TOY CAR STORY vol.2●「オーシャンズ仕様のカスタムカー、つくります!」 と、高らかに宣言して始める「「TOY CAR(トイ・カー)」プロジェクト。大人がドキドキ・ワクワクする最高にオモチャな車の仕上がりまでを追う。

>前回の「オモチャみたいに遊べる車カスタムプロジェクト、始動!」はコチラ

前回、オーシャンズが作るトイ・カーのベース車両を2代目フィアット・パンダの4WDモデルに決定。そして、パンダが手に入ったとプロジェクトのパートナーであるカードローブの田島さんからの一報が。

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世の中に一台きりのトイ・カーだ、ボディもオリジナルの色に変えてしまおう。それも今回のテーマ「FUN!」の通り、プロの塗装業者に頼むではなく、自分たちでやってみることにした。


トイ・カーに必要な、見るだけで楽しくなる色を

発見したパンダは、2006年式、走行距離が10万3000kmでワンオーナー。目立つキズや凹みもなく、内装に汚れやシミもない。足まわりなど消耗品の交換が必要な箇所は年式相応にあるが、「きっちり整備すれば大丈夫。年式を考えれば、比較的状態のいい車」だと田島さん。

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田島直哉(たじまなおや)さん。1977年生まれ。輸入車を中心とした車の販売とスタイリングを手掛けるカーショップ、Cardrobe!(カードローブ)代表。以前はビームスに勤務。センスのいい車を求めて訪ねる人が後を絶たない。今回オーシャンズとともにトイ・カー作りを進めてくれる。

「『遊べるトイ・カー』にするには、やはり見た目も重要です。じゃあどんな色がぴったりか? オーシャンズが求める見ただけで楽しくなるような、ほかにはない色ということで、考えてみました」。

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仕事柄、webやSNSで日々世界中のいろんな車を見ている田島さんが、タブレットでとある海外のSNSの写真を見せてくれた。

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引用:Instagram @dailyoverland

気持ち赤味がかったイエローを帯びたクラシカルなオフローダー。マスタードのような、山吹色のような濃いめの黄色だ。

一方で足回りやルーフをブラックで引き締めている。

はい! これ!

街でも山でもハッとさせられるし、ルーフをブラックにすればかわいくもなりすぎない。「手に入れたパンダのシートには黄色も入ってますから、内装との相性もいいはずですよ。そして今回のパンダは4WD、よりアウトドア感とオリジナリティを出すために、これをツヤ消しのマット仕様で塗りましょう」と田島さん。でもそんな絶妙な色、用意できるんですか?

「実は、タカラ塗料さんという、面白いカーペイント屋さんがあるんですよ」。

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大阪に拠点を置く塗料&ペイントサービス会社、タカラ塗料。カーペイントにおいては珍しい「刷毛とローラーを使って自分で塗る」。というDIYによる新しいカーペイントの楽しみ方を提案している。http://brush-carpaint.com

好みの色を調色して販売してくれるタカラ塗料。「塗料を売るというより、色を売っている」と自負する塗料メーカーで、豊富なオリジナル色を用意しているだけでなく、愛車を自分で塗装することも提案しているなど、トイ・カーの助っ人にはピッタリだ。

早速連絡したところ、快く協力を買って出てくれた。こちらの希望を伝え、いくつかある黄色系の色見本を見せてもらう。

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タカラ塗料で人気のオリジナルカラー「パンプキンスープ」。マットに仕上げられたニュアンスカラーはほかにはない味わいを醸し出す。

人気のパンプキンスープもいいなぁと思っていたら、とある見本に載っていた黄色にビビッときた。

ポップだけど、かわいすぎず、想像通りの黄色だ!

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いざDIY塗装! の前に重要なのが、丁寧な下準備

色が決まったらいよいよ……と思ったら、田島さん曰く「自分で塗る場合、塗装の下準備がいちばん重要なんですよ(笑)」。

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タカラ塗料より送られてきた「刷毛・ローラーセット(3人用)」1万円。基本的に必要な道具一式が揃っている。

要は、例えばドアのフチなど、黄色に塗りたくない部分に「塗料が付かないよう」外したり、テープでフチを覆ったり(マスキング)しなくちゃいけない。

「まずは家にある工具で簡単に外せるヤツは外しちゃいましょう」と田島さん。慣れた手つきでグリルやドアバイザーを外していく。

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「フロントグリルは、案外ドライバーだけですぐに外せることも多いです」。

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「ドアバイザーなど、塗りたい部分の上に重なって付いているパーツは、できるだけ取ってしまったほうがキレイに仕上げられますよ」。

バンパーやサイドのモールは外さずにマスキング。やらせてもらうと、あれ、ちょっとよれちゃった。ま、いっか。「良くないですよ。やり直しです。ここを丁寧にしないと、満足いく仕上がりになりません」。

す、すみません……。意外と地道で大変な作業だ。

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「塗装しない部分の縁に沿ってキレイにテープを貼りましょう。子供と一緒にやっても楽しいかも。案外子供のほうが器用に貼れたりして(笑)」。

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フロント部分にテープを使ってマスキング。フロントライトとバンパー中央の黒い部分は簡単に外せなかったので、このあとビニールで覆ってしまう。

フロントガラスなど、大きな面積の部分はマスキングテープではなく、ビニールや新聞紙で覆う。で、ようやくマスキング作業が終了!

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1時間ほどで終了。車体サイズにもよるだろうが、夢中になってやっていると案外すぐに終わってしまう。(このあと田島さんがキレイに仕上げてくれました……)

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「次はサンディングをします」。

サンディングとは、紙やすりで塗装の表面に細かな傷を付け、上から塗る塗料が付着しやすいようにすること。そのまま紙やすりを当てる「空研ぎ」と、水を掛けながら擦る「水研ぎ」がある。今回は水研ぎをすることに。

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水を流しながら、塗装面全体をサンドペーパーでサンディングしていく。オススメは「600」番手の比較的細かい目のペーパー。目が荒すぎると塗装後にも気になるような深い傷をつけてしまうこともあるので要注意だ。

「ご家庭でやるときも、水が流せるガレージなら、水研ぎをオススメします。空研ぎだと塗料の粉が舞ってしまうので、ホームセンターで売ってる防塵マスクをしたほうが良いかもしれません。仕上がりは、表面が曇った感じ」。

水研ぎの場合、少し乾いてからでないと曇ったかどうか判別しにくい。で、乾いてみると意外と擦り忘れや力加減の差があり、そこをまた研いで……を繰り返す。

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ボンネットの向かって左がサンディング後、右がサンディング前。これぐらいに塗装面が曇ればOKだ。ボンネットの半分で所要時間は15分程度。

さあ、ようやくパンダの全身が曇ったぜ! と、塗料のハケを持とうとしたら「あと脱脂ですね」。

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脱脂に使う溶剤とゴム手袋。タカラ塗料の刷毛・ローラーセットにはこちらも含まれている。

だっし? 表面に油分が残っていると、せっかく塗った塗料が弾かれてしまうのだとか。これを怠ると、色がマダラなパンダになってしまう。そのため溶剤で曇ったボディに残る油分を丁寧に取り除く。

と、今回はここまで。次回こそ、いよいよハケを持って、パンダを黄色に染めるのだ! 世にも珍しい黄色×黒パンダ。どんな仕上がりになったかは、しばしお待ちを。

[取材協力]
タカラ塗料
http://brush-carpaint.com

カードローブ
https://cardrobetokyo.com
Instagram:@cardrobe_tokyo

籠島康弘=文

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