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糖質オフ男とは……
カラダの曲がり角といわれる「37.5歳」。もう若い頃のような生活では健康を保てないので、そろそろ年齢に合った生活改善に取り組まなければ。そんな中、一風変わった“健康生活”を送る男がいた。
会社勤めにはさまざまな待ち時間がある。通勤時に駅で電車を待つとき、ランチに並ぶとき。そして、朝と帰りのエレベーターを待つときだ。
そんな待ち時間、ぼーっと立っているだけではもったいない。オフ男はここでも日常トレーニングを欠かさない。それが、「片足立ち待ち」だ!
実は、片足立ちは、カラダの深層筋を鍛えることができるコアトレ。いわゆる体幹トレーニングとして最適なのだ。適切な姿勢で行えば骨盤矯正にもなり、美しい姿勢を手に入れることもできる。
しかし、外で片足立ちをするのはちょっと恥ずかしい。そこで、オフ男が考案した、シーンに合わせて違和感なくこなせる「片足立ち待ちトレーニング」を紹介しよう。
まず公共のエリア、駅。電車を待つ時間には、さりげなく腿上げのみ。
通勤時はみんな自分のスマホを見ていて周囲を見ていない。さらにこのポーズなら、密集する人々の中でも、さほど場所を取らないため邪魔にもならない。ファーストステップにぴったりだ。
続いて、ランチの待ち行列。ここでは、大胸筋を鍛える効果のある「アイソメトリックトレーニング」も取り入れよう。

片足立ちをしながら、両手を力強く合わせて押し合う「拝むポーズ」を加えることで、「おいしいご飯を待ち望む」感を演出。ご飯にありつけるそのときを、乞い祈るように順番を待つ。違和感なし!
そして、エレベーターの中では少し難易度の高いトレーニングにも挑戦。エレベーターに乗っているとき、大体の人は乗降する回の数字を表示する電子版に目がいっている。このエレベーターあるあるを利用し、みんなの死角で瞬時に片足立ちで靴と靴下を脱ぎ履きするのだ!

普通の片足立ちよりもさらに体幹が重要となり、脱ぎ履きは関節の曲げ伸ばし動作を誘発するため、筋肉に対するアプローチも抜群だ。
ただし、エレベーターという密室空間ではニオイが充満しやすい。足がくさいと逆に視線を集めてしまう可能性があるため、足のニオイケアも怠るべからず。
日常の待ち時間も、ひと工夫すれば周囲の目も気になることなくトレーニングタイムに。片足立ち待ちを続ければ、その先には美ボディが待っている!
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教えてくれるのは……

東京プロポーションラボのチーフ・トレーニング・オフィサー。国立スポーツ科学センターで、トップアスリートに対するトレーニング指導に携わった経験も持つ。現在はメディカルとトレーニングの医科学的なエビデンスと独自のノウハウを駆使して、パーソナルトレーニングを指導している。
「待ち時間に行うトレーニングというと、やはり周囲の目が気になるものですよね。しかしこのオフ男の『いかに違和感なくトレーニングするか』という工夫は、成功しているかは分かりませんが……(笑)、しっかり効果の得られる方法をチョイスしていますね!
まず、片足立ちがなぜ体幹トレーニングになるのかというと、骨盤の安定に重要な腸腰筋や、お腹まわりにベルトのようにある腹横筋などを鍛えることができるからです。つまり、カラダのコアとなる部分のトレーニングになるわけです」。

「もちろん、正しい姿勢・方法で行うことが大事ですよ。片足立ちをする際、目は閉じたほうが良いのかと聞かれることもあるのですが、このコアを強くしたいのであれば、目を開けた状態で行うほうがおすすめです。
また、オフ男が合わせ技として行っていたトレーニングは、限られた時間で多角的なアプローチができる効率的な方法だと思います。
ランチタイムに行っていた両手を合わせる『アイソメトリックトレーニング』は、筋肉が止まったまま力を入れる、いわば静的な筋力トレーニング。胸の筋肉にテンションがかかるため、胸が張るようになり、自然と姿勢が良くなって格好良い佇まいになりますよ。
靴下の脱ぎ履きも、膝の屈伸や股関節の屈曲、足首の屈曲・伸展が入るので、筋肉に対して効果アリです! 主に膝を曲げた姿勢が軸になるので、大腿四頭筋(太もも前の筋肉)に効果的です。あとは、膝を曲げた状態で足首を使ってバランスをとるので、ヒラメ筋(ふくらはぎの下側の筋肉)への効果も期待できるでしょう。このふたつ、ぜひ挑戦してみてください!
しかし、片足立ちに慣れていないと不安定な動作になってしまうため、苦手な方は、片足立ちに慣れるまでは後ろで足を上げる体勢で取り組んでみるのはいかがでしょうか? 前で足を上げるよりも簡単で、難易度は低いです。腰に手を当てると、安定感が増すのでより取り組みやすいかと」。

「今回、オフ男は日常生活の中でさりげなく片足立ちトレーニングをしていますよね。例えばこの後ろ足上げの体勢でしたら、ズボンのポケットに手を入れている風を装いながら腰に手を当てて片足立ちをすれば、正面から見られても自然な様子。駅で電車を待つ間やエレベーターの中で行っても、トレーニングだとは気づかれないかもしれません(笑)」。
【取材協力】
東京プロポーションラボ
住所:東京都渋谷区猿楽町7-1
電話:03-6455-3666
www.tpl.tokyo/
島崎昭光=文 波打ベロ子=イラスト