「オンライン飲み会という名の愉悦」とは……
飲み会に特化したオンラインサービス「たくのむ」。これを利用して、過去の記事の中で特に反響が大きかった看板娘と乾杯する企画である。
第8回にご登場いただくのは2019年4月に取材した朝子さん。本業はフリーランスのライターだが、さらにスタンドバーの看板娘、コンビニ店員という3つの顔を持つ。
スタンドバーの「タバタバー」は2018年に当時の恋人(現・夫)とともにオープンさせた店。コンビニは義父がオーナーで夫が店長を務めている。
金麦、好きなんですか?
「うちはビールの消費量がとんでもなく多いので、節約のために最近発泡酒にしました。その前はサッポロ黒ラベルで、6缶入りの箱で買うと500円ぐらい違うんですよ」。

「せっかく住宅街にあるお店なので、忙しくないときは常連さんに話しかけています。毎朝、必ずコロッケを1個買っていくおばあちゃんがいて、すっかり仲良しになりましたね。たまにLチキが加わると、今日はお腹が空いているのかなと推測したり(笑)」。
前回の記事にも書いたが、朝子さんは仙台出身で高校卒業後は秋田大学に進学した。
「結構ギリギリで入れた大学だったので、せっかくなら楽しもうと思って学内で雑誌を作ったりしていました」。

その高いクオリティが話題になり、主筆を務めていた朝子さんは、秋田経済新聞にも取材されている。
なお、「タバタバー」は3月末から休業しているが、このたびの緊急事態宣言解除を受けて近く営業を再開するという。

「ちなみに、右端が『タバタバー』にほぼ毎日いる義父です。離婚していて家にひとりでいるのが寂しいらしく、バーのお客さんで仲良い人たちを家に招いたりしています(笑)」。

自由に旅行ができた頃の話を聞いた。
「ゲストハウス巡りが趣味の女友達がいて、その子と全国を回っていました。印象的だったのは去年の2月に泊まった富山県氷見市の『HOUSEHOLD』。海辺にあって内装や椅子もお洒落なんですよ」。

翌日は漁港名物の「朝セリ」を見学後、宿で野菜のせいろ蒸しを含む美味しい朝食を堪能した。

「泊まれる出版社として有名な神奈川県の『真鶴出版』もよかったです。夫婦でやっているゲストハウスで、普通の観光客は行かない穴場を教えてくれます。その日は地元の人が夜な夜な集まる謎の角打ち、『草柳商店』に連れて行ってもらいました」。

そして、コロナ後。

休みが合う日は夫婦で散歩に出かける。どこかの街に行った際は、ついでに駅周辺を散策するのが楽しいそうだ。

「あとはひたすら料理をしています。ふだん作らないようなものをやろうと思って、サムゲタンにも挑戦しました。参考にしたのは『北欧、暮らしの道具店』という大好きなウェブマガジンで見つけたレシピで、めっちゃ美味しかったです」。

さらに、バーを閉めているのでレモンサワー用に仕入れたレモンが大量に余った。それを有効活用するために自宅用にレモンシロップを漬け込んでいる。写真の後ろは店の向かいの花屋さんで買った花をドライフラワーにしたもの。これもコロナ後の人生初チャレンジだそうだ。

「家の中の仕事環境もかなり整備しました。

ずっと使っていなかったアロマディフューザーも引っ張り出してきた。気分が上がるオイルを垂らして仕事に励む。

そのほかのトピックといえば、3月中旬から始めたラジオ配信。キャッチフレーズは『朝子の、朝に聴く、あさラジオ』だ。
「たまたま友達がやり始めたのがきっかけで、今や毎朝の習慣になりました。日々のなんてことないことやオススメ本を紹介して、反応が返ってくると嬉しい。実は勇気を出して始めたんですが、ほかのSNSでは繋がりを持ち得なかった人たちとのコミュニケーションの場となっています」。

というわけで、3つの顔を持つ看板娘は自宅の仕事環境を充実させるとともに、ラジオ配信という新たな習慣を手に入れていた。
5月25日、緊急事態宣言は全都道府県で解除。「タバタバー」を含め、日常の風景は少しずつ戻っていくのだろう。
【取材協力】
タバタバー
住所:東京都荒川区東尾久4-52-14-103
https://bar.tabatime.net
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「オンライン飲み会という名の愉悦」とは……
これまで取材してきた109人の看板娘を振り返りながら、ふと考える。「あの人、元気かな?」。本来なら近況を聞きながら乾杯したいところだが、何しろこんなご時世。そこで思いついた。遠隔でオンライン飲み会を開けばよいのだ。さっそく、人気上位の看板娘にオファーしよう。 上に戻る
石原たきび=取材・文