初心者や子供も楽しめて、世界一登山者数が多いといわれる高尾山。麓の参道には蕎麦店が並び、駅に隣接の温泉もできたが、高尾山は基本的に“日帰り”の山として知られている。
都心から1時間弱というアクセスの良さも魅力だが、あえて宿泊したくなる理由ができた。
最寄駅である高尾山口駅から徒歩1分のところに体験型ホテル「タカオネ」がオープンしたのだ。
実はここ、もとはラブホテルだったホテルを京王電鉄とR.projectがリノベーションし、再び命を吹き込んだのである。
7月中旬にオープンしてから、夏休み中は連日満室と大賑わい。旅行も行きにくい今、家族連れも満足できる新たな観光スポットとなったようだ。

タカオネは、高尾山に登る人も登らない人もアクティブに過ごせるサービスがたくさん。
レセプションの横にあるストアにずらっと並ぶのは、スイスの新鋭ブランド「On(オン)」のランニングシューズ。宿泊者には無料でレンタルしているので、仕事後や休憩中でもトレランや登山へ行けるし、これを機にオンの履き心地を体験できるのもうれしい。

受付の奥にはシャワールームも付いており、日帰り客も有料で利用できるので、アクティビティの拠点にぴったり。
ストアにはほかにもアウトドアアイテムが並んでいるが、これらはすべてユーズド品。小物から登山靴、ストーブなどのギアがかなりのお手頃価格で販売されていて、早くも話題となっているようだ。

ほかにもオリジナルのアイテムや、行動食にもなるナッツの量り売り、地元・八王子のメーカーやクラフト作家による作品など、タカオネならではのラインナップが充実している。

地元のクラフト作家のワークショップや、トレイルランナーによるオーダーメイドツアーなども体験できるので、天候に恵まれなかった日は思い切ってコチラに予定を変更するのも手だ。
駅から徒歩1分で焚き火ができる?
1階にある「キッチン」と呼ばれるカフェ&ダイニングでは、八王子産の食材や高尾ビールなども(現在は提供中止)味わえる。
ダイニングからは中庭が見渡せるが、夜になるとここがタカオネの目玉スポットに早変わり。中庭にピラミッドのように積まれているのは、近隣から仕入れている薪である。そう、ここは……

なんと、駅前に立地しているにも関わらず、中庭で手軽に焚き火が楽しめるのだ。しかも宿泊者はタダ。こんな日は日没が待ち遠しくなる。
「せっかくなら皆さんにやってもらいたいので、サービスに付けました。皆さん結構しっぽりやってますね。ご近所の方がひとりでぷらっと焚き火しに来たりもします」。
そう話すのは、タカオネのマネージャー。

ウォークインの場合でも800円で薪1束のセットで焚き火ができる。キャッシュオンでとうもろこしやドリンクなど簡易メニューも用意されているが、隣の「キッチン」で腹ごしらえをしてから焚き火をするのが良さそうだ。
屋上で風呂が楽しめる部屋も
客室はスタンダード、スーペリア、テラスルームと選べるが、どの部屋も共通しているのが布団が敷けること。つまり、1部屋の定員が多く、大家族やグループでの宿泊ができるのだ。
というのも、タカオネは研修施設として団体も受け入れているため、2階には大人数収容のホールやラウンジなど、研修や合宿に使えるスペースも完備。スペースを有効活用するため、椅子やテーブルは壁に立て掛けるスタイルを採用した。

ちなみに、最上階である5階にはルーフトップバスルームという唯一の部屋がある。その名の通り、屋上に張り出してユニットバスがついている、ユニークなレイアウトの部屋だ。


こんなスペシャル仕様ができるのも、元ラブホの為せる技。外は山なので、カップルもファミリーも人目を気にせず仲睦まじい時間を過ごせそうだ。
テレワークや多拠点暮らしにも
今ならデイユースのテレワークプランもオススメしたい。1日1500円で、中庭、ラウンジ、ホール、ルーフトップと、あらゆる場所でWi-Fiも利用できる。
飲食物の持ち込みやオンライン会議なども可能で、ラウンジやホールは平日は驚くほど静かな空間だ。

そしてタカオネは全国の多居住拠点のコミュニティ、「リビングエニウェアコモンズ(LAC)」とも連携している。
今のところ東京都唯一のLAC拠点でもあるので、これを機に、高尾に滞在してみるのも良さそうだ。

過ごし方は自由だが、あえて泊まることで高尾を2倍味わえるということは断言できる。夜の虫の合唱や、ご来光ハイクなど、日帰りでは味わえない魅力が高尾には溢れているのだ。
遠くへ行きづらいからこそ近場で少し特別な時間を過ごす。キャンプもいいけどたまにはこんなホテルも全然ありである。
[施設詳細]
タカオネ
住所:東京都八王子市高尾町2264
電話:03-6632-2163(団体予約の方)
2名1室利用時7000円~(1名あたり)
https://takaone.jp/hotel