>連載「妻からの『キツイひと言』読解講座」をはじめから読む
夫たちが妻から言われた「キツいひと言」の裏側を、現役ママでもある筆者が紐解く本連載。
夫婦で何気ない会話をしているときに、「話聞いてるの?」とキレられた経験ありませんか? 男性にとっては「相槌はちゃんと打ってるのになぜ?」と思われるかもしれません。
女性が満足する話の聞き方 4つのポイント
「うんうんと頷いて話を聞いていたら、妻から『聞こえてた?』とキレ気味に言われた」(男性・43歳)
「妻の話に相槌を打っているのに『聞いてる?』といつも言われる」(男性・45歳)
「テレビを見ているときに話しかけられて、見ながら聞いていたら『どうせ人の話、聞いてないし』とキレられた」(男性・39歳)
妻の話に相槌を打っているのに、「話を聞いていない」と言われたり、「聞いてるの?」と疑われたりしている男性は多いようです。
仕事から疲れて帰ってきて、ママ友同士や近所づきあいなど、自分に全く関係ない人間関係の悩みを聞かされるのは辛い、といった夫たちの声もあります。男性にとっては面白いと思えない話題を振られることがあるのも事実でしょう。
しかし、そういった「ただの愚痴」も、仕事や家事・育児に追われる日々の中で、心を穏やかに保つためには必要です。これは女性に限ったことではないと思います。例えば、居酒屋での同僚との愚痴り合いを考えれば、ガス抜きが必要だということは男性にもわかりますよね。
また、よく言われることですが、女性の場合、言うだけでスッキリしたり、話しているうちに気持ちが整理されたりすることも多いものなんです。
おそらく、仕事をしているママなら、同僚や仕事仲間などと愚痴を言い合うタイミングもあるでしょう。
家の近所に自分の独身時代からの女友達でも住んでいれば、愚痴を言い合う相手としては最高なのですが、愚痴を言える相手が身近にほとんどいない場合もあります。ママ友や近所の知り合いなどに、そう軽々しく愚痴を言うわけにもいきません。
そうなると、身の回りで最も愚痴を言いやすいのは家族=夫ということになります。
女性の場合には、解決策を聞きたいわけではなく、ひたすら話を聞いてもらいたいだけ、というのはよく聞く話だと思いますが、まったくその通りです。
だからといって、聞いてないのに相槌だけ打っていたり、聞いているけど興味無いなーと思っているのは、女性にはすぐにわかってしまいます。なぜなら、そういうときの相槌は単調だからです。途中に夫への質問を挟んでいるのに、「うんうん」と言うだけで流していたり……。
そういう相槌を聞くと「あーあ、話さなければよかった」というがっかり&イラっとした気持ちになります。だから相槌を打っているのに「聞いてる?」と確認されるのです。
女性同士のように完全に共感し合うのは無理でも、「ただ聞いていればいいんでしょ?」と思わず、ほんの少しだけサービス精神をプラスした聞き方をしてほしいのです。そこで、どのような点に気をつけた方がいいか、ポイントを4つにまとめてみました。
■妻が満足する話の聞き方、4つのポイント
1:「ふーん、それでそれで?」など、次の展開を期待するような相槌を打つ。
2:途中で話の登場人物やストーリーがわからなくなったら、「それって話の最初に出てきた山田さんのこと?」とか「それってこういうこと?」など、きちんと話を理解しようとという態度を示す。
3:「なるほどねー」「それは大変だったねぇ」などの言葉で共感を示す。
4:相手が求めていないのに、上から目線でアドバイスをしない。
この4つを意識していただければ、最初から最後まで100%聞いていなくても、だいたい満足してくれると思います。
愚痴の中に子供に関する情報が含まれる場合も
もう1つ、妻の話を聞く際に大事なポイントがあります。帰宅した自分に対して妻が話すことといえば、いつも自分には直接関係はない愚痴だろう、と思う男性が多いでしょうが、実は夫への大事な情報共有が含まれている場合があります。
それは主に子供に関する情報。子供の学校で起こった出来事や、その日の家での子供の様子などの報告は、きちんと聞いておいたほうがいいでしょう。
じつは、毎日毎日子供と接しているママだからこそ、子供の変化をうっかり見落とす可能性があるのです。一歩引いたところから見ているパパのほうが、話の中から子供の変化に気づけることもあるようです。
先日、ママ友の1人(子供は小1女子)からこんな話を聞きました。
「ある日学校から帰ってくると、娘は『お腹が痛い』と言い出したんですが、その後治ったり痛くなったりを繰り返していて、はっきりしない。習い事をサボりたいだけだろうと思っていたんです。このことの一部始終を夫に話したところ、『ひょっとして便秘じゃない?』と気づきました。
子供なので、お腹が張っているということをうまく表現できずに『痛い』と言ってしまっていたようなのですが、私は、時間通りに習い事に送っていかなければ……ということにばかり気を取られていて。習い事を休ませておいて良かったなと思うと同時に、冷静にならないといけないな……と改めて思いました」。
このように、子供に関する話には、大した話ではないと思っても、パパが耳を傾けることでママが1人では気づけなかったことを解決に導ける可能性があったりします。ついつい思い込みで判断してしまうこともありますからね。
夫婦は、結婚して何年も経つと「もはや空気のような存在だ」などと言いますが、やはりコミュニケーションを取らないと、お互いに考えは伝わらない気がします(自分自身の反省も込めて……)。
そういった意味でも、毎日5分でもいいので、妻の雑談や愚痴に耳を傾けたり、あるいは、お互いに「どうでもいい話」をあえてする時間を作ってみるのもいいかもしれませんね。ちなみに、我が家では最近、夫婦2人で出かける機会をたまに作るようにしていて、これもおすすめです。
相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と、小1の娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。
第8回「休日に、妻から『邪魔』扱いされる3つの理由」MIYU=イラスト ネオ・マーケティング=アンケート協力 ※調査対象:35~45歳、子持ちの既婚男性200人