▶︎この記事の画像ギャラリーを見る

確かに、技術の進歩によって雪道発進でもオートマ(AT)ならスイッチひとつで滑らず発進できる。坂道を下るときも低速度で固定できる機能の付いたAT車もある。


けれどSUVで悪路を駆り、荒野を疾走したいなら、ドライバー自らギアを選択し、アクセルやクラッチを操作するMT車の楽しさはAT車では得られないのも確かだ。

SUVらしさを100%楽しみたいなら知っておくべき、5台の新旧マニュアルSUVを紹介しよう。



泥や雪と戯れるための遊び道具なら、やっぱりMT

あえてのマニュアル車でSUVを100%楽しめ! 新旧オススメ国産車5台

エクストレイル(旧型)。中古車価格は約25万円~250万円


2007年に登場した「使い倒せる道具」、日産エクストレイルの2代目。トランスミッションはCVTのほか、6速MTも用意された。

それもメインの2L×4WDの上級グレードと、当時の国産車としていち早く追加されたクリーンディーゼルターボに組み合わされている。

そもそも「濡れても汚れてもいいように」と防水加工のシートやフロアなどが備わる車だ。ラゲッジボードなんて取り外して水で丸洗いできるほど。

そんな遊び道具に徹した車でのドライブ自体も楽しみたいなら、やっぱりMTがいちばんじゃないだろうか。



街の舗装路だって立派な“大地”じゃないか

あえてのマニュアル車でSUVを100%楽しめ! 新旧オススメ国産車5台

CX-3(現行型)。中古車価格は約65万円~320万円


荒れ地や雪道だけが“悪路”じゃない。キレイな街並みを覆う都会の舗装路にも、MTのSUVで楽しみたい道がある。

全車に「人馬一体」を掲げるマツダは、街乗りメインのコンパクトSUVにも6速MTを用意している。しかもディーゼルとガソリンエンジン、どちらも選ばせてくれる。


信号の度の発進と停止、都会ならでは急坂や狭い駐車場。交差点をただ曲がるだけでも、自らが操った車が狙い通りのラインで曲がるとやっぱり楽しいものだ。

しかも4WDなら、雨で濡れた路面で前輪が滑りそうな予兆があると車が判断すれば自動で後輪にもトルクを伝え、キッチリ狙ったラインを踏んでいける。

確かに泥遊びはそんなに得意じゃないけど、街中でもMTを操る楽しさが、CX-3にはあるのだ。
--{}--

絶滅危惧種な水平対向エンジン×MT

あえてのマニュアル車でSUVを100%楽しめ! 新旧オススメ国産車5台

フォレスター(旧型)。中古車価格は約60万円~320万円


かつてWRC(世界ラリー選手権)を席巻したように、荒れ地を誰よりも速く走るイメージのあるスバル。

だからフォレスターにもMT車がよく似合うのだが、現行型には、実はMT車がない。これは同社のもうひとつのセールス的な柱に成長した「アイサイト」技術と、その先にある自動運転時代への流れの中で、MTは車が制御しにくいから外れたとも言われている。

そんな中で今あえて旧型に設定されていたMT車を買うのは、懐古主義と思われるかもしれない。

しかし世界的に貴重な水平対向エンジンを搭載した4WD車を、MTで駆るという楽しさがこの先にないのだとすれば、今だけの貴重な買い物になるのではないだろうか。



副変速機という“面倒”を楽しむ

あえてのマニュアル車でSUVを100%楽しめ! 新旧オススメ国産車5台

ジムニー(旧型)。中古車価格は約50万円~230万円


 言わずと知れたコンパクト四駆の王者、スズキ・ジムニー。3代目となる現行型でもMT車が用意されているが、人気ゆえ価格もまだまだ下がっていない。

そこで狙い目なのが旧型だ。
「ラダーフレーム」「FRレイアウト」「副変速機を備えたパートタイム式4WD」は現行型にも続く伝統。つまり旧型も現行型同様の魅力が詰まっているということだ。

特に2WD/4H(高速)/4L(低速)を切り替える副変速機は、いちいち走行状況に応じて切り替えなければならないという、今どきのSUVにはない面倒な楽しさがあるのだ。



SUVのトップ・オブ・硬派

あえてのマニュアル車でSUVを100%楽しめ! 新旧オススメ国産車5台

三菱ジープ(絶版)。中古車価格は約60万円~370万円


戦争で活躍したジープは戦後の復興にも欠かせなかった。

アメリカのウイリス社と契約した三菱自動車(当時は中日本重工業)は1952年からノックダウン(部品を輸入して組み立てる)生産を開始。やがて三菱自動車は自前でエンジンをはじめパーツも作るようになった。

1998年まで約45年間生産され、エンジンはガソリン・ディーゼルどちらも複数あり、ボディもショートやロング、屋根は幌やメタルなど多彩なバリエーションがある。

そしてトランスミッションは潔くMTのみで、副変速機付きのパートタイム式4WD。今も中古車市場で大人気のトップ・オブ・硬派なマニュアルSUVと言えるだろう。
編集部おすすめ