オッサンの心に効く、カジュアル茶道Vol.4
日本の伝統文化のひとつ、茶道。長く細く続けられ、芸術への造詣も深められそうだし、オッサンの新しい趣味にぴったりだ。
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茶ンピングに始まり、茶道具の勉強、独服とカジュアルなお茶を楽しみ方を学んできた本連載。最後は、より手軽にお茶を始められる、ちょっと変わり種のグッズを紹介しよう。日常的に使える便利グッズからよりお茶と深く付き合えるアイテムまで。意外なメーカーも参入していることに驚くかもしれない。
カクテルのようにシェイクして簡単にお茶を点てる

最初に紹介するのは「ふるっ茶 シェイカー」だ。抹茶を点てるときは、茶筅で粉を溶かすのが一般的。しかし、「ふるっ茶 シェイカー」はその名の通り、シェイクすることで抹茶が出来てしまう便利グッズである。
使い方は簡単。まず、抹茶の粉を付属の茶こしに入れる。ここで振るいにかけることで、きめが細かいものだけが残り、点てたときダマになりにくいのだ。次に100mlのお湯、または冷水を注ぎ、あとは10秒ほどリズムよく振るだけ。

抹茶がまろやかなのは、苦み成分が泡に吸収されることはこれまでの連載でも述べてきたが、「ふるっ茶 シェイカー」の内部には、独自開発の細かい穴が開いているため、きめ細かい泡が立てられるのだとか。
ちなみにこの商品、もともとはクラウドファンディングから生まれたもの。抹茶という古くから歴史のある文化がクラウドファンディングという今を象徴する仕組みで、さらに進化したこともユニークだ。
お茶を点てるのは機械。挽きから始める本格派

手軽な抹茶は家電でもつくることができる。それが、シャープから発売されている「ヘルシオお茶プレッソ」。茶道の「挽く・沸かす・点てる」を「緑茶ミル機能」と「ポット機能」、「撹拌機能」で実現した。ミル機能は、抹茶を作る際に使われる「石臼」にならい開発したセラミック製の臼を使用。ポット機能は、水を沸騰させ、カルキ成分を除去したお湯が容器に注がれる。撹拌機能は、茶筅の代わりに回転羽根がお湯と粉末茶を丁寧にかき混ぜる。

茶葉を挽いた粉末からお茶を入れることで、急須を使うよりもカテキンやクロロフィル、食物繊維などを豊富に摂ることが可能。「碾茶(てんちゃ)」を使えば抹茶を作れるし、普通の茶葉ならば濃いお茶を作ることも。手軽に1日に何度もお茶を楽しみたい人にはオススメの機器だ。
京都の老舗がオススメする抹茶入門キット

もう少し本格的にお茶を楽しみたい人は、「抹茶スターターセット はじめの一保堂」はどうだろうか。商品名は某ボクシング漫画に似ているが、内容は本格派だ。一保堂茶舗は京都に本店を構える日本茶の専門店で、お店の始まりは亨保2年(1717年)。ちなみに、時の将軍は徳川吉宗といえば、その歴史の古さが伝わるだろう。
セット内容は、抹茶の点て方・道具の扱い方をまとめたしおり、初心者でも扱いやすい100本立茶筌、静電気の影響を受けにくく抹茶がすくいやすい茶杓、シンプルな白色の茶碗、そして、甘さと渋さのバランスがちょうど良い抹茶。お湯さえあれば、すぐに抹茶が楽しめる。
自分で使うために購入するのもいいが、お茶に興味がある友人や知人に引越祝いや誕生日プレゼントなどで贈るのもいいだろう。同封のしおりは英語表記もあるので、外国人にも喜ばれるかもしれない。
アウトドアグッズのブランドが作った茶道具セット

最後は、アウトドアグッズのブランド、モンベルから発売されたお茶グッズ。なぜ?と思うかも知れないが、お茶には「野点」という野外で点てるお茶会がある。
まずは持ち運びを重視して、茶筅と茶杓のサイズを小さくし携帯性を高め、茶碗はメラミン製で割れにくくしている。また、茶器を収納する巾着の底部と側面には緩衝材としてスポンジを採用。付属の盆には茶筅を差し込める突起をつけることで、風などでも倒れない工夫がされている。なお、カラバリはレッド/ブルー、そしてインディゴ/タンカラーの2パターン。

最近はキャンプや登山でコーヒーを淹れるようにお茶を点てる人もいるという。大自然の中、ピクニック感覚でお茶を点てるのは楽しそう。同行した友人にサプライズで振る舞うと、喜ばれるだろう。
グッズを上手く活用すれば、その場に合わせて、いろいろな手段で楽しむことができそうだ。アウトドアでお茶を点てて振る舞えば、もはや立派な趣味と言っていい。
最初はお手軽なお茶から入って、興味がわけば正式なお手前を習い、そこから日本の文化や歴史へと興味を広げていっても面白そうだ。
コージー林田=文