まだ在宅ワークが推奨されている今、オンラインの打ち合わせや商談が増えたため、ビデオ会議ツールに慣れてきたという人も多いはず。

「在宅でのON・OFFの切り替え」「遠隔でのコミュニケーション」について紹介してきたが、仕事での“在宅”に慣れてきたとなれば、次のステップとして気になってくるのが、話題の「オンライン飲み会」ではないだろうか。

Zoom、Skype、それともLINE? オンライン飲み会に...の画像はこちら >>

仕事の場合は、会社や得意先からツールを指定されるので悩む必要はないが、自分でオンライン飲み会を主催するとなれば、ツール選びから始めなければならないのが面倒なところ。

そこで、複数のビデオ会議ツールを試してみた筆者がオススメする、オンライン飲み会向けのビデオ会議ツールを紹介しよう。

 


オンライン飲み会向に適したビデオ会議ツールの条件は?

テレワークの世界的な盛り上がりを受け、続々と新サービスが登場しているビデオ会議ツール。しかし、お酒を飲みながらリラックスしたムードづくりが欠かせないオンライン飲み会の場合には、仕事向けの利用とは選ぶ観点も変わってくる。

●基本無料で利用できること

●スマートフォンからでも参加できること

●操作が難しくないこと

●2~10名程度の人数で快適に利用できること

●ある程度プライバシーへの配慮があること

あたりが、選ぶ際のポイントといえるだろう。以上の条件を満たしているビデオ会議ツールの中から、今回は特にメジャーな「Zoom」、「Skype」そして「LINE」の3つを比較してみた。


話題のZoomは、アカウントなしで参加できるほかバーチャル背景が魅力

オンライン飲み会を開催してみたい人たちにとって、特に気になるのが最近急激に普及している「ズーム(Zoom)」だろう。

PCやスマートフォンを使った、オンライン会議やセミナー向けに開発されたサービスで、利用者がホスト(主催者)とゲスト(参加者)という関係にわかれている点が特徴となる。ホストが用意した会議スペースにゲストを招くのが、利用手順の基本だ。

Zoom、Skype、それともLINE? オンライン飲み会に適したツールはどれだ
ズームの公式サイト。アカウント登録やアプリのダウンロードはここから行う。

ズームが急速に普及した最大の理由は、ビデオ会議に参加する際の面倒が少ない点にある。

ホストからの招待を受け、指定されたURL(またはミーティングID)にアクセスすれば、ズームに登録していない利用者でもビデオ会議に参加できるのだ。

スマートフォンから参加する際には専用アプリをダウンロードする必要があるが、アカウント登録は不要なので、すぐに会話に加わることが可能。PCの場合はブラウザから参加もできるので、アプリの用意も必要ない。この手軽さは、かなりオンライン飲み会向けといえるだろう。

また、アプリから参加した場合には「美肌モード(外見を補正する)」と「バーチャル背景」の機能が利用できるのも魅力的。特に美肌モードは、酔いとともに顔が赤らんだり、男性の場合は脂が浮いてきたりした際に有効な機能だろう。

Zoom、Skype、それともLINE? オンライン飲み会に適したツールはどれだ
バーチャル背景の設定画面。背景は自分で追加することが可能。ネット上で多数の背景画像が配布されている。

注意点としては、3名以上の会議を開催した場合には、無料版だと1回40分の時間制限があること。オンライン飲み会という観点からみると、40分では物足りないかもしれない。ちなみに時間制限のない有料版(プロ)の料金は月額で2000円。時間制限をなくしたい場合は、仲間と割り勘で料金を支払っても良いだろう。


ズームに比べ時間制限の緩さが魅力のSkype。背景ぼかし機能も便利

ズームの対抗馬として注目されているのが、マイクロソフトが提供する「スカイプ(Skype)」だ。

ズームがビデオ会議のためのツールであるのに対し、スカイプは本来、ビデオ通話やビデオ会議もできる、電話に近いコミュニケーションツールであるということが基本的な違いといえる。

Zoom、Skype、それともLINE? オンライン飲み会に適したツールはどれだ
スカイプの公式サイト。ウィンドウズ10が搭載されているPCには、スカイプが標準インストールされている。

そのため、ズームに比べ電話に近い感覚で利用できるのが特徴。ホスト、ゲストという関係はなく、アカウント登録をしている人なら、誰からでもビデオ会議を開始することができる。

