リーバイス白書●どんなに時代が変わっても、オレたちのリーバイス愛は変わらない。でも、知識のほうは現代版にアップデート済だろうか? リーバイスを直接訪ねて理解った、リーバイスの2021年最新事情。
オーシャンズ世代であれば、21世紀も間近に迫ったミレニアムブームに突如現れた“あのデニム”の衝撃を覚えている人も多かろう。そう、「リーバイス レッド(Levi’s Red)」である。
大いに沸いた7年前の復活劇もまだ記憶に新しいところだが、今年、再びシーンに舞い戻ってくるという。気になるその中身とは……(ゴクリ)。
デニムの概念を覆した異端児の衝撃
積み重ねてきた歴史の厚みゆえ、知らず識らずのうちにデニムを凝り固まった頭で定義付けていたかもしれない……。そう思い知らせてくれた存在こそ、リーバイス ヨーロッパのデザインチームが手掛けたリーバイス レッドである。
デニムはレギュラーストレートと信じて疑わなかった男たちにとって、はき込んだ際に生まれるレッグラインの“ねじれ”からインスピレーションを得た立体裁断の衝撃はデカかった。

脚線に沿うシルエットは美しいラインを描き、最良のはき心地を保証。世界のスペシャルなショップでしか買えないプレミアムラインであることも人気に拍車をかけた。
革新的アプローチやプレミアム感は、最先端を知り、お洒落を存分に楽しむファッショニスタたちを大いに虜にしたものだ。
モードな一面も見せるリーバイス レッドは、ヴィンテージ志向の強かった国内のデニムシーンに一石を投じた。2007年に惜しまれつつ生産終了したが、こうしてまた拝める日が来るとは、リーバイスも粋な計らいをしてくれる。
今回のリーバイス レッドは“ワーク”な顔ぶれだ!
ということで、リーバイスのショールームを訪問。ウワサのリーバイス レッドのご尊顔を拝見させてもらった。

実験的、革新的な試みから誕生したリーバイス レッドシリーズには、細身の「パッシブアグレッシブ」やねじれを入れた「ワープド」など、代表的な名モデルが少なくない。
では、今回のリーバイス レッドはどうかというと、2003年に発表されたリーバイスのワークウェアがベースとなっている。

それらを現代的にアップデートしたわけだが、各所に残る当時の面影は、デニム好きな我々の気持ちを存分に汲んだものとなっている。

イエローパッチはもちろんのこと、敢えて歪ませたランダムステッチや左右非対称のポケットにはワークウェアならではのラフさと手仕事の跡がうかがえる。裾の縫い合わせに使われた太めの糸やツールポケットに、当時の記憶が蘇ってきそうだ。
シルエットが醸す現代の空気

先述したように、単なる懐古主義で終わらないところに本作の意義がある。
505と502をベースにした定番フィットだけでなく、今回はルーズシルエットも豊富にラインナップ。フロント部分に共布を縫い合わせたダブルニーが特徴の“ルーズストレート”や、クロップド丈やフロントのスラントポケット、腰のタックが印象的な“テイパートラウザー”など、今の空気を纏ったシルエットが揃っているのだ。
インディゴブルー“以外”で広がるコーデの幅

505をベースにしたものと、“ステイルーズ”というモデルには、さらにオリーブとゴールドオーカカラーというカラバリも用意。
お馴染みのワークディテールを搭載しつつも、インディゴブルー“じゃない”色味を纏ったことで、また新たな気持ちでリーバイス レッドと向き合えるに違いない。


すべてサステイナブルな生地を採用している点もまた、現代的解釈に基づく新たなリーバイス レッドである証だ。
しかも、キルティング生地を使ったデニムジャケットやデニムコート、さらには肉厚なTシャツやスウェットまでラインナップするという。

リーバイス原宿 フラッグシップストア
住所:東京都渋谷区神宮前6-16-12
電話: 03-5456-9657
営業:12:00~20:00(金、土曜は21:00まで)
www.levi.jp/home
佐藤 裕=写真 菊地 亮=取材・文