平山祐介さんも愛用するBMWのバイク。創業当時から採用される水平対向エンジンはその象徴だ。
しかし、BMWは最近になって立て続けに電動バイクを発表。
伝統の水平対向エンジンをついにやめる!? デザインも新機軸!? 狙いは!? 今後のBMWのバイクを占う3台をチェック!
■コンセプトモデル CE 02
自ら「BMW Motorrad(=BMWの二輪部門)らしいところはほとんどない」と言い切るコンパクトな「CE 02」。
モーターで動く電動バイクなのだが、同社は「モーターサイクルでもスクーターでもない」とする。そんな回りくどいいい方をする狙いは、これまでバイクに乗ったことのない若年層の獲得のようだ。
最大航続距離は90kmだから長距離には向かない。最高速度は90km/hで、あくまでも街乗り用の電動バイク。足を前に投げ出すような姿勢と、後ろのフットレストに足を乗せる姿勢の2通りで運転できる。
さらに足元に自分のスケートボードを差し込んでフットレスト代わりにすることも可能だという。

これをスケートボードのように、ステッカーやテープで独自にカスタマイズを楽しんでほしいと同社は言う。
確かにバイク人口は減少しているから、こうした若年層向けの電動バイクはBMWにとっても今後必要になるだろう。

しかし、ビーチクルーザーのような見た目にスケボーフットレスト、そして街乗りが気軽にできるスペックとあれば、横乗り好きなオッサン世代にも十分刺さるバイクじゃないだろうか。
■CE 04

上記CE 02はまだコンセプトモデルだが、2017年の「Concept Link」から開発が続けられ、ついに2022年にヨーロッパで市販化予定なのが「CE 04」だ。
本国では1万1990ユーロ(約154万円)というプライスが掲げられている。

同社のスクーターだけでなく、ほかのどのスクーターとも異なるスタイルのCE 04。
最高速度は120km/hで最大航続距離は130kmと、長距離ツーリングには向かないが、通勤や普段用には十分使える都市型電動スクーターだ。
現行の同社のスクーターと比べて見ると、例えばC400GTの35N・mより大きな60N・mというトルクを発揮。だから出だしから一気に加速でき、0-50km/hがわずか2.6秒しかかからない。

エンジン車と比べ電動車はパーツが減るためだろう、ヘルメットを足元の照明付き収納スペースにしまえる。だから座ったままヘルメットを出し入れすることが可能。
走行モードをエコ/レイン/ロードの3モードから選べ、力強い走りを楽しめる「ダイナミックモード」もオプションで用意されている。

未来的なデザインに機能、そして“駆けぬける喜び”まで加味されたこのCE 04、実はすでに日本の公式HPにも掲載されている。
まだ日本での価格や発売時期こそ公表されていないが、このまったく新しいBMW、もしや日本にもカミングスーン!?
■コンセプトモデル Vision AMBY

「Vision AMBY」は同社が「自転車とバイクの間のまったく新しいコンセプト」で開発したコンセプトバイク。
以前紹介した「i」のつく「i Vision AMBY」と双璧をなすモデルで、「i~」と同じく走行する道路の法律に従い、最高25km/h/最高45km/h/最高速度60km/hの3モードから選んで走行できる。
一方「i~」と比べて、こちらにはペダルがなく、すべてスロットルグリップで加速する。

サドルやタイヤに再生プラスチックを用いるなど、サステイナブルな思想で作られているのもVision AMBYの特徴。
専用開発されたアプリによって、ライダーのスマートフォンがキーの役割を果たすという。
さらにタイヤ圧モニター機能や衝突被害軽減ブレーキといった、先進安全運転支援機能の可能性も検討しているという。

Vision AMBYはまだコンセプトカーの域を出ないが、ここで提案されているアイデアは、いずれエンジン車やほかの電動バイクに活かされるはずだ。
既存の路線に甘んじることなく、次世代のニーズに沿った新たなコンセプトでブランドのセンスを遺憾なく発揮するBMWの電動バイク。
その先には何が待っているのか。少なくとも同社は「本当に楽しくて冒険的なものである必要がある」と言っているから、それを信じて日本発売を待とう!
籠島康弘=文