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ラジオ体操2.0」とは……

今回は、ラジオ体操第1の「腕を回す運動」と「胸を反らす運動」にフォーカス。「首まわりがガチガチ」「最近、後ろ姿が疲れていると人から言われた」。

そんなお疲れ気味の人に実践してほしいトレーニングだ。

デスクワークに疲れたら、ラジオ体操で胸を大きく反らしてみようか
【教えてくれる人】新田幸一さん


高地トレーニングを街中で体験できるスタジオ「ハイアルチ」の開発者であり、プロデューサー。長年のトップアスリートたちへの指導経験を活かし、高地トレーニングの効果を最大限に引き上げるメニューを構築。現在は、浦和レッズの槙野智章選手をはじめとしたトップアスリートのほか、大学駅伝の選手たちのトレーナーも務めている。

 


運動不足でも安心! 遠心力を使ったシンプルな体操

-最近、自宅で仕事を行う時間が増えたせいか、首のコリに悩まされている人が多いって聞きます……。

新田:自宅だと、誰からも邪魔されずに集中して仕事ができる分、没頭しすぎて長時間、同じ姿勢でパソコンと向き合っているなんてケースは多いでしょうね。

頭の重さは男性で5kgくらいはあると言われていて、それを支えているのが首。ボーリングの玉を首の上に乗っけていると考えれば、いかに大きな負担が骨や筋肉にかかっているかが想像できますよね。

-普通に疲れちゃいますよね。

新田:座っているときでも意識して背すじを伸ばさない限り、頭の重さに引っ張られてどんどん前かがみになっていきます。前かがみになると胸まわりの筋肉が硬くなり、今度はその筋肉に背骨が引っ張られて、さらに上半身が前傾してしまうんです。

すると、立ったときに猫背になって“お疲れ感”が出てしまう。胸の筋肉はとても大きいので、硬くなると全身の骨格バランスを崩す原因になってしまいます。

ですから、日頃から胸の筋肉を伸ばす動きって大切なんですよ。

-そんなときにオススメなのが、「腕を回す運動」と「胸を反らす運動」ということですが。

新田:そうなんです。腕を大きく回すと肩甲骨が大きく動いて、首につながる肩や胸、背中まわりの筋肉を一気にほぐすことができるんです。さらに、そこに胸を反らす運動を加えると、腕を横に広げたときに胸をグッと大きく開ける。これが良いんです。

特に硬くなりがちな胸の筋肉がしっかり伸ばされて柔らかくなり、前かがみになるのを防いでくれますし、立ったときにも胸の位置が高くなって、シャキッとした感じになる。

-でも、腕を回したり、胸を反らす動きってすごく単純ですよね。そんなに劇的な効果が望めるものなんですか?

新田:前回の伸びの運動と同じで、単純な動きだからってナメてはいけません。今回のエクササイズのポイントは、両腕を重り替わりに使うこと。専門的な表現だと「遠心性負荷」といって、体の中心から外側に向かって筋肉に負荷をかけることができます。

遠心力を使って筋肉や関節を伸ばしていくイメージです。

「遠心性負荷」は筋肉や関節に過度な負担をかけずに済むので、運動不足の人や体がガチガチな人も安全にできます。

-ほかにはどんなメリットがあるんですか?

新田:硬くなった筋肉や関節を柔らかくして、関節の可動域を広げることができます。するとトレーニング効率がグンと高まる。例えば、今まで10回やらないと柔らかくならなかった筋肉や関節が、半分の5回で済んでしまうとか、そんなイメージです。だからこそ、普段からちょいちょいやっておくことが大切なんですが。


腕を大きくダイナミックに動かすほど、ストレッチ効果倍増

-シンプルな動きの中にたくさんメリットがあるんですね。

新田:エクササイズを行う前にバンザイをしてみてください。両腕が耳より後ろにいかない人は首まわりがガチガチになっている証拠です。四十肩予備軍。「腕を回す運動」と「胸を反らす運動」は、そんな四十肩予備軍の人にもオススメします。

-今回はまず腕の動きに意識を集中することがポイントだ。

新田:そういうことです。

腕を大きく、ダイナミックに動かすほど、効果が高まります。また、勢いよく回すことで遠心力が高まり、ストレッチ効果も倍増するでしょう。

【腕を回す運動】

デスクワークに疲れたら、ラジオ体操で胸を大きく反らしてみようか
まず腕の外回し(写真左上から時計まわり)。両腕を体の内側から外側に向かって大きく回す。次に腕の内回し(写真左下から反時計まわり)。両腕を体の外側から内側に向かって大きく回す。この一連の動きを、外と内で交互に4回ずつ繰り返す。肩を軸に腕で大きく円を描くイメージで行おう。

