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働く男の定番ツール「Office」のスマホ版が超絶進化。仕事...の画像はこちら >>

オフィスワークに励む男たちにとって“3種の神器”ともいえる「ワード」、「エクセル」、「パワーポイント」。それらすべての機能を統合したマイクロソフト公式の新アプリ「Office」が、スマートフォン版で登場した。

プレビュー版を試用したところビジネスはもちろん、それ以外の用途でも重宝しそうな機能が盛り込まれていることが発覚。ITツールの最前線をチェックしておきたい男たちのために、スマホ版「Office」の“見どころ”を、正式版の公開前に紹介しよう。


3つのアプリが統合され、ファイルの扱いがよりシームレスに

マイクロソフト社の「ワード」、「エクセル」、「パワーポイント」といえば、ビジネスマンなら、使ったことがない人を探すほうが難しいくらいメジャーなアプリ。PC版だけでなく、移動中でも手軽に書類のチェックができるツールとして、スマホ版を活用している人も多いだろう。

今回紹介するのは、米マイクロソフトが2019年11月4日(現地時間)に発表したばかりの、その名も「Office」という新アプリだ。名前のとおり、これまでは別々のアプリとなっていた「ワード」、「エクセル」、「パワーポイント」をひとつに統合することで、使い勝手の大幅な向上を実現させたという。

働く男の定番ツール「Office」のスマホ版が超絶進化。仕事以外でも使えそう!
「Microsoft Office365」のYouTube公式で配信されている、新しい「Office」アプリの紹介動画。英語版だが、機能の大枠を把握することができる。※本画像は、YouTubeのスクリーンショット。

機能統合という点でいえば、実際に触ってみて、もっとも便利になったと感じたのはファイルの扱い方だ。種類を問わず「ホーム」画面で、保存されているすべてのオフィス文書が参照できるので、目的のファイルを効率よく探すことが可能になっている。オンラインストレージ「One Drive」を使っているなら、もちろんOne Drive内の文書もPC版のOfficeアプリに近い感覚で操作できる。

働く男の定番ツール「Office」のスマホ版が超絶進化。仕事以外でも使えそう!
「Office」の「ホーム」画面とファイルの参照画面。端末またはOne Driveに保存されているオフィス文書や画像を簡単に参照できるUIになっている。

働く男の定番ツール「Office」のスマホ版が超絶進化。仕事以外でも使えそう!
エクセルで作成したワークシートとパワーポイントで作成したプレゼンテーションを開いたところ。画面は小さいが、ちゃんと編集機能も用意されている。

会社のPCで作成しOne Driveに保存した書類を、出先でサッと確認や編集したい場合には個別のアプリを操作するよりも、統合された「Office」を使ったほうが、より素早く作業を終えることができるだろう。

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撮影した画像内の表組を、エクセルで編集することも可能に!

「ワード」、「エクセル」、「パワーポイント」の各機能も、スマホでの利用に適した強化が行われている。なかでも注目すべきはカメラで撮影した画像から、テキストや表組をデータとして抽出する機能だ。

「ホーム」画面下の「操作」をタップすると、利用できる機能の一覧が表示される。「画像から表へ」を選択すると撮影画面に移行。
撮影した表組画像のトリミングなどにも対応している。

画像からテキストを抽出する機能は他社のアプリでも見かけるが、表組を取り出すことができるのは「Office」ならでは。端末のカメラの性能によって認識の精度に差が出そうだが、出先でプリント配布された資料内の表組を、データ化したい場合などに、大きな戦力となりそうだ。

端末の性能にもよるだろうが、文字認識の精度は50~70%程度の印象。変換前に元の画像と変換されたデータとを見比べる機能があるので、修正や保管は比較的容易だ。

ビジネス文書や資料の基本フォーマットとなっている、PDFを直接扱えるのも魅力的。内容の確認に加え、PDFに直接書き込みをしたり、チェック済みの署名を入れたりする機能も用意されている。

オフィス文書はもちろん、撮影した画像をPDF化することも可能。PDFにペンで書き込みを入れることもできる。

もちろんワードやエクセル、パワーポイントのファイルをPDF化することも可能。一連の作業がひとつのアプリで完結するため、手順が少なくなることから、小さなスマホの画面操作に対するストレスも軽減されるだろう。

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オンオフ問わず使えそうなメモ機能やスキャナー機能も装備

今回登場した「Office」には「ワード」、「エクセル」、「パワーポイント」以外の機能も統合されている。その中で、ビジネス以外の用途でも役立ってくれそうなのが、撮影&スキャナー機能の「レンズ」と、メモ機能の「メモ」だ。

「ホーム」画面下の「+」をタップすると「レンズ」と「メモ」が呼び出せる。「ドキュメント」をタップした場合には、オフィス文書の新規作成画面に進む。

「レンズ」の機能は、マイクロソフトがリリースしているアプリ「Office Lens」と同等で、ホワイトボードの書き込みや印刷物などの撮影に特化されている点が大きな特徴となっている。台形補正機能に優れており、正面から撮影できない場合でも、画像内の文字を読みやすくすることができるほか、画像への書き込みや、画像内のテキスト抽出も簡単に行える。カメラアプリをメモがわりに活用している人なら、これらの機能の便利さが伝わるはずだ。

資料類の撮影をする際に便利な台形補正機能がとても便利。撮影した画像からテキストを抜き出すことも可能だ。現状では日本語よりも、やはり英語のほうが、認識精度は高いようだ。

一方の「メモ」は名前のとおり、簡易メモを残す際に重宝する機能。箇条書きにも対応しているので、買い物やTodoリストの作成にも適している。

サクッとメモを残したい場合などに便利な「メモ」機能。カメラで撮影した写真を、直接メモに挿入することもできるようになっている。

簡易メモといっても、太字や下線などの文字飾りが使えるほか、写真の挿入も可能。作成したメモを、メールやLINE経由でほかのユーザーと共有することもできるようになっている。

「レンズ」で撮影した画像や「メモ」で記録した内容をOne Driveと連携させれば、オンオフ問わずすべての記録を1カ所に集約可能。上手に使えば、物忘れ防止にも役立ちそうだ。


ビジネスシーンだけでなく、家族と一緒に使ってみても楽しそう

正式リリース前のパブリックプレビュー版という扱いになっているため、現状(2019年11月11日現在)ではOSのバージョンなどの条件を満たしたAndroidユーザーのみがダウンロード可能となっている「Office」。筆者が確認した限りでは、ファイル検索機能がうまく働かないなど、まだ不具合もあるようだが、それでも統合アプリとしての魅力を大きく感じた。

PC版と比べれば文書の編集機能は貧弱だが、スマートフォンにBluetoothキーボードを接続すれば、簡単な修正や文書作成程度は十分にこなせるだろう。正式版では、大画面で作業ができるタブレット端末への対応にも期待したいところだ。

冒頭でも触れたように「ワード」、「エクセル」、「パワーポイント」といえば、ビジネスツールの定番というイメージが強いが、ワードなら年賀状、エクセルなら家計簿、パワーポイントなら家族のアルバム、というようにアイデア次第でオフタイムでも役立つシチュエーションがあるのは言うまでもない。

例えば、PC版のOfficeアプリにハードルの高さを感じてしまう子供たちでも、スマートフォン版なら気軽に接することができると思うので、正式版がリリースされた際には、手習いを兼ねて一緒に「Office」アプリを体験してみてはいかがだろう。

石井敏郎=文

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