
YUSUKE TAKEI●25年に渡りエア フォース 1を集め続け、SNKRSでも紹介されたナイキ公認のコレクター。600足以上を誇るコレクションは現在も増え続けており、ありとあらゆるモデルを知り尽くしたエア フォース 1マスターといえる。
【1足目】エミネム シェイディー・レコード

もともとは非売品だったモデルだが……。
マイサイズにこだわり、基本的には履き下ろすスタイルを貫くTAKEIさん。しかし、いまだ履くことができないモデルがある。そのうちのひとつが、ラッパーのエミネムが主宰するレーベル、シェイディー・レコードが2004年にプロモーションでつくったスペシャルモデルだ。
黒と白を基調としたデザイン。
サイドにはエミネムの“逆E”のロゴが入り、シュータンとヒール、インソールにはシェイディー・レコードのロゴがデザインされる。D12や50セント、オービー・トライスなど、エミネムファミリーのためにつくられたモデルは、いわゆるフレンズ&ファミリー限定という非売品だ。
ヒールカウンターには“Shady RECORDS”の刺繍が。
「これはパスオーバーで購入しました。11万円くらいだったと思いますが、僕自身、エミネムが好きだったのと、非売品が買えるチャンスがあるとは思っていなかったので即決でした。関係者のだれかが手放しちゃったものを、たまたま手に入れられた感じですね」。
「当時はこのカラーブロックが本当に衝撃的でした」。
「最初に見たとき、色合いに惹かれました。ミッドソールが白でアウトソールに色が付いているというものがエア フォースでは定番なんですけど、それが逆になっているのもいい。いまだと『NIKE BY YOU』のカスタムでカラーを自由に選べますが、まだカラーバリエーションが乏しかった頃なので、このカラーブロックは当時としてはかなり新鮮でした」。奇跡的にマイサイズを入手したものの、履くタイミングを逸し、気付けばプレミア価格になってしまった同モデル。市場価格にして100万円程度を推移するが、「その10倍積まれても自分のところに持っておきたい」と語る姿は、まさにコレクターの鏡といえるだろう。--{}--【2足目】HTM チャリティーオークション


フラグメントのサンダーロゴもオン。
「ブラックとホワイトの2色が各150足ずつ出品されましたが、私はブラックのサイズ10を12万円で落札しました。もちろんこのモデルが欲しかったというのはありますけど、そのお金が役に立つならということで。
「あとになってオールホワイトのモデルも欲しくなってきました(笑)」。
世代的に藤原ヒロシ氏の影響を大きく受けていると話すTAKEIさん。この日もフラグメントとリーバイスのコラボデニムを着用していた。「藤原ヒロシさんといったら、裏原の代表みたいな存在でしたから。『グッドイナフ』から好きで、ずっと追い続けていますね。このシューズは、フラグメントのロゴであるサークルサンダーがヒールに入っているのがたまらなくて。ついにやってくれたかと(笑)」。
インソールに施された「HTM」のロゴ。
モデル名に冠される「HTM」は、フラグメントの藤原ヒロシ、ナイキ副社長にしてエア マックスやエア ジョーダンなどを手がけた凄腕デザイナーのティンカー・ハットフィールド、そして元ナイキインク社長兼CEOのマーク・パーカーによるコラボレーション・プロジェクトの名称だ。【3足目】ビスポークのシュプリームダンクレプリカ

ビスポークでつくったオリジナルデザイン。はて、どこかで見たような?
「何百足もあるコレクションの中には市場価値の高いレアなシューズもありますが、このシューズは世界に1足だけ。自分にとって特別な価値をもっています」。そう切り出すTAKEIさんが最後に取り出したのは、自身のSNSのアイコンとしても使っているシューズ。果たしてその正体は?

スウッシュのレザーやライニングは高品質な素材をセレクト。
少し詳しい人なら、このシューズを見てピンとくるだろう。ベースとなっているのは、2002年にシュプリームとナイキがコラボしたダンクのデザインだ。「ダンクとエア フォース 1はボリューム感やシルエットの違いはあるものの、つくられた時代が近いのでデザインもある程度統一感があります。つまりダンクでカッコよければ、同じ色やデザインをエアフォースに乗せ替えても絶対にカッコいい。シュプリームダンクも持ってるんですけど、あえてエア フォースでそれが欲しいと思ってオーダーしました」。
個性的なエレファント柄は存在感大。
実は、このビスポークサービスではすでにオーダーされた内容とまったく同じデザインで新たな一足をつくることはできない。「だからシュプリームダンクのデザインを丸パクリできたのは私だけ(笑)。本当に世界に一足だけなんですよね。あと、このエレファント柄はもともとエア ジョーダン 3で使われたものなんですが、いまはジョーダンブランドがナイキから独立してしまったため、商標権をもたないナイキは同じ柄が使えません。もしまたビスポークサービスが復活しても、このエレファント柄はもう選べない。