「Running Up-Date」とは……
前回に引き続き登場いただくのは、「アレキサンダーリーチャン」プレスの一柳さん。コロナ禍をきっかけに走り始めた2年生ランナーながら、スノーボードやスケートボード、自転車といったスポーツ経験を活かし、オリジナリティ溢れるスタイルで走ることを日常へと取り入れている。
ランニングウェア選びも、巷のミドルエイジランナーとは違ったストリートマナーが貫かれている。
購入前にちょい待った。その「黒」で本当にいいの?

「もともと冬山ではバートン[ak]を愛用していました。春の雪山用であるライトウェイトのこのモデルは、ランニングにも使えそうだなと。
ゴアテックス素材の中でも、裏地を省いた2層構造のゴアテックスパックライト プラスを用いているので、薄くて軽く、透湿性にも優れていてムレを感じさせません。
今日ぐらいの小雨であれば、走る予定は変えずにこれを羽織って玄関を出ますね。それと[ak]の特徴である立体的なパターンもいいんです。運動するときの姿勢を考慮したカッティングになっているので、走る動作を妨げず、動きやすい。
これは同名ジャケットの中でも今シーズンのニューモデルで、去年の冬頃からこの手の淡色系カラーをラインナップしています。ゴアテックスでこういうキレイな色はあまり見ませんよね」。

ランニングウェアは、ともすれば黒色ばかりを手に取ってしまいがち。全身ブラックで走ることもあるけれど、コーディネイトの挿し色としても使えることを考慮してグリーンを選んだ。
アウトドアアイテムの雰囲気が好き
ボトムスは自社ブランドの新作ショーツ。どことなくトロピカルな雰囲気のあるこの柄はニャンカモと名付けられたオリジナル柄で、目を凝らしてみるとネコが隠れているとのこと。
ネコモチーフを得意とするアレキサンダーリーチャンらしい、遊びの利かせ方だ。

「生地にハリがあって速乾性の高いサプレックスナイロン素材のショーツです。水着のような質感で、ポケットの裏地がメッシュになっているため、水陸両用で着回せるんですよ。
だからランニングでもOK。左のサイドポケットはスナップ留めになっているので、落としたらマズいものはこちらへ。セキュリティ面も安心です」。
ほかにはパタゴニアやザ・ノース・フェイスなど、アウトドアブランドのランニングウェアもお気に入りとのこと。最近は、トレイルランや公園の舗装されていない路面を走ることもある。そういうときはトレイルラン用のシューズに足を入れる。

「ナイキのペガサストレイル2はお気に入りの一足。
ずっと山道を走り続けるということもないので、これくらいがちょうどいい。カラーリングも好みです。これも最初はブラックを購入しかけたのですが、コーディネイト全体のバランスを考えてこの色にしました」。
確かに、自然豊かなシチュエーションではこれくらい派手なカラーのほうが見栄えがする。一方で純粋なロードランでもエアズームペガサスを愛用。
こちらはオールブラックをセレクトした。今年で41歳と世代的にはジョーダンど真ん中で、「そのときからナイキ党なんです」とは本人談。
梅雨だからこそ、気分のアガるモノ選びを
世代といえばもうひとつ、かのGショックブームも通過している一柳さん。そのGショックから、ランニングで使える機能を盛り込んだスポーツラインが展開されていることを知っていただろうか。

「もともと雪山で滑るときもGショックを使っていて、転倒して斜面に打ちつけてもまったく動作に支障のないタフさを身に染みて感じています。言い換えれば雑に扱っても大丈夫で、そのうえ驚くほど軽いので、ランニングでも使い勝手がいいんです」。
デザイン性の高さから、普段着に合わせやすい点もお気に入りだ。それは今季新調したキャップも同じ。

「あくまで普段着用のアイテムですが、アクティブな用途にも対応できるようにと吸水速乾の素材を用いた6パネルのキャップです。個人的にはこういうシャレの利いたアイテムを身に着けていた方が、気分がアガります」。
それこそが一柳さん流ランニングコーディネイトのポイント。周りからどう見られるかではなく、自分自身のテンションが高まるかどうか。それがファッションであり、普段から心がけていることなのだ。

最後に、今のような梅雨時期ならではのアドバイスを聞いておこう。
「気を抜くと黒のアイテムばかりになってしまいがちなので、そうならないように。梅雨時期は尚更で、暗いイメージにならないよう明るめの色をチョイスします。その方が気分もアガりますよね」。
玄関を出るまでは面倒でも、ひとたび息を弾ませれば爽快感の高さは保証済み。
氏名:一柳 聡
年齢:40歳(1980年生まれ)
仕事:アパレルメーカー プレス
走る頻度:週5日(平日の朝)、約10km
記録:レースへの参加はとくになし
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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る
礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真