それ以外の基本的な使い勝手は、ズームとほぼ同様だ。

スマートフォンから利用する場合にはアプリが必要だが、アカウント登録をしなくてもビデオ会議に参加することも可能になっている。

ズームのような美肌モードはないが、最近バーチャル背景機能が追加されたほか、自分以外の背景をぼかす機能が用意されている。部屋の乱雑さを隠すことができるのは、オンライン飲み会用途にも便利なところといえるだろう。

Zoom、Skype、それともLINE? オンライン飲み会に適したツールはどれだ
背景ぼかしの設定画面。背景のほか、髪の毛のほつれもある程度隠すことができる。

ズームと同様に無料で利用可能だが、スカイプの場合は、時間制限が緩いのがメリット。1日あたり最大4時間までのビデオ会議ができるので、オンライン飲み会にも十分なはずだ。


馴染みのあるLINEも、オンライン飲み会にはなかなか便利

日本人にとって、もっとも馴染み深いオンライン飲み会に使えるツールといえば、やはり「ライン(LINE)」だろう。

アプリの用意やアカウント登録が必須となるが、ほとんどの人がラインを利用しているので、オンライン飲み会開催の準備という点では、もっともハードルが低いツールといえる。

使い慣れているツールなので、初めて複数人でのビデオ通話をする場合でも、操作を理解しやすい点もメリット。スマートフォンでの利用はもちろん、PCからの参加も可能だ。

無料で利用できるのはもちろん、時間制限も特にないため、長時間のオンライン飲み会にも適している。ズームやスカイプとは違い、スマートフォンで背景ぼかしやバーチャル背景が利用できる点もLINEならではの特徴となるだろう。

 


初めてのオンライン飲み会にはラインがおすすめ。画質を求めるならズームやスカイプが有利

最後に、オンライン飲み会のためのツールとして見た場合の、3つのサービスの特徴を比較してみよう。

Zoom、Skype、それともLINE? オンライン飲み会に適したツールはどれだ

このうち、オンライン飲み会を開催するうえで大きな差となるのは、やはり時間制限だろう。機能や手軽さではズームが有利ではあるが、無料の場合40分の時間制限があるのが厳しいところ。ホストを交代し接続しなおすといった工夫をすれば40分以上のビデオ会議も可能だが、飲んでいるときにその操作をするのは、ちょっと面倒だ。

同時に参加できる人数については、よほど友達が多い人でない限り問題のない範囲だが、実はスカイプとLINEは1画面に表示できる人数が6名程度になっている点には注意が必要。10名以上で同時に顔を見ながら飲みたいという場合は、ズームのほうが向いているだろう。

また、ビデオ会議の画質についても、筆者が試した範囲ではズームがもっとも良好だった。スカイプは参加人数や通信回線の状態によって画質が変わりやすく、LINEに関してはズームやスカイプに比べると明らかに低画質という印象。スマートフォンの小さな画面なら気にならないが、PCで見る場合には、高画質のサービスを選んだほうが楽しいかもしれない。

 

結論としては、それぞれ一長一短があるという感じではあるものの、PCやスマートフォンの操作が苦手という人が多い場合には、LINEを使うのがいちばん良いのではと思った。なにより、ほとんどの人が使い慣れているのが強みだし、スマートフォン向けの機能が充実している点も、フランクに楽しみたいオンライン飲み会向けといえるからだ。

一方で、PCで参加できる人が多い場合には、LINEよりもスカイプやズームのほうが画質も良く、操作感も優れている。無料の場合、時間制限がある点がネックだが、課金をしてもよいなら、ズームのほうが簡単に使えるかもしれない。

LINEを使ったオンライン飲み会に物足りなくなってきたら、ズームやスカイプにステップアップしてもよいだろう。

ちなみに、ズームにはセキュリティ面での問題があるとされ、大企業や自治体などで利用を禁止している場合もあるようだが、小規模なオンライン飲み会用途に限っていえば、そこまで気にする必要はないだろう。それでも気になる場合は、スカイプの利用をおすすめする。

実際に開催してみればわかるが、互いの顔が見えるビデオ会議ツールを使ったオンライン飲み会は、思っている以上に「密」な雰囲気を楽しむことができる。気分がこもりがちな当節には、打ってつけのレジャーといえるだろう。

2人からでも良いので、まずは初めてみることが大切。この機会に、オンラインならではの新たなコミュニケーションを満喫してみよう。

 

石井敏郎=文

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