「ダイエットのモチベアップ術」とは……
巷では、ダイエットに関する真偽不明の情報がアレコレ行き交っているが、果たして何がホントでウソなのか……。
前回に引き続き、ダイエット治療を専門に行う医師・工藤孝文先生に、今回は“食”にまつわる都市伝説の真偽をぶつけてみた。
話を聞いたのはこの人!
①「野菜から食べるとヤセる」はホント? ウソ?

いわゆる「べジファースト」という考え方は、ジョーシキになっているが……。
「これはホントです。食事をすると血糖値が急上昇し、血糖値を下げるために体内でインスリンが過剰に分泌されます。このとき、インスリンが血中の糖分を脂肪に換えて体内に溜めこみやすくなってしまいます。
ただ、食物繊維が豊富に含まれている野菜から食べると、糖質の吸収が穏やかになるため、太りにくくなると言われています。注意点として、野菜のなかでも糖質を多く含む大根やかぼちゃなどは、最初に食べないほうがいいでしょう」。
②「朝食を食べないとヤセる」はホント? ウソ?

ダイエットに勤しむ人たちの間でよく論争になるのが、朝食を食べるべきかどうか。食べなければヤセるという話はよく聞くが……。
「ウソです。まず、朝食を抜くと反動で昼食を多く摂りがちです。結果、1日の摂取カロリーが変わらない、もしくは増えてしまうことも。空腹時間が長くなるため、体が栄養を吸収し、溜め込みやすくなります。
ほかにも、朝食を抜くことで基礎代謝が下がって消費カロリーが減り、ダイエット効果が下がることも考えられます。むしろ、昼や夜のご飯を減らして、朝食をしっかり摂るほうがダイエットに効果的だと思います」。
③「炭水化物抜きダイエットは効果的」はホント? ウソ?

ここ数年、注目を集めている糖質制限。オーシャンズ世代の間でも、ご飯やパンといった炭水化物を控えている人は少なくない。
「ホントです。余分な糖質を摂取すれば、脂肪として蓄積されてしまうので、炭水化物を控えるのは有効です。
ただ、極端な糖質制限は、栄養や体を動かすエネルギーが不足するリスクもあるので注意が必要です。ちなみにもっとも太りやすい炭水化物はGI値(血糖値上昇作用を示す値)の高いパンだと言われています」。
④「運動さえしていれば、いくら食べても太らない」はホント? ウソ?

運動で消費カロリーを増やせば、お酒やお菓子をたらふく食べてもいい気がするが……。
「ウソです。体重を減らすために大切なことは、消費カロリーより摂取カロリーを少なくすること。そのためには、食事を減らすほうが断然ラクです。
ニューヨーク大学のランゴンメディカルセンターの研究では、食事を減らさずに1週間、運動だけで体重を450g落とす場合、毎日11~16km走らないといけないと報告されています。普通の人が食事を増やさずに、これほどの運動を続けることができますか? 運動も効果的ですが、摂取カロリーを減らすことがダイエットへの前提条件です」。
⑤「フルーツを食べるとヤセる」はホント? ウソ?

「砂糖が含まれていないから、ダイエットにイイ」と、毎日フルーツをたくさん摂る人がいるが、この認識は正しいのだろうか?
「ウソです。フルーツには果糖やブドウ糖、ショ糖が含まれています。果糖はブドウ糖よりも甘味が強いため、ダイエット用の甘味料として勧められる場合がありますが、食べ過ぎは禁物。
いずれも糖質であることに違いなく、消費しきれない分は体脂肪として体内に蓄積されてしまいます。フルーツはビタミンやミネラルの宝庫ですが、食べ過ぎると肥満につながります」。
⑥「就寝前の食事は太る」はホント? ウソ?

仕事や付き合いの関係上、どうしても夜遅くに食べてしまいがちな人が多いと思うが、この習慣はやはり太るのか?
「ホントです。就寝前に食べると太りやすいと言われる理由は、脂肪を溜め込みやすい体質になってしまうから。それに、内臓が消化吸収に集中してしまい、睡眠時に脳や体を休めることができなくなるというデメリットもあります。
食事をしてから消化が落ち着くまでに最低でも3時間程度は必要なので、夕食は就寝の3時間前に済ましておきましょう。もし仕事などで調整が難しい場合は、消化のいいものを食べてください。夕食を抜いて栄養不足になるよりも健康にはいいと思います」。
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以上、2回に分けてダイエットに関する都市伝説の真相を解明してきた。ダイエットを成功へと導くためには、正しい知識で身近なことから実践していこう。
「ダイエットのモチベアップ術」とは……一念発起してダイエットを始めたものの、「仕事が忙しくて時間がない」「なかなか成果が出ない」といった理由で諦めてしまった経験はないだろうか? 継続していくためには、正しい知識を蓄えてモチベーションを上手にコントロールしていくかが鍵。ここでは、ダイエットを“習慣”に変えていくためのヒントを探っていく。
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