脱サラしてショーモデルの世界へ飛び込み、さらには俳優へと、自らの道を切り開いてきた平山祐介さん。
彼は、1歳半の息子を持つ父親でもある。
子供は遊ぶのが仕事。では、その仕事はどうすればはかどるのか?
そこで祐介さんが訪れたのは、世界中の「あそび道具」が揃う、ボーネルンド。子供の成長に合わせたおもちゃを提案してくれるショップだ。プライベートでもよく足を運ぶというここで、子供の遊びについてのさまざまな質問をぶつけてみた。

中西みのりさん
おもちゃをはじめ、公園などの環境プロデュースまで、子供の遊びについて総合的に取り組む世界で唯一の企業、ボーネルンドの副社長。自身も5歳になる娘のママ。
お悩み① おもちゃはたくさん買うべき?
祐介 ボーネルンドは、実際におもちゃに子供が触れられるのがいい。ショップに来て、息子の“ツボ”を知ることも結構あるんです。
中西 私たちは、おもちゃを子供の成長を促す“道具”と考えています。だから「あそび道具」と呼んでいるんですよ。子供の成長もそれぞれですから、自由に触って選んでほしいと思っています。

祐介 そうそう、おもちゃって、たくさん買い与えたほうがいいんですか? 成長のための道具って考えると、そうなのかな?
中西 難しい問題ですね。
祐介 僕自身、ひとつのおもちゃを大事に遊んできた経験もあって、できれば我が子にもそうしてほしいって思うんです。ただ、息子が新しいおもちゃを見たときの目の輝きを知っちゃってるから、気づくと買ってあげてる自分もいる……(笑)。
中西 販売している立場から言うのも変かもしれませんが、極端な話、あそび道具ってなくてもいいものだと思うんです。
祐介 え!?

中西 必要なのは、遊び。例えば子供って、自然の中だと遊具がなくても楽しそうに遊ぶじゃないですか。
祐介 確かに。そういえばうちの子も、散歩で公園に行ったときに落ち葉の上を歩いた音や感触がすごく面白かったみたいで、それ以来、公園に行くと落ち葉を踏んで遊んでるなー。
中西 はい。そうやって自然の中で遊びを見つけられるのがいちばんいいんです。だけど今は自然環境も減り、必然的に遊びの場も少ない。それをサポートするのが、「あそび道具」なんです。遊びのサポートが必要になったときに、そのための道具を買い与える。
祐介 たくさん買えばいいってわけじゃないのか。おもちゃが少ないと刺激が不足するんじゃないかと気になっていたので、安心しました。
中西 重要なのは、道具ではなく遊びの体験なんです。しかも、親御さんが一緒に遊ぶのが、とても大切。幼い子にとっては遊びは対人コミュニケーションの場でもありますからね。
お悩み② “キャラもの”ってどう?
祐介 いつかは通る道だと思うんですが、なるべくキャラもののおもちゃは避けたいって思っちゃうんですよね。なんか中毒性があるような気がして……。
中西 キャラものはインパクトが強いですからね。うちの娘も、家では観せていないアニメのキャラクターを、いつの間にか保育園で全部覚えてきたりします。

祐介 やっぱどこの家でもそうなんですね(笑)。
中西 男の子はヒーローに、女の子はプリンセスに憧れる傾向は強いと思います。自分の子供の頃を振り返れば、当然のことですよね。
祐介 キャラクターの話題についていけないと、保育園や学校などで仲間外れになるって話も聞いたりして。「○○くん、なんでキャラものの服を着ないの?」って友達から言われたりすることもあるようなんです。
中西 上手に付き合っていくことは大切だと思います。私の場合は、キャラものに対しての考え方を変えてみたんです。
祐介 どういうことですか?
中西 よくよく考えてみると、キャラクターの出てくるコンテンツ自体はいいものなんですよ。じゃあ、親は何に違和感を感じるのか。それって物語やキャラクターが悪いわけじゃなくて、大人たちが、子供の物欲を強く刺激するような商品を作っているからなんですよね。大人の事情を取り払って純粋な目でキャラものを見ると、以前より受け入れられるようになりました。
祐介 なるほど。一旦フラットに考えたほうがいいってことか。
お悩み③ タブレットって、要りますか?
祐介 騒ぐ子供に、タブレットをわたすとピタッと大人しくなる。知り合いの家でもよく見かける光景なんですが、どうなんですかね?
中西 タブレットには動画やアプリなど、子供の好きなものが詰まってますからね。
祐介 子供を大人しくさせるっていう効果を知っているので、つい頼りたくなりそうです。
中西 子供がタブレットに興味を持つのは当然のこと。例えば、電車に乗っている大人は、片手にスマホやタブレットを持っていますよね。それを目にしている子供たちは、大人と同じことをやりたいと思うに決まっています。なのに「あなただけはダメ」と禁止するのは子供にとっては不条理。「大人はみんな、持ってるじゃん」ってなりますよね?
祐介 そうですね。中西さんはどうしてますか?

