「STAY YOUNG総合研究所」とは……
もはや他人事ではない「更年期障害」。前回のセルフチェックの結果を受けて少しでも危惧する人は、今日からテストステロン値を高める対策を講じよう。
ライフスタイルの改善と日々のちょっとした心がけで、右肩下がりに低下中のテストステロンは再び分泌され始めるのだ。
[対策1]睡眠の質を高める
寝る前のスマホをやめれば朝勃ちが復活する!?
アメリカ医学協会の研究によれば、睡眠不足が1週間続くと、テストステロン値が最大15%も低下すると報告されている。何よりテストステロンは、夜眠っている間に分泌される。睡眠はテストステロンを増やすために最も重要な生活習慣なのだ。
睡眠の質を下げる悪習慣といえば、就寝前のスマホいじり。液晶画面が発するブルーライトの刺激は、体内時計に作用して安眠を促すホルモン・メラトニンの分泌を抑制してしまう。当然、寝酒も熟睡を妨げる。
お酒を飲んで寝ると、アルコールの分解時に発生するアセトアルデヒドの影響でしばらくレム睡眠(カラダは休んでいるが、脳は動いている状態)が抑えられる。しかし、その反動で睡眠時間の後半にレム睡眠が増加。結果、浅い眠りが続き、途中で目が覚めやすくなる。
セルフチェックの項目にも挙げたように、覚醒時の「朝勃ち」もテストステロン値と関わる重要なファクター。朝勃ちに気付くのが2週間に1~2回以下の場合はテストステロンの低下が疑われる。
[対策2]孤独にならない

テストステロンの源は仲間たちとの絆!?
現役時代はバリバリ男らしかったのに、定年後は家に引きこもってしょぼくれてしまった。そんな男性がいる一方、80歳を超えているのに友達と元気に遊び回っている、という男性もいる。
実はこれもテストステロンで説明がつく。テストステロンは社会との接点と深く関わっていて、「社会に対して自分が人の役に立っている」と思える自信を失うにつれ、分泌量が減ってしまうのだ。だから、趣味やボランティア活動など仕事と家庭以外のコミュニティに属すること、つまりサードプレイスを持つ男性は年を取っても若々しいのである。
もともとテストステロン値が高い人は仲間意識や縄張り意識が強い傾向があり、リーダーに必要なチャレンジ精神や社会に貢献しようとする気持ちが強いといわれる。
ちなみにテストステロンは女性にもわずかながら分泌されていて、その値が高い女性は積極的で社会生活の活動度が高いとされる。職場でリーダーシップを発揮する女性がいたら、それはテストステロンの力かもしれない。
[対策3]他者と競い合う

神様は闘わない男に男性ホルモンを与えない!?
“勝利のホルモン”とも呼ばれるくらいテストステロンは勝負事によって高まる。その秘密はテストステロンがつくられるまでの過程にある。コレステロールを原料として、プロゲステロン(女性ホルモンの一種)からDHEA(男性ホルモンの一種)、テストステロンへと生成される。
そしてDHEAはストレスを受けたときに分泌が増える抗ストレスホルモンでもある。つまり闘争心を掻き立てるような行為は、ストレスを受けたときと同じく交感神経が刺激されるため、DHEAが増える。その結果、テストステロン値も増加するというわけだ。
トップアスリートが猛々しく映るのもテストステロンの効果なのだ。
ちなみにロンドンで高額の株式や債券を取引するデイトレーダーたちのテストステロン値を調べたところ、ほかの職業よりも数値が高かったという。
[対策4]運動を習慣づける

階段への回り道が長生きへの近道に!?
テストステロンは運動と深く関わっている。筋トレを行ったあとに起こる超回復という現象で筋肥大を促す役割もあるのだ。
テストステロンは無酸素運動やインターバルの短い筋力トレーニングによって産生が増加するといわれている。なかでも効果的なのが太腿の大腿四頭筋やハムストリング、尻の大臀筋を筆頭とする筋肉量の多い部位を集中的に鍛えることだ。
たとえば、普段はエレベーターを使わず、自力で階段を上るなんて習慣もアリ。キツいトレーニングが苦手なら、ウォーキングやジョギングといった運動から始めてみてもいい。有酸素運動には細胞内のテストステロン受容体を増やす効果があり、ホルモンの働きを活性化させることができるのだ。
テストステロンの分泌が多い人は少ない人よりも長生きするというデータがある。運動を習慣づけて、壮健なカラダを手に入れよう。
[対策5]テストステロンを上げる食材を摂る

悪玉コレステロールだって絶倫男には欠かせない!?
テストステロンの原料になるのはコレステロールだ。そのため、ベジタリアンよりも、ステーキや魚、卵、乳製品といった動物性コレステロールを含む食品を摂ったほうが有利。
また、コレステロールの一種であるLDLは、摂りすぎると動脈硬化を引き起こすことから悪玉コレステロールとも呼ばれているが、肝臓から全身の組織へコレステロールを届ける物質でもあるため、ある程度は摂取する必要がある。
コレステロールで挙げた食品はたんぱく質が豊富だが、さらに豆腐や小豆などの豆製品でも補給したい。これらの食品にはビタミンB群も豊富に含まれているため、代謝が高まることでホルモン系が強化される。
昔から「精がつく」として知られる野菜もおすすめ。ニンニクやネギ類は臭み成分の硫化アリルがテストステロンの分泌を促す。山芋はジオスゲニンという男性ホルモンの一種であるDHEAによく似た構造を持つ成分を含み、DHEAの働きをサポートしてくれる。
専門のクリニックで受けられる男性ホルモン補充療法の実態とは?

更年期障害の症状がひどい場合はクリニックで治療を受けるのがベター。今回、監修してくれた田路先生が在籍する松倉クリニック&メディカルスパでも「総合ナチュラルホルモン補充療法」という治療を行っている。
まずは血液検査で血中のホルモン量を計測し、チェックリストで身体や精神、性機能の症状を調べる。後日、検査結果をもとにホルモン補充療法を開始する。男性ホルモンの場合は自宅で治療しやすいクリーム剤が主流。胸や腕などの筋肉に塗布すると薬剤が体内に吸収され、数日~約1週間で薬剤濃度が安定する。
松倉クリニック&メディカルスパ 東京/表参道
住所:東京都渋谷区神宮前4-11-6 表参道千代田ビル9F
電話番号:03-5414-3600
診療時間:10:00~19:00
www.matsukura-clinic.com

松倉クリニック&メディカルスパ ドクター 田路めぐみ先生
東京大学医学部卒業後、国立国際医療研究センターや国立がん研究センター東病院などで経験を積む。現在は東京・表参道にあるアンチエイジングの名門クリニックで活躍中。抜群の審美眼と分析力を活かし、栄養やホルモンも含めた総合的な美容診療に携わるスーパードクター。
「STAY YOUNG総合研究所」とは……
加齢とともに気になりだした体型の変化や衰え……。俺たちを取り巻く体の悩みは山積みだ。もうこれ以上、オジサンになりたくない。そこでオーシャンズは40歳からのSTAY YOUNG総合研究所を立ち上げることにした。直面する問題にしっかりと向き合い、若々しくあるためのメソッドを探る。
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小林孝至(イタルスタジオ)=写真 naohiga=イラスト 押条良太(押条事務所)=編集・文