【胸を反らす運動】

デスクワークに疲れたら、ラジオ体操で胸を大きく反らしてみようか
胸の前でクロスした両腕を横に広げ、再びクロス。今度は斜め上を意識して両腕を広げながら胸を反らす。この一連の動きを4回繰り返す。胸を反らす時に顔を上げすぎたり腹を突き出すと、胸のストレッチ効果が薄れてしまうので注意。

-今回もまずは90~100bpmのテンポでウォーミングアップ、次にスピードアップしてトレーニング、最後に再び90~100bpmに戻してクールダウンの流れですね。

新田:そうすることで、ストレッチ、心肺トレーニング、筋トレの3つの効果を同時に得ることができます。少しキツいですが、短時間でこれだけの効果を得られる運動ってなかなかないですよ。

●トレーニングの流れ
STEP1 ウォーミングアップ
90~100bpmの速さで「腕を回す運動」+「胸を反らす運動」
規定回数を行う。

STEP2 トレーニング
30秒間全力で「腕を回す運動」+「胸を反らす運動」を行う

STEP3 クールダウン
90~100bpmの速さで「腕を回す運動」+「胸を反らす運動」を規定回数行う

-実際にやってみると、スピードアップしたときにしっかり体の軸を固定して腕を動かすせるか、その点がすごく難しそうですね。

新田:体がグラグラしてしまうと、本当に動かしたい関節をしっかり動かせずにストレッチ効果も半減してしまいます。でも、腕って想像以上に重いので、体がグラグラしないようにしっかり踏ん張るだけでも、いい体幹トレーニングになりますよ。

ハイアルチのスタッフで、社会人関東リーグ1部の「東京ユナイテッドFC」に所属している川戸大樹くんに、30秒間全力で何回できるかトライしてもらった動画があるので参考にまでに見てみてください。まだ26歳で、なおかつ現役アスリートの彼でさえ「けっこうハードっすね」って感じなので、真似しろとは言いません(笑)。

“大人の体力測定”じゃないですけど、今の自分の運動能力を知る目安になれば。

まずは、ひとつひとつの動きを確実にできるようになってくださいね。

「ラジオ体操2.0」
誰しも子供の頃に、一度はやった記憶があるだろう「ラジオ体操」。そのルーツは戦前までさかのぼる。そして、馴染み深い現在のラジオ体操第1は1951年、第2は1952年に正式制定されたものだ。そんな“国民的体操”を子供や高齢者のための運動と思ってはいないだろうか? それは大きな間違い!ラジオ体操は体の構造を徹底的に研究して考案された「スキのない全身運動」なのだ。これを極めれば、特別な筋トレやストレッチをせずとも体を進化させられる! 上に戻る

【取材協力】
ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00~22:00(平日)、10:00~19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/
空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。

 

デスクワークに疲れたら、ラジオ体操で胸を大きく反らしてみようか

実践してくれた人】松森 亮さん
千葉県船橋市出身。1977年生まれのオーシャンズ世代。市立船橋高校サッカー部時代は選手権全国優勝を経験。U-20日本代表選出され、1996年にジュビロ磐田とプロ契約。
引退後はジュビロ磐田で2015シーズンまで広報や運営に携わる。2020年より高地トレーニングスタジオ『ハイアルチ』吉祥寺のGMを務める傍ら、並行して、女子サッカークラブのアドバイザーやモデル業も行うなど精力的に活動中。

デスクワークに疲れたら、ラジオ体操で胸を大きく反らしてみようか
【全力30秒動画にチャレンジした人】川戸大樹さん


1994年生まれ。兵庫県神戸市出身。ヴィッセル神戸ユース度を経て日本体育大学へ進学。4年間サッカー部に所属し、3年生で関東リーグ2部優勝。4年生では関東リーグ1部3位、全国総理大臣杯3位などを経験し、卒業後はJ3のSC相模原に入団。現在は社会人関東リーグ1部の東京ユナイテッドFCでプレー。サッカーを続けながらハイアルチのスタッフとしても勤務。

楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真

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