これが「リバースウィーブ」だ!
スウェットを語るのであれば、避けては通れないのがチャンピオンの「リバースウィーブ」。絶対的な永世定番がヴィンテージ市場で今改めて脚光を浴びていると聞く。デニム、Tシャツに続く第三勢力が古着スウェット

私物を提供&教えてくれた藤原 裕さん●1977年生まれ、高知県出身。日本を代表するヴィンテージショップのひとつ、ベルベルジンのディレクターを務める。デニムへの知識はもちろん、スウェットにも造詣が深く、稀少なヴィンテージアイテムを多数所有する。
ここ数年、ヴィンテージウェアの人気が過熱していることをご存じだろうか。読者諸兄が通過したであろうヴィンテージデニムのブームはさらなる盛り上がりを見せ、レアな極上品であればクルマが買える価格での取引も珍しくない。バンドTシャツやロックTシャツのリバイバルもかつてない勢いがある。そしてもうひとつ、忘れてはいけないのがスウェットの原点的存在「リバースウィーブ」の人気沸騰だ。1998年のオープン以来、原宿の古着市場を牽引し続けるベルベルジンのディレクター、藤原裕さんはこう回想する。
「単色タグ」と呼ばれているなかでも、’70年代前半に生産されたと思われるクルーネックのスウェットシャツ。両脇に設けられたリブパネルの切り替えがリバースウィーブの証。
「チャンピオンのリバースウィーブはオープン当初から取り扱う基本アイテムのひとつ。今思えば、2000年代前半に一度、ぐっと人気の高まったタイミングがありました。あくまで古着スウェットのいちジャンルにすぎなかったリバースウィーブのなかで、一部のヴィンテージものに注目が集まったんです。’70年代に生産された『単色タグ』の付いたものだったり、それ以前の’60年代の『タタキタグ』だったり。チャンピオンは時代ごとにブランドネームタグの変遷がはっきりしていて、商品が製造された年代を容易に特定できます。それがある種のわかりやすさ、とっつきやすさとなり、ヴィンテージ好きが盛り上がる一因になっているのではないでしょうか。ベルベルジンとしては、それらの年代ものの中から、ミリタリープリントやカレッジの染み込みプリントに絞ってお客さまに提案していましたね」。
こちらが「単色タグ」。
そうした傾向も’00年代後半にはひとまず落ち着きを見せる。そして冒頭に述べた昨今のリバースウィーブ人気へ。
「刺繍タグ」のもので、プリントなしであれば胸にCのロゴが入るのが標準仕様。1次ブームでは見向きもされなかった鮮やかな色が再評価されている。
それから個人的には、リメイクブランドの影響も見逃せないと思っています。例えば、付き合いの古い友人でもある森山直樹さんがデザイナーを務める77サーカというレディスブランド。彼はもう10年ほど前かな?世間にオーバーサイズブームが浸透する前からXL、XXLのリバースウィーブを集め、リメイク・リサイズして、レディスウェアに落とし込む、ということをやっていました。
’90年代から採用されていた「刺繍タグ」。
スウェットは、元来が動きやすさを重視するアスレチックウェアとして誕生したアイテムだけに、持ち前のリラックス感がこのトレンドと合致。さらに勢いを増したのだろう。「ユース世代のモノマネではなく、リラックスウェアとして大きいサイズのヴィンテージスウェットを選ぶ。そんな流れがあったからこそ、リバースウィーブが幅広く大人の男性にも受け入れられたんでしょうね。
「単色タグ」時代のもの(下)は、それ以降のモデル(上)と比べアームが細く、ヴィンテージ感のあるシルエットだ。