キャンプは“楽しむ”ものだけど、“魅せる”時代でもある。SNS全盛期、インスタ上で多くのユーザーを魅了する、こだわりを持つ大人たちの「魅せるキャンプ」に密着。
キャンプは、個人の趣味趣向がストレートにスタイルとして表れる。音楽や料理、酒など、その形はさまざまだ。
15年前に初めてキャンプをして以来、今ではほぼすべての週末をキャンプにささげる生粋のキャンパー、Takahiroさん。ソロキャンプの場合もあれば、仲間とワイワイ楽しむキャンプも好きだという彼だが、どんなときでも欠かせないのが、自分でこしらえる「キャンプ飯」。
果たして、この料理に魅せられない人などいるのだろうか?
名前|Takahiroさん(40代)
インスタグラム|Takahiro.0214
仕事|会社員
住まい|大阪府大阪市在住
家族構成|妻と息子
まさに垂涎もの! 人を笑顔にさせる「Takahiro飯」
キャンプ仲間から「Takahiro飯」と呼ばれ愛されるその料理たちは鮮やかな見た目で、Takahiroさん自身、「味はもちろんですが、料理を見たときに皆が笑顔になるビジュアルを心がけています」と話す。
「美味しい!」と言わせる前から人を笑顔にさせる粋な料理人、Takahiroさん。自慢のキャンプ飯は「ローストチキン」「りんごのカプレーゼ」「チーズフォンデュ」だという。うむ、人が笑顔になるというのも納得。見てのとおり、かなりの“映え”っぷりだ。

ローストチキンは一羽丸ごと焼き、にんにくをたっぷり詰める。レモンの黄色とパセリの緑で色華やかに。

赤い皮をあえて残したりんごの上にチーズとバジルをあしらった、Takahiroさん特製のカプレーゼ。トリュフオイルを軽く垂らすのがミソだ。

ひと口サイズの野菜をたっぷり散りばめた中心には、たっぷりのチーズが。皆で囲みながらつつく楽しさがたらまないチーズフォンデュ。
年間40泊のキャンプ生活、虜になる理由とは

初キャンプは15年前、息子たちの夏休みに出かけた川沿いのキャンプ。年に数回だったのが、最近ではほぼすべての週末をキャンプに捧げる達人になった。その数は年間40泊、まるで移動しながら生活する「キャンプジプシー」である。
「キャンプの醍醐味は非日常を味わえることです。オン・オフを切り替えて思い切り遊び尽くすことで、平日の仕事を頑張る活力にもなります」。

Takahiroさんにとって、キャンプは生きるためのエネルギー源。たっぷりエネルギーをチャージするから、月曜日からまだ仕事に精を出せるのだという。
平日にもっとも気になるのは、週末の天気だ。指折り数えながら次のキャンプに思いを巡らせ、週末がくればいざ出発。ザックひとつで行くソロのバックパックキャンプか、ダッチオーブンやアイアンギアをそろえて仲間とワイワイ楽しむキャンプか。そして目指すのは山か、川か。
スタイルも場所も週によって変化する、これこそがTakahiro流キャンプの極意である。
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Takahiroさんにとって、テントなどの基本的なキャンプギアはもちろん、料理に使うアイアンギアは絶対に欠かせない。
バックパックキャンプの場合は、45リットルのザックに12~15キロの荷物をパンパンに詰めて背負う。大人数の仲間とワイワイ楽しむキャンプの場合は、12~40リットルのアルミコンテナ5つほどの大荷物になる。
ギアは重いし、料理の下準備も必要、調理も後片付けも相当の手間がかかるのが、労力を惜しまない理由は何なのだろう。

「キャンプは基本的に手間を楽しむものだと思っています。コーヒーも、インスタントではなくミルで豆を挽いてドリップにした方が美味しいですよね? それと一緒です。ただ空腹を満たすだけならインスタント食品で事足りますが、手間と時間をかけた美味しさにこだわるから、家族や友人を笑顔にさせることができる。それが料理を作る僕のモチベーションになっています」。
Takahiroさんが絶品キャンプ飯をふるうようになったのは、かつて、「キャンプのときぐらい妻を楽させよう」と自ら料理担当を買って出たのがキッカケである。

当時作ったのはシンプルなカレーだが、それから十数年の間に料理本を見ては新しいレシピを学び、腕を磨いてきた。今では便利なクックパッドを使って、こだわり料理のレパートリーがますます増えているという。
だが、そんなTakahiroさんが次にチャレンジしたいと考える料理は、なんとも意外なものだった。
次なる挑戦は「コンビニ食材で絶品キャンプ飯を作りたい」

Takahiroさんがこれからチャレンジしたいキャンプ飯とは?
「こだわるキャンプ飯も楽しいですが、コンビニで手軽に買える食材にひと手間かけて絶品料理を作ってみたいんです。食材や出来栄えにこだわって作った料理の写真をインスタグラムに投稿すると、ありがたいことに『凄いですね~』『憧れます!』といったコメントをいただけます。

でも、そのコメントは、どこか距離を置かれた感じもあるんです。それが、あるときコンビニ食材を使った料理をアップしたら、『コレなら真似出来そう!』『作ってみたらものすごく美味しかった!』という感想を多くいただいて。親近感を持っていただけたのかもしれません。それがすごく嬉しかったんですよね」。
目の前にいる家族や友達だけではなく、インスタグラムの向こうにいるフォロワーまで笑顔にさせようとするTakahiroさん。最後に、キャンプ歴15年のなかでもっとも印象的だったキャンプを聞いてみた。
「岐阜県の平湯温泉キャンプ場です。肉眼で天の川が見える場所なんですが、ここでみんなで地べたに寝転がり、流星群を眺めたとき。あれは一生忘れられない風景ですね」。

今では北は北海道から南は九州、海外は香港にまでたくさんキャンプ仲間がいる。
Takahiroさんの今後はインスタグラムで。空腹時に覗くとお腹が鳴っちゃうかもしれないので、ご注意をば。
ぎぎまき=取材・文