「Camp Gear Note」とは……
オフィスに行かなくても仕事ができる時代が、急速に現実になりつつある。まあ、働き方を見直してみるには、良い機会なのかもしれない。
自宅はもちろんのこと、ちょっと考え方を変えれば近所の公園やキャンプサイトだって屋外オフィスになり得る。1ラウンド後にビーチでひと仕事、なんて新しい働き方だって夢ではないのだ。

そんなノマドスタイルの働き方の実現をサポートしてくれるギア、ポータブル電源のリーディングカンパニー「ゴールゼロ」を紹介しよう。
今回は、ゴールゼロの日本総代理店を務めるアスクの製品担当、藤井さんと奈良場さんに訊いた。
創業したのは、あのブランドも手掛ける人物

「NPOで働いていた創業者自身が、人道支援活動の現場で感じた必要性からブランドがスタートしました。どこでも電気を作ることができるソーラーパネルと、その電気を貯めて持ち運ぶことができるポータブル電源の開発に着手したんです」。

創業者の名前は、ロバート・ワークマン。ここまでで「え、デジャヴ?」と感じた方は、当連載をよくお読みでいらっしゃる。そう、創業者は以前も取り上げた「ベアボーンズ」と同一人物なのだ。
「エネルギーやギアを提供することで、困窮している人々の生活水準を向上させ、支援地域の自立をサポートする」という理念を掲げ、ロバートがベアボーンズに先駆けて手掛けたのがゴールゼロである。
災害の現場から、その利便性と存在が知られていった

ゴールゼロ社として初の製品をリリースしたのは2008年。着想から約5年に渡るリサーチとテストを経て生まれた第一号製品は、「エスケープ150」と名付けられたポータブル電源だった。このモデルこそが、世界初となる元祖ポータブル電源である。

ポータブル電源という画期的なアイデアは、世界中で発生した自然災害をきっかけに急速に認知を広げていく。
2010年のハイチ地震。2012年のハリケーンサンディ。そして2011年に発生した東日本大震災。彼らのポータブル電源とソーラーパネルは、被災地における貴重なライフラインとして世界中で大活躍した。
以降、国連や赤十字、消防や行政機関がこぞってゴールゼロの製品を備蓄するようになったそうだ。

アウトドアのフィールドでは、キャンピングカーの利用者たちがいち早くその存在に注目し始めた。
「従来の発電機と比べると、圧倒的に軽量コンパクトです。何より、発電機のように大きな音がしないことが、キャンプや被災地において大きなメリットだったようです」。
同業他社を寄せ付けない、圧倒的な技術蓄積と開発力

近年、リチウムバッテリーやLEDの進化によって、小型で軽量なポータブル電源やランタンを手掛ける同業者は爆発的に増加している。その中で、ゴールゼロの強みとはどこにあるのだろうか。
「まず、最大の強みはポータブル電源のパイオニアであること。LED製品の開発も並行して行ってきました。ここ10年で、バッテリーは鉛からリチウム中心の時代に移行しましたが、ゴールゼロは鉛の時代からの蓄積があるため、他社に先んじた製品開発が可能なのです」。

例えば、バッテリー容量を例に見てみよう。
現在、一般的には400~500Wh(100Aの電化製品を4~5時間使える)のバッテリー容量の製品を作るメーカーがほとんどだ。しかし、ゴールゼロはその容量帯のモデルも手掛けつつ、最大6000Whもの大容量モデルまで手掛けている。

これはフル充電であれば、キャンプや避難所などで複数の家電製品を使いながら1日過ごせるほどの大容量。冷蔵庫や大型液晶テレビ、IH調理器具だって使える。他社の追随を全く許さない領域で、製品開発を続けているのだ。
フィールドや使い方の境界をゼロにする

ポータブル電源やポータブルソーラーパネルのヒットに続き、現在は超小型のランタン「ライトハウスマイクロフラッシュ」もバズっている。
「このランタン用にシェードを自作するムーブメントが起きて、しばらく欠品状態が続いています。SNS上で日本のギアマニアから火がつき、今や世界中のギア好きが思い思いのオリジナルシェードを発表している状態です」。

キャンプに電動麻雀卓を導入したり、DJブースを設けるなど、ポータブル電源を思いもよらぬ用途で使うユーザーも増えているそう。
そもそも、ゴールゼロというブランド名は「3つのゼロを達成する」という意味を込めて名付けられている。そのひとつとして掲げられているのが、「Zero boundaries(境界や限界をゼロにする)」。
メーカーサイドですら予想もしなかった形で、ゴールゼロの製品はフィールドや使い方の境界を越えて広がり続けている。
これまでの自分の常識を越える働き方を実現するために、これほど心強いパートナーはないだろう。

[問い合わせ]
アスク
03-5215-5652
www.ask-corp.jp/
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「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る
池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真