車内は広々、荷物がたくさん積めて、街路も悪路もガンガン進める。“逞しさ”はSUVの最大の魅力。

それは間違いないけれど、今は“走り”にも自信アリなヤツも揃っている。

なかでもメルセデス、BMW、アウディのコイツらは、なかなかスゴいぞ!

 


■サーキットでタイムを競う

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メルセデス・ベンツ「AMG GLA35 4マチック/45S 4マチック+」

2020年6月に登場した2代目GLAに続いて、10月下旬にはハイパフォーマンスモデルであるAMG GLA35 4マチックと、AMG GLA45S 4マチック+が追加された。

コンパクトな街乗りサイズに、最高出力306ps/最大トルク400N・mを発揮する2Lターボを搭載したGLA35 4マチックでも十分過ぎるほどのかっ飛びモデルだが、GLA45S 4マチック+ はさらに凶暴。なんと最高出力421ps/最大トルク500N・mの2Lターボが搭載されている。このエンジン、発表時時点で世界最高出力&最大トルクを発揮する2L直列4気筒エンジンだ。

エンジンや足回りなどの特性を変えられるドライブモードは、GLA35が「スリッパリー(滑りやすい路面に対応)」「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」「インディビジュアル(任意に特性を設定)」の5つ、GLA45Sにはさらに「レース」を加えた6つのモードが設定されている。

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AMGトラックペース。

どちらもサーキット走行時の自車のタイムや加速度のデータを記録できる「AMGトラックペース」が備わっているほか、GLA45S 4マチック+の4WDシステム「4マチック+」は前後だけでなく、左右間でも駆動力を配分してくれるので、サーキットでも最適なトラクションを得ることができる。

つまり、どちらもSUVだけどオフロードというよりサーキットでのタイムアタックを楽しむモデルというわけ。


■最高峰エンジンを搭載した3モデル

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AMG GLS63S 4マチック+。


メルセデス・ベンツ「AMG GLE63S 4マチック+/GLS63S 4マチック+」

同社は2020年12月に入ってからもハイパフォーマンスSUVを投入してきた。

AMG GLE63S 4マチック+とそのクーペモデル、そしてAMG製SUVの頂点となるAMG GLS63S 4マチック+の3車種だ。

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AMG GLE63S 4マチック+クーペ。

いずれもメルセデスAMGが完全に自社開発した4LのV型8気筒ツインターボエンジンが搭載される。その最高出力は612ps/最大トルクは850N・m。

メルセデスAMGのスーパースポーツカーであるGTの4ドアクーペなどが搭載するほか、アストンマーティンのDB11にも供給されている正真正銘のハイパフォーマーエンジンである。

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AMG GLE63S 4マチック+。

これに小型モーターの「ISG」が加わったマイルドハイブリッドシステムを搭載したことが、この3台の大きな特徴。

発進時や加速時には、ただでさえ850N・mと強大なエンジントルクに加え、モーターがアシストするからその加速力はハンパない。

前後左右に適宜トルクを配分する4WDシステムの「4マチック+」や、車体を常にフラットに保つ足回りの「AMGアクティブライドコントロール」などにより、恐ろしいほど速くコーナーを駆け抜けても車を安定させてくれるし、高速道路をクルージングしているときはラグジュアリーカーのような快適な乗り心地を提供してくれる。

スポーツカーみたいなSUVであると同時に、超絶快適な高速クルーザーでもあるのだ。

 


■サーキットでも狭い道でも最高の走りを

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X5 Mコンペティション。


BMW「X5/X6 Mコンペティション」

全長ほぼ5mのBMWのSUV・X5と、そのクーペルックモデルであるX6。2020年3月、この2台に「Mモデル」が設定された。

いずれも最高出力625ps/最大トルク750N・mを発揮する4.4LのV型8気筒ツインターボエンジンを搭載。0-100km/h加速はわずか3.8秒と、ポルシェ 911カレラの4.2秒よりも速い!

BMWは両車を「サーキット走行を想定するモデル」としている。

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X6 Mコンペティション。

前後のトルク配分を走行状況に応じて瞬時に可変するBMW独自の4WDシステム「xDrive」に加え、リアの左右のトルク配分も可変する「アクティブMディファレンシャルギア」が備えられる。

これにより激しいサーキット走行時でも4輪がしっかりと路面にエンジンのパワーを伝える。

一方で、高速道路での渋滞時はハンドルから手を離すことができたり、狭い道に迷い込んだら、車が自動でもと来た道まで戻ってくれるなど、先進運転支援機能も備わる。

自宅からサーキットまでの往復はラクして、サーキット内ではガンガン飛ばす、というジキルとハイド的SUVだ。


■雪上でのラリーを楽しみたくなる

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RS Q3。


アウディ「RS Q3」

RSとは、アウディのハイパフォーマンスモデルを手掛ける「アウディスポーツ」が開発した高性能モデルを示す記号。

数年前まで日本ではAMGやMに隠れがちだったが、1980年代にWRCを席巻し、2000年代にはル・マン24時間で数々の優勝を飾り、現在は電気自動車のF1であるフォーミュラーEで活躍している「アウディスポーツ」の知見が投入されたモデルが「RS」なのだ。

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RS Q3スポーツバック。

2020年8月にQ3がフルモデルチェンジし、新たにクーペルックのQ3を伴ってデビューすると、さっそく10月には両車にRSモデルが加えられた。搭載されるエンジンは最高出力400ps/最大トルク480N・mを発揮する直列5気筒ターボ。

これに同社独自の4WDシステム「クワトロ」が組み合わされ、走行や路面状況に応じてハイパワーを50~100%の間で後輪に伝える。かつてWRCを席巻した技術「クワトロ」は、雪道や悪路、サーキットまで難なくこなす。

0-100km/hは4.5秒。今なら雪煙を上げながら白銀の世界を走るのが楽しい1台になるはずだ。

 

かつてはセダンやクーペが中心だったハイパフォーマンスモデルだが、今やSUVにもハイパフォーマーが増殖中。これなら、スポーツカーでブイブイ言わしているあいつにも、負けない走りができるはずだ。

 

籠島康弘=文

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