このお盆休みは長距離ドライブに出掛ける人も多いだろう。しかし、全国的に交通量が増える時期だからこそ、いつも以上に安心・安全な運転を心がけたいところ。


ということで、NEXCO東日本の協力のもと、これから夏を満喫する人が知らなきゃヤバい、高速道路にまつわる5つの交通ルールをご紹介しよう。


① 追い越し車線は2km未満でも違反になりうる

高速道路で「追い越し車線は2km以上で捕まる説」は本当? 知らなきゃヤバい交通ルール5選



まず、高速道路で「追い越し車線をずっと走行することは控えていただきたいと思います」(NEXCO東日本広報)。

道路交通法の第20条では、車線が3つ以上ある場合、「その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる」と定められている。

さらに「道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは」という条件で、「追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない」とある。

要するに、「やむを得ない事情で追い越しをする場合にのみ、もっとも右側の車線を通行することができる」ということだ。そもそも追い越し車線は「走行」することが目的の車線ではなく、「追い越し」が目的の車線という点をお忘れなく。

では、どれくらいの距離を走行したら違反になるのだろうか。巷では「2km」と噂されているが……。

「2kmという具体的な数字は示されていません。追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻ることが道路交通法で定められています」(NEXCO東日本広報)。

警察が2kmをひとつの目安にしている説もまったくの噂ではないかもしれないが、2km以上でも以下でも無駄に長く走行した時点でアウト。違反判定されても文句は言えないということ。

また、あおり運転事故の中には追い越し車線をめぐるトラブルが少なくない。
スピードの出しすぎを防ぐためにも、追い越しが終わったら速やかに左側の車線に戻ることを改めて肝に銘じよう。


② ほかに注意したい「追い越し」は?

高速道路で「追い越し車線は2km以上で捕まる説」は本当? 知らなきゃヤバい交通ルール5選



ほかにも「追い越し」で注意したいのは、トンネルや急な勾配の下り坂、上り坂の頂上付近。

こうした場所では前方の車を追い越すための進路変更は、道路交通法第30条第2号により原則禁止なのでご注意を。
・道路のまがりかど付近、上り坂の頂上付近、または勾配の急な下り坂

・トンネル(ただし、片側2車線以上であればOK)

・交差点、踏切、横断歩道または自転車横断帯およびこれらの手前の側端から前に30メートル以内の部分
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③ 高速道路の正しい車間距離とは?

高速道路で「追い越し車線は2km以上で捕まる説」は本当? 知らなきゃヤバい交通ルール5選



高速道路では、「車間距離」が原因で発生する事故も少なくない。

あおり運転はその代表的な例だが、あおり運転を取り締まる「妨害運転罪」が施行されて以降、「車間距離不保持違反」は厳しい取り締まりの対象になった。

道路交通法第26条では、「その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」と定められており、違反すれば取り締まりの対象となる。

しかし、条文では具体的な距離は規定されていない。

警視庁は「統計的には、車間時間2秒以内での事故は死亡事故を含む重大事故が多く、2秒以上離れていた時は大きな事故とはなっていないことが示されている」とし、「実験結果と統計的事実から車間距離は2秒が適切だとされている」との見解を示している。

2秒間の計り方としては、前を走る車が標識などの指標となりやすいものを通過した瞬間から、自分がその指標を通過するまでの時間を頭の中で計測する方法がおすすめだ。


④ 休憩時間の目安は2時間に1回

高速道路で「追い越し車線は2km以上で捕まる説」は本当? 知らなきゃヤバい交通ルール5選



高速道路での事故原因で多いのは「追突」で、安全運転義務違反が9割を超え、なかでも「前方不注意」が抜きん出て多い。事故や違反を防ぐためにも、定期的な休憩を取ることはマストだ。

過労運転は道路交通法第66条第1項で禁じられている、立派な交通ルール違反である。

「眠気を感じたら休憩を取ることです。目安で言うならば、2時間に1回。ただ、眠気を感じたらそれ以下でも休憩を取ってください」(NEXCO東日本広報)。


アメリカの高速道路交通安全局などの調査によると、自動車事故のリスクは、7時間以上の睡眠をとったときと比べ、6~7時間の睡眠では1.3倍、5~6時間の睡眠で1.9倍、4~5時間だと4.3倍、そして4時間未満ではなんと11.5倍にもなることがわかっている。

早く目的地に着きたい気持ちもわかるが、眠気を感じたら最寄りのPAやSAで休憩を取ることを心がけてほしい。

運転中の隠れ脱水にもご注意を!
▶︎ 車で旅行のときに注意したい「かくれ脱水」とは?--{}--

⑤ 高速道路でも100km/h走行が違反になる場合も

高速道路の法定速度は100km/hの認識しがちだが、すべてのポイントがそうだとは限らない。

例えば、都市部や山間部では片側2車線以上ある場合でも80km/h規制であることが多く、なかには70km/h以下というケースもある。

高速道路だからといって、うっかり100km/hのまま走っているとスピード違反で罰せられる可能性がある。 

令和4年度上半期の、高速道路における違反の中で最も多いのが「速度違反」で、全体の7割以上を占める。走行する区間の指定速度をしっかり確認し、高速道路の運転を心がけよう。


夏休みが始まると、高速道路での痛ましいニュースが毎年急増する。特にスピードを出しやすいからこそ、事故が起こると命にかかわる被害になりやすい。

外出前に今一度交通ルールをおさらいし、久しぶりの行動制限がない夏休みを満喫しよう!
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