湘南・茅ヶ崎をベースにキャリアを育み、海外サーフトリップの経験も豊富なプロサーファーの湯川正人さん。

“サーフィンと防災”を掛け合わせた未来的プロジェクト・WATARI TRIPLE「C」 PROJECTの仕掛け人でもある湯川さんに、その拠点である仙台エリアの波のポテンシャルについて伺った。

 


湯川さんに聞く、仙台の波のポテンシャル

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防災インフラを土台に、スポーツ、テクノロジー、ヘルスケア、音楽、アート、食という6分野のコンテンツを展開し世界初の「防災カルチャー」作りを目指すWATARI TRIPLE「C」 PROJECT。その拠点はビーチサイド。

すぐ目の前には阿武隈川の河口にある「荒浜」と呼ばれるサーフスポットがある。メローな波が多く、ビギナーにも優しいスポットだ。

また車で30分ほど北上したところにあるのが「仙台新港」。普段は初級者から楽しめるが、本領を発揮したときにはエキスパートオンリーの波となる。

「いずれ日本サーフィンの中心地に」プロサーファー湯川正人さんに聞く仙台のポテンシャル
撮影は4月中旬。水温は低くグローブなどを含むフル装備でパドルアウト。けれど波は良く思わず笑みが。

「仙台新港の波はプロサーファーにとってもトップクラスのクオリティだと思います。台風スウェルなどで、ダブルと呼ばれる身長の2倍以上のサイズになるとサーフィンができなくなるビーチが多いのですが、仙台新港は3m近いサイズになってもきれいにブレイクするクオリティがあります。まさに日本を代表する波なんです」。

さらに入り組んだ海岸線には未開拓の波が潜んでいるのではないかと期待する。

「これからスタートするWATARI TRIPLE『C』 PROJECTをきっかけに宮城を訪れ、長く滞在していくプロサーファーが増えると思いますが、滞在すればそれだけエリアや波の知識が深まり、未知なる波を当てる可能性が高まります。Googleアースを見ながら波を探すような動きもして宮城の可能性を広げてもらえるとうれしいですね」。

「いずれ日本サーフィンの中心地に」プロサーファー湯川正人さんに聞く仙台のポテンシャル
良い波ながらサーファーはまばらだった仙台新港。広大なビーチは海外のような雰囲気を醸し出していた。

湯川さんは幼少期から知っている地元の方々にこのプロジェクトを報告すると、「地元で新しい盛り上がりを作ってくれてうれしい」という歓迎を受けたという。

昔からの問題であるローカルとビジターの関係性のあり方やサーフィンルールについても、このプロジェクトを通して、皆が気持ち良く海に入れる環境作りを地元の人たちとともに考案し、提案していきたいと語っていた。

「いずれ日本サーフィンの中心地に」プロサーファー湯川正人さんに聞く仙台のポテンシャル
東北新幹線で東京から1時間半。仙台駅に着くとその足で海へ。快晴下のサーフセッションを楽しんだ。

「地元のサーファーの協力も得て、仙台が日本サーフィンの中心地になっていくプロジェクトにしていきたいですね。子供をプロサーファーにしたいから家族で仙台へ移住しようといった動きが出てくるように、みんなで楽しみながら、まさしく新しいカルチャーをつくっていきたいです」。

そう、サーフィンは楽しむスポーツ。まずはその原点を広く伝えていきたいと考えている。

[Profile]
プロサーファー 湯川正人さん Age 29
東京都出身、神奈川県茅ヶ崎市育ち。17歳でISA U-18日本代表に選出。プロ資格取得後も試合には出場せずに波を追うフリーサーファーとして活動。プロサーファーを軸にファッションブランド「メイソン・メイズ」や、クリエイティブレーベル「GODPANIC」を手掛ける。

PEDRO GOMES、熊野淳司、高橋賢勇、清水健吾、鈴木泰之、柏田テツヲ=写真 小山内 隆、高橋 淳、大関祐詞=編集・文 加瀬友重、菅 明美=文

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