「エア フォース 1は、ハイカットが’82年、ローカットが’83年、そしてミッドカットが’94年に初めて登場しました。’90年代はハイテクスニーカーブームだったので、尖ったデザインがいっぱい出てきた時代なんです。モダンなシルエットのミッドカットも、そのハイテクの流れを汲んで生まれました。そんなミドルカットの中で、もっとも傑作と言われているのがこのモデルです」。
通称“ジュエルスウッシュ”と呼ばれる立体的なディテールもこの時代に誕生。
【3足目】白蛇(2001年)

つま先からヒールにかけてスネーク柄のプリントが施される。
「次はこれ、通称“白蛇”です。海外では“ココアスネーク”と呼ばれているモデルです。エア フォース 1って基本は単色で、ハイカットとローカットはスウッシュだけ色違いみたいなカラーパターンしかなかったんです」。

2006年、2018年と過去に2度復刻するほどの人気モデル。
【4足目】20周年記念モデル(2002年)


誇らしげに施された「20th」の刺繍。
記念すべき周年モデルゆえ、再現したデザインはかなり忠実なのだろうと思いきや……。「オリジナルをオマージュして、サイドパネルがメッシュになってはいるんですが、ベンチレーションホールは普通に付いています。これをつくった人たちはあまり細かいところまで気にしない性格だったのかもしれませんね(笑)」。
1982年のオリジナルと比較するTAKEIさん。
ちなみに、ナイキがエア フォース 1の周年として特に力を入れたのが、25周年のとき。世界中で期間限定のポップアップストアがオープンするなど大きな盛り上がりを見せた。アニバーサリーモデルを辿って歴史に触れていくというのも、40年の間、ロングセラーを誇るエア フォース 1だからこそできることだろう。【5足目】ウエノ サクラ(2004年)

ヌバック素材のプレミアムレザーにピンクのアウトソールが映える。
アッパーに描かれた模様や、専用の収納ボックスなど、明らかにほかとは違う雰囲気を放つこちらのスニーカーの正体は?「5足目は、通称“サクラ”と呼ばれているモデルを選びました。アッパーにレーザー加工で桜模様が刻印されていて、アートのような独特の存在感が特徴です」。
金のシューストッパーも豪華。
「ヒール付近に“UENO”の文字が刺繍されていますよね? このモデルはアメ横に拠点を構えるミタスニーカーズさんの提案で生まれ、上野界隈のみで2004年に発売されました。当時の定価は2万3000円程度でした。上野って、日本のスニーカーカルチャー発祥の地なんですよ。ヴィンテージとかが主流になる前、海外限定モデルなどは上野に行けばなんでも集まるという感じでしたから」。
木箱の中まで桜柄が入るスペシャル仕様だ。
海外での評価も高く、世界最大のスニーカー・ストリートファッションの祭典「コンプレックスコン(ComplexCon)」では、歴代のエア フォース 1の中で人気ランキング2位に輝く快挙を遂げた。「日本人がつくったエア フォース 1のデザインには名作と呼ばれるものが多くありますが、サクラはその代表的なモデルですね」。【6足目】「オフ-ホワイト」コラボ(2018年)

ミッドソールには"AIR"、インサイドには“Off-White™ c/o Nike® "AF1"の文字がブラックで刻印される。
TAKEIさんが選ぶ最後の一足は、人気ブランド「オフ-ホワイト」とのコラボ作だ。
インソールにはナイキとオフ-ホワイトのロゴが。
オフ-ホワイトのデザイナーだったヴァージル・アブローは昨年11月に逝去したが、彼がルイ・ヴィトン在籍時にデザインしたエア フォース 1が、サザビーズで35万ドル(約4000万円)で落札されたことは記憶に新しい。「ヴァージルが最初にコラボしたこのモデルは、エア フォース 1の35周年という節目を祝うべくお披露目されたものです。ロサンゼルスで開催されたコンプレックスコンの会場限定で発売されたこともあり、入手難度が高く、いまも探している人が多いと思います」。