ニルヴァーナTシャツの価格は5年前の倍以上?
オーシャンズ世代にとって、’90年代は⻘春のド真ん中。あのとき、夢中になって聴きまくったバンドのTシャツが、時を経てファッションアイテムになっている。それはちょっとうれしい話だが、市場価格もぐんぐん上がっていると聞くと、ちょっと⽬の⾊が変わるだろう。タンスの奥で眠っているTシャツが、数⼗万円に! なんてことも本当にあるのだろうか?
ベルベルジンの姉妹店、フェイクαでバイヤーを務める⾨畑⽒。
──まず、⾨畑さんもコレクトされているニルヴァーナのTシャツですが、今、市場価格はどうなっているのですか?「5年ほど前がピークかと思っていたのですが、下がるどころか、今はそのときより2倍ほどの値段がついているものも珍しくありません」。──たとえば、どんなプリントのものがいくらで取引されているのでしょうか?「代表的な『ネバーマインド』のジャケ写がプリントされているもので、10~15万円ぐらい。『ハートシェイプドボックス』という曲をフィーチャーしたものでは、状態やサイズが良ければ、30万円以上するものもあります」。
ニルヴァーナTの価格⾼騰は天井知らず?
──なぜ、そんなに価格が⾼騰したのでしょう?「⾃分が出した本であるとか、メディアが煽ったのも⼤きかったのかもしれません。あとは、セレブリティが着⽤したものがSNSで拡散されたり。当たり前ですが、当時(’90S)のTシャツは、市場に出回る数がもう増えませんから、価値は上がっても下がる理由がないのです」。
誰もが知っている『ネバーマインド』Tシャツは、10万円以上で推移中。状態によっては30万円越えも!

ジャスティン・ビーバーが着たことで価格が急騰した『ハートシェイプドボックス』Tシャツ。

2017年に⾨畑⽒が上梓したニルヴァーナTシャツ本『HELLOH?』。ファンの間でバイブルとなっている。
──なるほど。では、ニルヴァーナ以外のバンドTは、いかがでしょうか?「モノにもよりますが、⾼値のものは多いです。たとえば、⽑⾊は全く違いますが、ニルヴァーナと同じ’90sに⼈気だったバンド、マリリン・マンソンで高額なもので20万円弱、’80Sのポストパンクの代表格、ソニック・ユースで10万円前後の値が付くことがあります。それでもすぐに売れちゃいますね」。
マリリン・マンソンTもプリントによってかなりの⾼値が付く。

タグ付きであることも、価格が上がる要素となる。

こちらはソニック・ユースT。10万円前後に値段が上がってもニーズは⾼い。
--{}--2000年代以降のバンドやヒップホップ勢も⾼騰中 !
──これから値段が上がりそうなバンドはいますか?「’80~90sに活躍したバンドは安定していますが、徐々に2000年代前後にデビューしたバンドのTシャツも値段が上がり始めています。ホワイト・ストライプスやストロークスのものが、今は2万円代半ばぐらい。これからも上がりそうな気配ですね」。

⽬下、価格上昇中の2パックT。
──それは、バンドTに匹敵する上がり⽅ですね。「はい。さらに⾔えば、実は⾼額なのがムービーTシャツ。映画の良し悪しではなく、監督や出ている俳優などが、値を上げるポイントになっています」――な、なんと……◇ということで、次回は映画やアニメ、そしてこれまた高騰中だというアートTの可能性を探っていこう。