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糖質オフ男とは……
カラダの曲がり角といわれる「37.5歳」、もう若い頃のような食生活ではいられない。これからも格好良くいたいのであれば、生活に「糖質オフ」を取り入れることが肝心だ。
そんな中、一風変わった”糖質制限生活”を送る男がいた。
仕事に夜に、忙しい独身37.5歳の糖質オフ男。しかし、食事の時間はしっかり取る。ランチもディナーも1時間はスケジュールに組み込んでおく。
なぜか? それは、オフ男が「よく噛む」男だからだ!
噛むこと自体はオフ男母からの言いつけを忠実に守っていることもあるが、実際、糖質オフ生活を始めるとこの「噛む」という行為がとても重要であることに気づく。その万能な効果をいくつか紹介しよう。
①消化を助ける
よく噛むと唾液腺が刺激され、大量の唾液が出てくるようになる。唾液には唾液アミラーゼと呼ばれる消化作用のある酵素があり、食べ物が胃に到達する前にある程度分解してくれる。さらに、噛む回数が増えるほど胃や小腸に血液を送る動脈の血流量が増加して、消化活動自体も活発になる。胃腸が気になる中年男性にはありがたい作用だ。
②満腹中枢の時差をうまく使う
満腹感は、胃ではなく脳が感じるもの。
③美顔効果も?
噛むという行為が美顔になるというのは、ネットでたまに見かける風説だ。正直、ただ噛む回数を増やしただけで美顔になるかは定かではない。しかし、オフ男の場合は噛むだけでなく、連動する首や顎まわりの筋肉を意識しながらしっかりエクササイズをするのだ。具体的には、普通に噛むのではなく、口を「エ」や「ウ」を発生する際の形にして、表情筋に緊張感を持たせながら顎を動かす。つまり、どちらかというと美顔トレーニングに「噛む」という行為をつけ加えているイメージだ。
オフ男がこのエクササイズにこだわるのは、会食の雰囲気を崩したくないからという理由がある。
そこで、噛みながらも同僚たちの会話内容に合わせて、面白い話のときは「エ」の口で笑顔をキープしながら噛む! 深刻な話のときは「ウ」の口で真面目な表情を演出しながら噛む!
場の雰囲気を壊さず、それでいて咀嚼回数をキープする熟練のテクニック。オフ男世代、もといオーシャンズ世代はぜひ試してほしい。
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専門家からのティップス
教えてくれるのは……
「なごみクリニック(熊本県)」院長。「糖尿病再生医療研究所(熊本県)」所長。
医師として糖質制限をわかりやすくおもしろく伝えることをモットーに、全国でセミナーやイベントを開催。そのほか、Facebookを中心に情報を発信中。
「糖質オフ男くん、今回も目の付けどころがグッドです! よく噛むことは、良いことづくめですからね。私も糖質オフを指導するときには、よく噛むことを必ず指導します。
糖質オフ男くんが挙げている3つの効果は、たしかに期待できます。特に効能の①で、『噛むことで大量の唾液が分泌される』という点に触れていますが、これはメリットだらけなのです! 唾液の働きとして、消化酵素であるアミラーゼの働きで消化が良くなることはもちろんですが、虫歯予防、殺菌作用、抗ガン作用があることもわかっています。
<虫歯予防>
歯は糖質が分解されるときにできる酸によって溶けることがわかっています。唾液はアルカリ性のため、酸を中和し歯が溶けるのを防ぎます。そして、初期の虫歯であれば唾液の緩衝能で、自然に修復する可能性があります。
<殺菌、抗カビ作用>
唾液に含まれるリゾチームやペルオキシダーゼなどは、殺菌や抗カビ作用があり、歯周病予防になります。
<老化防止>
唾液に含まれるパロチンというホルモンは老化防止作用があることが古くから知られています。
<抗ガン作用>
唾液中のペルオキシダーゼは、ガンの原因となる活性酸素を消す作用を持っています。唾液は噛めば噛むほど分泌されますので、よく噛んで食べることはとても重要なのです。
では、デメリットはどうでしょう。私も、オフ男が懸念している『お食事のときに会話がしづらい』という点に同感です。
エクササイズを兼ねた相槌もとても良いアイデアですが、会話も楽しみたいものです。対策としては、一度に口に入れる量を減らすこと。
食事を楽しく美味しくいただくことが、糖質オフを継続する秘訣です。食事中の会話も楽しんで、しっかり糖質オフに励みましょう!」
糖質オフ生活の参考に!
著者:亀川 寛大(マキノ出版)
「外食チェーンの糖質オフメニューは、本当に有効なのか?」。そんなギモンから、 亀川医師が自分の体を実験台にして調査。血糖値の上昇幅や、コストパフォーマンス、味、満腹度などで総合的に評価し、採点・ランク付け。 この本を読めば、糖質制限中の外食で何を選べばよいかがひと目でわかる。
島崎昭光=文 波打ベロ子=イラスト