使い勝手を重視してワゴンを選ぶなら、電気自動車はまだ早いかもしれない。とはいえ地球環境や家計にやさしい選択はしたい。
そんな気分にピッタリなのがPHEVワゴンという選択だ。
自宅で充電すれば、普段の買い物程度なら電気自動車として走れるし、週末のロングドライブでは充電ポイントを気にする必要もない。
街乗りから長距離まで乗りこなせる使い勝手◎なワゴンを紹介しよう。
■PHEVでも質実剛健なワゴンの雄「ボルボ V60リチャージ/V90リチャージ」
使い勝手のいいワゴンを長年造り続けているボルボは、2025年までに自社で販売する車の半分を電気自動車に、残り50%をハイブリッドにすると宣言。
目標の2025年まであと4年となった現在では既に、ミドルワゴンのV60と、フラッグシップワゴンのV90いずれも、マイルドハイブリッドかPHEV車のみのラインナップとなっている。

「リチャージ」というサブネームが与えられたPHEV車は、V60とV90どちらも、ターボとスーパーチャージャーという2つの過給器を備えた2Lガソリンエンジンに、電気モーターが組み合わされている。
ただしエンジンの出力がV60とV90とで異なり、V60は最大トルク350N・m、ボディの大きなV90のほうは400N・mとなる。

満充電でV60なら最大48.2km、V90でも42.1kmを電気モーターのみで走ることが可能。これだけ走れば日常使いではガソリンは不要だろう。
一方で、エンジンと電気モーターの2つのパワーソースを最大限使う(かっ飛ばせる)「パワーモード」も用意されているから、退屈だったり不満を抱えるようなドライブにはならない。
■間もなく日本にもやってくる?「メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン」
本国では既に発表されたので、間もなく日本にもやってくるであろうメルセデス・ベンツのCクラスワゴン。
同社伝統の法則に則り、先に登場したSクラスをギュッとコンパクトにしたようなフォルムとなった。ヨーロッパでの販売は今夏が予定されていて、そこにはPHEVも用意されている。

PHEVのパワートレインは、2Lガソリンエンジンに電気モーターの組みあわせ。
ちなみに現行型Cクラスワゴンにも一時PHEVが用意されていた。モデル末期となった今はラインナップから外れているが、その際の航続可能距離は28.8kmだから、格段に電気自動車化が図られている。

さらにディーゼルエンジンと電気モーターを組みあわせたPHEVも登場する予定だという。

ガソリンよりさらに燃費が良くて、パワフルなディーゼルエンジンと組み合わされたら、ますますガソリンスタンドへの足が遠のきそう。
■マイナーチェンジ後もPHEVに期待!「フォルクスワーゲン パサートヴァリアント」
ビッグマイナーチェンジが施されたパサートヴァリアントが、先日ようやく日本にも導入されたが、今のところPHEVモデルはそのラインナップには加わっていない。
しかしマイナーチェンジ前は「GTE」というグレード名でPHEVモデルが用意されていた。

ビッグマイナーチェンジ後の本国のバリアントには引き続きGTEが販売されているので、今後日本にやってくる可能性は十分にある。

新型GTEのシステムは、マイナーチェンジ前同様1.4Lエンジンに電気モーターの組みあわせだが、バッテリー容量が増えたことで、電気だけの航続可能距離はNEDCモードで最大70km(従来は50km)、WLTCモードでは56kmに増えている。
電気モーターだけで140km/hまで走れて、エンジン+モーターのWパワーで最高速度222km/hまで到達できる。

ほかのパサートと同様、0~210km/h内での同一車線内全車速運転支援システムやLEDヘッドライト、スマートフォンによるドアの施解錠サービスも備わると思われる。
ドイツでは従来型の5倍も売れているという人気モデルなだけに、日本にも早期導入に期待したい。
籠島康弘=文