未来世紀シアトル●旅先(=非日常)で得るインプットは、男の日常のアウトプットに大きな影響を与える。1981年生まれ、一児の父、オーシャンズ世代ど真ん中のトラベルエディター伊澤慶一さんは、だから今日も旅に出る。
第1回「シアトルのスタバで散財日記」を読む
第2回「Amazonで見た仕事の未来」を読む
スターバックス、Amazon(アマゾン)と、2つの企業訪問で「大人の社会見学」を楽しんできたシアトル旅。ですが、シアトルはアウトドアライフも楽しい街。
その目線からいえば、元祖アウトドアクロージングの「フィルソン」を語らないわけにはいきません。
アウトドアクロージング「フィルソン」に見る古き佳きアメリカ
東京・中目黒にも店舗を持つ老舗ブランド、フィルソンは1897年にシアトルで創業しました。2015年には、スターバックスの本社もあるソードー地区に工場も併設した旗艦店をオープン。

総面積6000平方フィートという広大なスペースに、シャツやブルゾン、バッグなどがところ狭しと並んでいます。

もともとフィルソンは、ゴールドラッシュに沸いていた19世紀のワシントン州で、金の採掘に挑む男たちのためのアウトドア・クロージング・メーカーとして設立されました。そのため、素材と耐久性、裁縫のクオリティの高さなどは折り紙つき。


フィルソンのアイテムは「親から子へ、子から孫へ」というエピソードで語り継がれるほど、地元ワシントン州はもちろん、アメリカ北西部で働く男たちから厚い信頼を得ています。

シグネチャーアイテムのクルーザージャケットや、ダッフルバッグなど、ファンならずともたまらないアイテムがずらり。

また、こちらのフラッグシップストアは修理工場も備えており、アメリカ全土から届く修理依頼の商品を職人がメンテナンスしている様子を見学できます。ここで感じることは、フィルソンはまさに一生モノのアイテムなのだ、ということです。

「REI」の旗艦店はアウトドア好きのテーマパークである
もうひとつ、シアトルで忘れずに立ち寄りたいのが「REI(アール・イー・アイ)」の旗艦店。こちらもシアトル発祥のアウトドアブランドで、現在ではアメリカで、特に西海岸を中心に150店舗以上を展開するまでに成長。なかでもこちらは旗艦店だけあって、とにかく巨大!

店内や敷地内にはクライミング用の巨大ウォールや、自転車試乗のためのサイクリングコースが備えられ、まるでアクティブ派のためのテーマパークのよう。自然環境を再現するため木々や滝、焚き火スペースまで作られ、シアトルの街なかにいるのを忘れてしまいます。


店内は吹き抜けの2階建て構造。おもに1階がアウトドアグッズ、2階がアパレルグッズと分けられており、「顧客にとってベストな商品を」という考えから、パタゴニアやザ・ノース・フェイス、マムートなど、他社ブランドも豊富に扱っています。

その結果、有名ブランドはほぼすべて網羅されており、ここにくれば、必ず欲しいものが見つかる、といっても過言ではありません。




1階には、アウトドア用のテントにキャンプグッズ、またREIのオリジナルのタンブラーやTシャツ、マグカップまで、お土産になりそうな商品も揃っています。とにかく、ありとあらゆるアウトドア関連グッズが一堂に会した、アウトドア好きのテーマパークなのです。
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ちなみにこのREI、通常アメリカのショップにとっては最大の商戦である感謝祭とブラックフライデーの2日間を全店舗休業とし、従業員に有給休暇を与え、できるだけアウトドアライフを楽しむよう推奨していることでも有名です。

そんな素敵な企業理念のもとで働くスタッフも、自然が大好きな人ばかり。商品で悩んでいる際に相談したら、みんな親身になって対応してくれます。とにかく巨大で、居心地のよい店。
以上、オーシャンズ世代はマストチェックな、アウトドア大国・シアトルを満喫できるブランドを2つ紹介しました。
最後に……どう行く? シアトル

日本からシアトルへは、デルタ航空が成田と関西国際空港から毎日直行便を就航しており便利です。特に、成田~シアトル線は2019年から機材が一新され、スライド式ドアで個室型になるビジネスクラス「デルタ・ワン スイート」と、ウェルカムドリンクや専用食器での機内食など、限りなくビジネスに近いサービスを提供してくれるプレミアム・エコノミークラス「デルタ・プレミアムセレクト」(写真)が搭載されています。
往路約9時間、復路約10時間。新機材の心地よさを体験するには十分なロングフライト。実際「デルタ・プレミアムセレクト」でシアトルへ旅しましたが、体の負担がまるで違いました。こちらもオーシャンズ世代の選択肢として、検討してみてはいかがでしょうか?

伊澤慶一●1981年生まれ、一児の父。出版社勤務時代には『地球の歩き方』を始め、NY、LA、パリ、ベルリン、モロッコなど世界中のガイドブックを制作。60カ国以上の渡航歴を持つが、いちばんのお気に入りはハワイ。
Photographs:Ayato Ozawa