「Running Up-Date」とは……
今、ランニング系SNSやYouTubeでちょっとした話題を呼んでいる、ナゾの超実力派ランナー集団「健ちゃん練」。一般市民ランナーによる仲間内での練習会ながら、走力もスタイルも兼ね備える魅力的なランナーが集まっている。
その理由はもちろん、主催メンバーの健ちゃんこと、松永健士さんのキャラクターにある。
サッカニーの名作シューズ、米国限定カラーをチョイス

前回お伝えしたとおり、松永さんはアパレル関係企業で辣腕を奮うバリバリのビジネスマン。普段着からお洒落であり、当然のごとくランニングスタイルにも一家言ある。
「色の好き嫌いは特にありませんが、コーディネイトで意識しているのは、『上が派手なら下はシンプルにする』など、全体のバランスを取ること。
今日はシューズがインパクトのある明るい色なので、ウェアはグレー系でまとめました。トップスにはあえて、ファッションブランドのアイテムを羽織っています」。
シューズは昨年のリリース以来、ランナーから“名作”と評されることの多いサッカニーの「エンドルフィンスピード」。
ソールユニットにプレートを内蔵した、いわゆる厚底系のモデルだが、プレートの素材がトップアスリート向けのカーボンではなく、半硬式のナイロンとなっている。

「ミッドソールのクッショニングは柔らかめですが、自分が踏んだ分、しっかり跳ね返ってくる感覚がナイロンプレート内蔵ならでは。
より硬いカーボン素材のプレートであれば、良くも悪くもシューズに走らされちゃうようなところがあるので、日常のトレーニングであればこっちのほうがいいんです。
質の高いジョグをしたいときや、中強度くらいまでのポイント練習であれば十分に対応してくれます。何より、安定した良いフォームで走れますから」。
足を入れたときに包まれるようなイメージがあり、フィット感も頼もしい、とのこと。
「カジュアルなスタイルなのに速い」をモチベーションに
トップスはイギリスのスケートボードブランド、パレス スケートボードのウインドブレーカー。さすがアパレル業界人、目の付けどころがひと味違う。

「これは機能性というよりも、デザイン優先で(笑)。以前ニューヨークに出張した際、マーケットリサーチ中に見つけて、ランニングかゴルフに使えそうだなと、思わず手に取りました。以来愛用しています。
自分は格闘技やトライアスロンをやっていたことがあるので、上半身が肉厚なんです。一方で下半身はひざ下が細い体型。だからボトムスに関しては、ひざからのラインがきれいに見えるテーパード系のパンツを選ぶようにしています」。
その点、ルルレモンのサージジョガーパンツは打ってつけ。

「テーパード具合が絶妙で、しっかりスマートに見せられるので気に入っています。それから腰裏に設けられたポケットの出来が抜群です。
ウエスト部分の着圧を活かしつつ押さえるので、スマホを入れても全然揺れません。色違い、柄違いで揃えたいなと思っています」と、気に入ったモノをとことん愛するのが松永さん流なのだ。

ショーツに関してはMMA(マウンテンマーシャルアーツ)のものばかり。
「デザインや柄に遊びが効いていて、単体で見るとやんちゃな印象なんですけど、無地のTシャツを合わせてみると大人っぽい雰囲気に様変わりするんですよ。だから上下ともMMAのアイテムにはせず、ショーツのみMMA、という日が多いです。
レースもポイント練習もこれで走ります。レーシーでない、カジュアルテイストのウェアなのに速く走れると、何だか格好いいじゃないですか。不良だけど頭がいい、みたいな(笑)」。
シューズを引き立てる、グッドデザインのソックス
リピート癖はほかのアイテムでも。特に小物類は、各ジャンルでお気に入りが決まっているそう。

「ランニング用のソックスは、全部『フィーチャーズ』というブランドのものです。スポーツソックスの分野ではアメリカを代表するリーディングカンパニーで、日本人では選ばないようなカラーリングが特徴。単体だと派手に見えますが、不思議とシューズのデザインを際立たせてくれるんです。
それからこれもアメリカらしい点ですが、作りがとってもタフ。

スポーツ用のサングラスもいろいろと試してきたが、オークリーに落ち着いたそう。
「フロッグスキンが一番自分の顔に合うような気がしています。掛けたときに眉毛がしっかり隠れるシェイプがしっくりくる。度入りにして、なおかつレンズカラー別で何本か揃えているので、気象条件などに応じて使い分けています」。

毎朝のルーティンである運動時に欠かせないのがキャップだ。
「前日にどれだけ飲んだとしても、朝起きて必ず走るようにしているのですが、そのときに欠かせないのがこのキャップ。
麻のような質感の化繊素材なんですが、通気性と汗抜けが抜群でムレ蒸れ知らず。これで起き抜けの髪をまとめて、フロッグスキンを掛けて玄関を飛び出しています」。
コーディネイトの際、迷わず手に取れる“マイ定番アイテム”が決まっていると、ランニングを毎朝のルーティンにしやすい。
アイテム以外でも、トレーニング前後にはアミノ酸系のサプリメントを欠かさないとか、脂質代謝優位の体質へシフトさせるために毎晩MCTオイル入りコーヒーを飲むことなども習慣にしているそう。
ランニングを無理なく習慣づけて楽しむために、自分なりの定番アイテムを見つけることから始めてみるのもアリだろう。

氏名:松永健士
年齢:38歳(1983年生まれ)
仕事:アパレル関連 本部長
走る頻度:毎日。月間走行距離で300kmほど
記録:フルマラソン2時間46分(2021年、なにわ淀川マラソン)
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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る
礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真