中西 我が家では、タブレットを子供と一緒に楽しむようにしています。これも、キャラもののと同様、親がなんで悪いと感じるかを考えるといいでしょう。タブレット自体が害悪ではない。動画に付随する大人向けの広告や、没頭しすぎて親とコミュニケーションが不足してしまうということが挙げられると思います。だったら、タブレットは親子で一緒に観るようにして、コミュニケーションの手段として使えばいいんです。
祐介 うちも、テレビはそんな感じで子供と一緒に見ています。リビングで息子が『きかんしゃトーマス』を観ているとき、後ろにいる僕のほうをたびたび振り返って笑うんです。そのときに何か声をかけられるように、常に彼の様子を見ながら、スタンバイしています。
中西 祐介さん、バッチリです!
祐介 大事なのはコミュニケーションなんですね!

中西 そのとおり。いまや学校の授業でもタブレットが使われる時代ですから、子供から遠ざけるより、むしろコミュニケーションを取りながら、上手な付き合い方を教えてあげるべきでしょう。遊びのなかでタブレットを上手に取り入れることは、私たちボーネルンドにとっても課題です。
お悩み④ 絵本は早いうちから読ませるべき?
祐介 よく、絵本には早いうちから触れたほうがいいって聞くんですけど、さすがに1歳半では早すぎですかね?
中西 以前、脳科学の先生が、絵本は感情訓練にいいと言っていました。物語の中での出来事を絵本で疑似体験することで、それが経験値となって自分が実際に体験した際に感情のコントロールができるようになるそうです。
祐介 だから絵本がいいって言われるのか。

中西 とはいえ言語理解が未熟な1歳半の息子さんにとっては、まだそこまでの効果があるとは言えません。でも、今のうちから感情の揺さぶりを絵本で予行演習しておくことは大事。そのためには、読み聞かせがおすすめです。お父さんが優しい口調で絵本を読んであげることが、子供にとっては心地よい体験になるんです。
祐介 ストーリーは理解できなくても体験にはなってるんですね。ただ、絵本を読もうとすると、息子がすごくめくりたがるんですよ。最後まで速攻でめくって、また表紙に戻る。この繰り返し(笑)。
中西 今はめくるという行為が遊びなんですね。だったら「しかけ絵本」はいかがでしょう。
祐介 ああ、めくると絵が飛び出してくるようなヤツですか?
中西 はい。実は私の娘も絵本をめくるのが好きで、しかけ絵本は大のお気に入りでした。こういう絵本も、本を好きになるきっかけになると思います。
祐介 なるほど~。
子を持つ親同士、話題が尽きない2人。次回は、実際にどんなおもちゃを選べばいいのか。その条件について、話を聞きましょう。
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買い物の場と遊び場との融合を目指すボーネルンド。実際に、「あそび道具」を手に取り、遊びながら選べるのが魅力だ。店内にはインストラクターが常駐し、道具の使い方をレクチャーしてくれる。
■ボーネルンド本店
住所:東京都渋谷区神宮前 1-3-12 ジブラルタ生命原宿ビル1階
電話:03-5411-8022
営業:10:00~18:00 、第1・3火曜日定休
清水健吾=写真 小林雄美=ヘアメイク 髙村将司=文