>連載「オッサンIT化計画」を読む
今年は暖冬の傾向が強いものの、外で思いっきり遊ぼうという気にもなりにくいこの時期。暖かな家の中でのんびりと愉しめる、大人のホビーを求めている人も多いことだろう。
そこでオススメしたいのが、世界中で8億人以上の競技人口を誇る三大ボードゲームのひとつ「チェス」だ。初心者には難易度の高いゲームと思われがちだが、入門に最適なチェスアプリやガジェットも数多く登場している。これまで、本連載でもボードゲーム系のアプリやガジェットを多数レビューしてきた筆者が、その中から、まさに大人のための究極のチェス・ガジェットといえるIoTチェス盤「Square Off(スクエア・オフ)」(8万7780円~[税込])を紹介しよう。
AI搭載で、初心者でも気軽に対局を愉しむことが可能
ドラマ「相棒」の杉下右京氏が嗜んでいるのを見てもわかるように、論理的思考や戦術を養う役に立つことから、エグゼクティブの間にも愛好者が多いチェス。日本では将棋の人気に押され気味だが、グローバルでは当然チェスのほうがメジャーだ。海外のビジネスパートナーとのコミュニケーションのきっかけ作りにもなるので、今どきの大人として、覚えておいて損のないゲームといえる。
とはいえ初心者がチェスを嗜むためには、まず指導者兼対戦相手を務めてくれる“相棒”が必要。スマートフォンやPCのアプリから始めるという手もあるが、それではチェスが持つダンディなムードが、いささか損なわれてしまうのが悩ましいところだったりする。そんなジレンマを解消してくれるのが、最近登場したばかりのスクエア・オフ、というわけだ。

ご覧の通り見た目はゴージャスなチェス盤。もちろん、通常のチェス盤と同様に2人で遊ぶこともできるが、内部にAIを搭載しており、AIを相手にひとりで遊べるのが特徴となる。しかも、対局相手の駒が「自動で」動くのだから驚きだ。
まるでファンタジー映画の1シーンのような光景は、遊び心を満足させるには十分。

AIの棋力は、チェスの強さを示すイロレーティングに基づいた20段階が選択可能。チェスが持つダンディなムードを満喫しつつ、ひとりで基礎から上達を目指すのに、打ってつけのガジェットといえるだろう。ちなみに、対局が終わると、これまた「自動的に」駒が開始時の配置に戻っていくのも、芸が細かいところだ。
“リアル”なオンライン対戦機能も魅力
これだけでは、ただのAIチェス盤ということになってしまうが、もちろんスクエア・オフの機能はそれだけにとどまらない。

このチェス盤は、世界最大級のチェス対局サイト「Chess.com」と連動しており、ネット接続することでオンライン対局も可能になっているのだ。
対戦は、世界中から自由に対局相手を探す「Open Challenges」、ランダムに対局相手を探す「Random Challenge」の各モードが用意されているほか、もちろん特定のユーザーとのプレイも可能。自分の棋力に応じた腕試しの武者修行をすることができる。

さらに、第三者同士の対局をチェス盤上で再現する「ライブゲーム」機能が用意されているのも嬉しいところ。ほかのプレイヤーの対局を見ることで勉強になるのはもちろん、盤上で勝手に展開される勝負の様子は、それ自体がインテリアとして魅力的に映るはずだ。眼前に展開される対局を、好きな酒を飲みつつ眺めるなんて、なんとも優雅かつダンディなひとときではないか。
約10万円という価格は、一般的には高額にみえるだろうが、実際のところ高級なチェス盤と駒のセットだと、これ以上の価格もざらにある。

デザインも、一般的な木目調(ブラウン)の「Grand Kingdom Set」(8万7780円[税込])とシックな印象の「Black Edition」(9万8780円[税込])の2パターンが用意されているので、シーンにあわせて選ぶことが可能だ。
囲碁将棋も渋いが、もう少しスタイリッシュな大人のホビーを身につけたいという向きにピッタリなチェス。そのハードルの高さを最新技術によりグッと下げてくれるばかりか、上達してからも長く使い続けることができるスクエア・オフは、チェス初心者にこそ試してほしいガジェットといえるだろう。
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石井敏郎=文
1970年横浜市生まれ。Windows95発売時よりテクニカルライター&編集者として活動。現在はITのほか、音楽やファッション、フィジカル系の記事執筆を行っている。