「Camp Gear Note」とは……
効率的な準備と片付けについて触れた前々回、理想的な火加減の見分け方を解説した前回。そして今回は誰でもすぐに実践できるお手軽BBQレシピをいくつか紹介しよう。
全体の流れがわかりやすいよう実際に作ってみるので、来る日に備えてイメトレを!
メインとなる大物は自宅での仕込みが重要

BBQのメインは塊肉があると、やはり盛り上がる。食前に味を付けても良いけれど、出発前に自宅でタレに漬け込んでいくと、味がしっかり染み込んでなお美味い。
暑い時期は、さっぱり食べられるマーマレードを使った調味液なんてどうだろう。
準備はシンプル。好きな種類の肉300gに対して、マーマレード大さじ1、めんつゆ大さじ2、赤ワイン大さじ1、鷹の爪1本を入れてひと晩冷蔵庫に置いておくだけだ。

今回は豚肩ロースを使った「マーマレードポーク」を作ってみた。
炭が熾火(おきび)になったら、まず豪快に網で塊肉を焼く。転がし過ぎないように意識して、一面ずつしっかりと焦げ目をつけるのがポイント。
上の写真くらいの塊肉の場合、表面に焦げ目が付いても中はまだ火が通っていないので、一旦火から外して、アルミホイルに包んでおこう。
こうして寝かせることで、低温でじっくりと中に火が通っていくのだ。また、肉をカットしたときに肉汁が逃げにくくなる。
すぐに食べられるツマミやスターター食材を選ぼう

炭を起こして、塊肉に火が通るのを待つ間は、ビール片手にツマミで繋ぐとしよう。スーパーの惣菜でも良いし、自宅で仕込んできてもいい。
「自家製ピクルス」は簡単なのに見栄えがするツマミの代表格。
水1:酢1の割合で適量(例えば、水100mlに対して酢100ml)を鍋に入れ、ひと煮立ちさせたら塩と砂糖をひとつまみずつ入れる。
冷蔵庫に余っている野菜(なんでもOK)を食べやすい大きさにカットして、この液に漬ければ完成だ。
好みで鷹の爪やクミンシードを入れたり、鰹節や昆布を入れて和風なアレンジに挑戦してもいい。

加熱調理済みの野菜も、肉の前に食べるスターターには最適だ。
トウモロコシを使った「メキシカングリルドコーン」は、簡単なのに見た目が良く気分のアガる一品。
網の上で焼き、焦げ目がついたら皿に移す。表面全体に薄くマヨネーズを塗り、粉チーズとチリパウダーを振りかけたら、もう完成!
飾りに刻みパセリを散らすと、よりきれいな仕上がりに。ビールに合うんだな、これが。

放っておくだけで完成するホイル焼きメニュー

肉や野菜を食べている間にもう1品追加できる、ホイル焼きメニューも試してみたい。
これも自宅で中身を包んでくれば、外では火にかけるだけだ。しかも余計な調味料をあれやこれやと持っていかずに済む。

玉ネギは皮付きのままホイルで包むべし。炭の中に放置して、たまに転がすだけで完成だ。
玉ネギ自体の水分によって皮の中で蒸し焼きになり、ただ焼いただけとは思えない味わいが楽しめるのだ。ただし焦げやすいので、アルミを二重にするのがコツ。
ちょっと手が込んだホイル焼きを作るなら、優しい味の組み合わせを意識してみよう。例えば、塩シャケ、玉ネギ、アボカド、チーズの組み合わせ。子供も大好きなグラタン風に仕上がる。

さあ、いよいよメインを仕上げよう

さて、寝かせておいた塊肉が落ち着いたら、分厚くカットして、仕上げに表面を炙っていく。調味液にもう一度浸してから網焼きにすると、なんとも言えない香ばしいスモーキーな匂いに!

表面に程良く焦げ目がついたら完成だ。好みで粒マスタードをつけても美味しくいただける。お腹に余裕があるならば、細かく切って〆のチャーハンや焼きそばにアレンジしてみるのも選択肢だ。

変わり種も取り入れてみない?

変わり種メニューとデザートも、ぜひ取り入れていただきたい。
焼き卵は火加減の練習にもなる変わり種。網で生卵を焼くだけなのだが、これが意外に手強いのだ。
火加減が強い場所に置くとすぐに破裂してしまうので、弱火でじっくりと焼かねばならない。
まあ、味は普通の茹で卵と変わらんのだが、そこはご愛嬌ということで。

最後は焼きフルーツや温かい飲み物で〆ると、お腹がさっぱりする。
フルーツは酵素の力が消化を助けてくれるし、温かい飲み物は脂分をさっぱりと洗い流してくれる。網の端に鍋をかけて野菜や肉の端っこを炊いておくと、食後にちょうどよくスープが出来上がるだろう。
ケトルをかけておいて、コーヒーで〆るのもいい。

なかなか遠出ができない中、BBQは自宅の庭先でもアウトドア気分が楽しめる数少ない貴重なアクティビティだ。
今回紹介したものは自宅のキッチンでも作れるレシピも多い。こんな時期だからこそ、近い将来に仲間とワイワイ集まれる日を想像しつつ、BBQの腕を磨いておこう。

「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
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池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真