「Running Up-Date」とは……
外出自粛要請下のランニングをアップデートさせるべく、積極的に活用したいのがランニング系SNSサービス。
前回に引き続き、その世界最大手であるストラバ(STRAVA)に投稿されたランニングの記録=世界の走りのビッグデータを紐解いて、世のランニング習慣を覗き見してみたい。
日本では「メンタルヘルス」のために走る人が多い?
今回新たに参考としたのは、ストラバが世界2万5000人のランナーに向けて実施した「WHY WE RUN」というアンケート調査だ。
平均年齢は41.21歳で、ランニング歴は1年以内:7%、1~10年:63%、10年以上:30%という構成になっている。

日本のランナーの特徴のひとつが、「ランニングは不安や気分の落ち込みを解消するのに役立つ」と回答した人の割合が、世界のほかの国に比べて高かったこと。そういえばRunning Up-Dateの過去の連載でも、ストレス解消のため、日常生活におけるメンタルを整えるために走るというパイセンが多かった。
体のためだけでなく、メンタルのためにも走る。言いかえれば、ランニングはメンタルヘルスの維持に役立つ。今こそまさに走りたくなっている理由のひとつがここにあるのかもしれない。
ひとりで走る派が大多数
日本のランナーの特徴として、もっとくっきり表れているのが以下の項目。

この図は日本人ランナーの平均だが、「誰と一緒に走るか」という設問において、ほかの国ではすべての年代において「友達と走る」という回答がいちばんに来ることがポピュラーだった。でも日本では上のとおり、「ひとりで走る」という回答が他を圧倒。
新型コロナウイルス感染症が世に広まる前のアンケート結果なので、今の実態は恐らく違うだろうけれど、日本のランナーはもともと群れずにひとりで走る派が大多数だった模様。それならある意味今も変わらずできるスポーツという点において、ランナーにとってはまだマシな状況と言えるのかも。
オーシャンズ世代は1日のうち「いつ」走ってる?
他にも世界のランナーに比べて差が表れた項目が、いつ走っているのかという点だ。年代や性別でも分けられるので、「日本人、男性、35~44歳」の回答に絞って抽出したのが以下のデータだ。

これによると、平日においては朝派と夜派が同数で拮抗する。
日本はまだまだ残業が多いのか、それとも単に日が暮れるのが早くサマータイムも導入されていないからか。はたまた海外のランナーはもっとフレックスに走れているのか。
週末においては「朝」が6割以上を占める。日中は家族の時間とし、1日を有効に使うためなのだろうか。何にせよ、1日の始まりにランニングするのは気持ちがいいもの。休みの日こそ朝に走る人が増えるのは大いに納得だ。
憲法記念日は絶好のフィットネス日和だ
ちなみに前回参考にしたビッグデータに目を戻すと、日本において、年間に最もアクティビティのログ投稿数が多かった日が5月3日だったそう。そう、ゴールデンウィークの憲法記念日だ。

たしかに日本のゴールデンウィークは気持ちが良い気候で、走ったりサイクリングしたりしたくなる人が増えるのは当然に思える。もちろんこれは新型コロナウイルス感染症の影響とは無関係だった2019年のデータだ。
一方で運動する人が少なかった、あるいは例年に比べて減ってしまった日というと……。

当然と言えば当然だけど、寒波や雨の影響を受けた日は走る人が減る。とくに雨だとより顕著に減る。
ここから言えることは、今から梅雨入りまでの期間は絶好のランニングシーズンだろうということ。運動会を9月でなく5~6月に開催する学校も増えていることだし。ちなみにWHOでは「制限が出ていなければ屋外で、周りの人との距離を保ちつつ1日30分ほど(成人の場合)の運動。もし屋外に出れない状況であれば屋内での運動」を提唱している模様。
ライフスタイルに大きな変化が起きるタイミングに直面しているけれど、こんなときは参考までにランナーのデータを眺めてみるのも面白い。

「Running Up-Date」とは……
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る
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礒村真介(100miler)=取材・文
※ストラバが発表しているYear In Sports2019(2018年10月1日~1年間のデータベースを参考にしたもの)をもとに記事を作成しています。