>連載「妻からの『キツイひと言』読解講座」をはじめから読む
夫たちが妻から言われた「キツいひと言」の裏側を、現役ママでもある筆者が紐解く本連載。今回は、休日や帰宅後、ゆっくりしているときに限って言われることが多い「邪魔!」というセリフ。
ママがこんなひどい言葉を言ってしまうのにも、それなりに訳があるんです。
パパが家にいる時間が増えると、主婦の仕事は増える
「休日にゴロゴロしているときに、必ず『邪魔』と言われる」(男性・38歳)
「リビングで新聞を読んでいるだけで『邪魔』と言われる」(男性・42歳)
「休みに家でゴロゴロしていたら『いつも何もしないよね』と言われた」(男性・45歳)
最近は日本の社会全体で、残業を減らして効率的に仕事をしようという流れになりつつあり、早めに帰宅するようになった、休日出勤しなくなったというパパも多いのではないでしょうか?
しかし、せっかく早く帰ってきたのに「家に居場所がない」と嘆く人も多いとか……。早めに仕事が終わったあと、外で時間を潰してから深夜に家に帰る、なんてパパもいると聞きます。
これまでは家にいる時間が極端に少なかったパパが、早く帰宅する日が増えたというのは、家族にとっては喜ばしい話ではあるはずです。
しかし、家事を行う主婦という立場から考えると、手放しで歓迎できない面もあるというのが本音。例えば、子供と自分の2人分だけの食事を作るのと、パパの分も含めた3人分を作るのとでは、かかる手間が違います。
1人くらい増えても料理の手間は同じだろうと思うかもしれませんが、料理は、食材を切るなどの下ごしらえが面倒だし時間がかかる。
炒めるや煮るといった仕上げの部分は多少人数が増えても手間は同じですが、人数が増えて量が増えると、材料を切るなどの作業量が単純に増えるのです。また、食事後の皿洗いも、2人分と3人分ではかなり違います。
主婦としての仕事が増えているのに、その横で夫が何もやらず、のほほんとソファに寝転がってテレビなんかを見ていたら、ついついイラッとしてしまい、「邪魔」という言葉をぶつけてしまうのです。
また、ときどきママたちから聞くのが、物理的に「邪魔」と感じてしまうというエピソード。「うちの夫は体が大きいので、狭い家の中でゴロゴロされると、掃除などをしようとしたときに、邪魔だなあ……と感じてしまうんですよね」という声も。
確かに、我が家の夫も、ソファに寝転がっているならまだしも、なぜか床でゴロゴロしていることがあり、「何の大型動物だろう」と気持ちに……。
妻が専業主婦でも、家の仕事を丸投げして放置はNG!
また、もっと根深い原因があるケースもあります。
子供が赤ちゃんや乳幼児の頃、いちばん子育てが大変だった時期に、夫がまったく家庭を顧みずに、独身の頃と同じような生活をしている場合です。長年の不満が妻の中に積もり積もっているということもあるようなのです。
先日、妻から邪険に扱われることに不満を言っている男性(3人の子供のパパ、妻は専業主婦)に、よくよく話を聞いてみたら、驚くほど家事・育児に貢献していないことがわかりました。
育児といえば、たまに妻が休日に出かけるときに子供のお世話をするくらいで、普段はまったく何もしていない様子。平日も週末も、独身時代と同じような自由な生活ぶり。
おそらくこの10年ほどの、夫のそういう態度から、「夫=役に立たない=邪魔」というふうに妻の中にインプットされてしまっているのではないかと思いました。
しかし、夫側の言い分としては、「妻があまりにも冷たすぎるから、家にいたくなくなり、家のことなど手伝う気にもならない」とのこと。
このような事態を招いた原因の根本は、どちらにあるのか、双方の言い分をじっくり聞いてみないとわかりませんが、このようにして夫婦間の溝は深まっていくのだな……と思いました。
妻が専業主婦だからといって、家事も育児もすべて丸投げしてしまうと、こういうことになりがちです。
仕事でも、取引先や同じチームのメンバー、部下などに対して何のフォローもせずに仕事を丸投げしていたら、心が離れて、思うように仕事が進まなくなることがありますよね。
実際には家事・育児を妻に全面的に任せることになるのだとしても、少なくとも日頃から、妻を労う、感謝を伝える、何か大変なことや困ったことはないかなど、妻へ気遣いを示すことによって、家での自分の居心地の良さが変わってくるのではないでしょうか。
相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と、小1の娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。
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