誰もが若かりし頃に憧れた、粋な大人たち。すっかりいい年になった今、俺たちはそんな男になれているだろうか?
クールで尖がった今の20代の若者たちは、こんな先輩たちを、かつての我々のようにその目で追っているのだ。
一見するとベーシックでも実は遊び心がそこかしこに
エイチ ビューティ&ユース 店長 袴田英介さん Age 37
「大人になってもヘインズやディッキーズばかり着ています」という袴田さん。確かにバランスはオーセンティックだが、Tシャツは旬なブランドで、ワークパンツではなくスラックスというのが都会的。「下の世代の洋服観にもシンパシーを感じます」という言葉にも納得。

[左]ワントーンに白ソールを利かせて軽やかに。[右]背面にのみ、大胆なグラフィックが。

「玄人好みなものも最新ブランドもさらっと着こなすのに、好きなスニーカーはブレていなかったり、自分のスタイルがあって僕や他の後輩たちもついマネをしがちです(笑)。サーフィン好きで、ディッキーズをひたすらはき込んでいるところも格好いい、我らがボスです」。
バランス感が絶妙な緩急のついたレイヤード

スコーシャ セールス& MD、サンフランシスコネクト MD 飯田裕一郎さん Age 43
飯田さんのお洒落の原体験は、10代でハマったスケートボード。そこからアメリカものに傾倒し、今もワードローブには古着が多数。「特にパンツが好きで、コーディネイトはいつもボトムスから考えます。服がラフなぶん、足元は革靴でユルくしすぎないのが僕の定番です」。

[左]ネックレスは形やモチーフが洒脱。[右]手元のアクセも、ほぼスコーシャのもの。

「“パンサー”の愛称で親しまれる飯田さん。
カルチャーのある服を肩肘張らず、デイリーに

バーバーサコタ代表 迫田将輝さん Age 32
迫田さんにとって古着は、フリマを巡っていた10代からの定番。スケーターでもある彼らしく、ポップな足元以外は落ち着いたトーンでまとめたリラックススタイル。「昔と違って背伸びをしなくなりました。娘と一緒のときに動きやすい、短丈のトップスを今は選びがちです」。

[左]こなれ感のある、古着のリバースウィーブ。[右]池ノ上(東京・世田谷区)のミンナノとのコラボ。

「迫田さんが以前勤めていたお店に髪を切りに行ったのが知り合ったきっかけ。僕のボロボロのスケシューを見て、『スケートするんだね』って声をかけてくれました。スケーターだけど格好は小ぎれいだし、何を着てもいやらしく見えません。今もお世話になってばかりです」。
懐かしのアイテムを多用しつつ、着こなしはフレッシュに

ティッキングストア ディレクター 谷田 貝さん Age 35
青春時代に夢中になったブランドや名作を、今の気分に合わせて取り入れた温故知新なコーディネイト。「古着や裏原、ハイブランドなんかもミックスする面白さは、同世代ならわかると思います。

[左]バンダナリメイクの一点物オリジナルバッグ。[右]顔回りの小物は、ナードなストリート感が◎。

「今は移動式の古着屋という、珍しいスタイルでお店をやっている、職場の元先輩。とにかく物知りで、当時から頼ってばかりでした。ちょっと強面だけど(笑)、話すと物腰が柔らかくてそのギャップも素敵です。服装のミックス感も過不足がない印象で、絶妙なんですよね」。
比嘉研一郎、恩田拓治、志賀シュンスケ、鳥居健次郎=写真(取材) 増田海治郎、髙村将司、いくら直幸、増山直樹、菊地 亮=文 長谷川茂雄、今野 壘、大関祐詞=編集・文