「ナイキ名作スニーカー列伝」とは……
昨年、生誕35周年を迎えたナイキ「ダンク」。今日のスニーカーブームを牽引する、超人気バスケットボールシューズの数奇な運命を辿ろう。
ダンクがエア ジョーダン 1と似ているのにはワケがある
1985年、ナイキはのちに伝説となる2つのバスケットボールシューズを世に放つ。ひとつは「エア ジョーダン 1」、そしてもうひとつは「ダンク」である。
マイケル・ジョーダンのシグネチャーモデルであるエア ジョーダン 1に対して、ダンクはナイキが企画した「カラーカレッジプログラム」というプロモーションの一環として生まれた。
目的は、NCAA(全米大学スポーツ協会)に所属するバスケットボールチームの選手やファンとの絆を深めるためであった。

1980年代のバッシュは“白”が主流。そこに「BE TRUE TO YOUR SCHOOL」というキャッチコピーとともにデビューしたのが色とりどりのダンク。強豪校のスクールカラーを表現した7つのシューズのデビューは、さぞかしセンセーショナルだったに違いない。
ちなみに、同じく1985年に発表された「ターミネーター」は、ジョージタウン大学バスケットボール部のスクールシューズであった。

似て非なるダンクとジョーダン 1。しかし運命は似た方向に
ダンクのデザインを担当したのは、アディダス・アメリカ支社創設者という異色の経歴を持つピーター・ムーア。
エア ジョーダン 1を手掛けた人物ということもあって、2つのシューズの間には多くの共通点がある。実際に、当時のカタログは隣合わせで掲載。パッと見では両者の違いはわからない。

しかし、明確な違いも当然ある。くるぶしのロゴの有無や「ナイキ エア」を搭載しているか否か(ダンクには搭載されていない)、ラストも見比べても大きな差があるのだ。
また、テクノロジーの進化とともに、過去のプロダクトが陳腐化するのはある種の必然。ダンクも例外ではなく、80年代後半には選手たちの足元から姿を消すことになる。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。このシューズのポテンシャルに着目した人々がいた。スケーターたちである。
エア ジョーダン 1同様、彼らにとってダンクが持つグリップ力やホールド感は、ある種の発見だったのだ。

ダンクの鮮やかなカラーブロックはやがてストリートを席巻。1999年に登場した復刻や数々のコラボモデルの登場により、エア ジョーダン 1と同じような復活の狼煙を上げることになる。
続きは明日5月17日(月)18時に公開予定。お楽しみに!
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戸叶庸之=編集・文 ナイキ=写真