お気に入りを履き潰しては買い替えて…… なんてもったいない! 愛する一足を守る術をフットウェア・ラバーたちに教えてもらった。
>第1回「ローテクスニーカーのケア」を読む
>第2回「ハイテクスニーカーのケア」を読む
好きなアイテムを頻繁に使いたくなるのが男のサガ。
しかし、もうすぐ梅雨時期に突入する。水分に弱いEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)やキャンバス地が使われているスニーカーを、雨が降るなかで連日履き続けたら、最悪1シーズンで履きつぶしてしまう危険性も……。世のスニーカー好きたちは、梅雨をどう乗り越えているのだろうか?
そこで梅雨時期の愛靴のケア方法や注意点について、スニーカーに特化したクリーニング専門店「スニーカーアトランダム」の店長であり、350足以上を持つスニーカーコレクター・城所 匠さんに教えてもらった。
梅雨は着用前後のケアと履く頻度に注意を!
季節を問わず、ほぼ毎日スニーカーを履いているという城所さん。素材や構造を熟知している彼が実践する、梅雨対策とは?
「基本的にスニーカーは丈夫に作られているので、雨の日も気にせず履いて構いません。ただし、構造上水分に弱いことに変わりはないので、履く前と履いた後のケア、ニオイケアの3点を意識することで、スニーカーの寿命を延ばすことができます。とはいえ、ケアというと億劫に捉える人が多いのも事実。まずは気張らずにやってはいけないNGポイントを押さえましょう」。
<NGポイント1>
防水スプレーは吹きかけすぎに注意! 2週間に1度が目安
雨の日の対策としてまず頭に浮かぶのは、防水スプレーの塗布。安価で取り入れやすいため、普段から愛用している人も多いだろう。城所さんいわく大事なのは“使いすぎないこと”だと言う。

「防水スプレーは季節や天候を問わず、2週間に1度吹きかけることをオススメしています。雨だからと使用頻度を増やしたり、多めに吹きかけたりしたくなりますが、黄ばみの原因になるためやりすぎはNGです」。
前回、ハイテクスニーカーの記事でも伝えたが、防水スプレーを吹きかける際はシューズから15cm以上離し、全体にまんべんなく均一に吹きかけること。そのとき、靴ひもは通したままで、結び目だけは外しておこう。
<NGポイント2>
履いた日は下駄箱に入れない! 風通しのよい場所で1日乾燥を
1日履き続けて雨に濡れたスニーカー。水分を拭き取るのか、そのまま放置してOKなのか、直射日光で乾かすのか……? 意外とわからない着用後のケア。帰ってきたらまずすべきこととは?

「まず、濡れてしまった場合そのまま放置するのは絶対にNGです。表面についた水分が内部まで浸透し、カビや悪臭が発生したり、最悪の場合、加水分解を起こしたりすることも。まずは表面についた水分をタオルで拭き取り、玄関などの直射日光が当たらない場所で、約24時間しっかりと乾燥させることが重要です。濡れた状態ではほかのシューズに湿気やニオイが移るので、完全に乾燥できたことを確認してから下駄箱にしまってください」。
万が一、ケアを忘れてしまっても、1日くらいならば大丈夫だそう。「1度ケアをサボってしまうと、それ以降やらずに放置しがちです。でも、明日は必ずやる! と、心に決めておくことが肝心(笑)。継続的にケアをして自分に習慣づけることが大切です」とも。
NEXT PAGE /<NGポイント3>
濡れたまま放置は悪臭の元! ニオイ対策はスニーカー専用アイテムを
最後のポイントは、ニオイケアについて。

「人間は1日で2Lもの汗をかくと言われています。1日履いたスニーカーは大量の汗を吸い、雑菌やカビが繁殖しやすい状態。雨の日に履いたならなおさらです。まずは玄関など風通しのよい日陰で乾燥させて、雑菌が繁殖しにくい環境に整えます。その後シューズ用の防臭スプレーで対策を。洋服用の防臭スプレーは一度に出る量が多く、水分を与えてしまうことにもなりかねないので、スニーカー専用のものを選ぶことがベストです」。
濡れた状態のまま、連日履き続ければ、より痛みは進行しやすいもの。そのため、頻度高く履く場合でも、最低でも一度履いたら中1日は間隔をあけることを心がけたい。
これらのケアは梅雨だけでなく、雨模様の日には取り入れたいケア方法。1日の終わりにお気に入りのスニーカーを労わる。
スニーカーアトランダム 高円寺

住所:東京都杉並区高円寺南3-53-8
電話番号:03-5913-7690
営業:10:00~19:00
水・土曜定休
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平安名 栄一=撮影 長浜優奈(EditReal)=取材・文