どうやらアメリカでは今、ワイルドなオフロードモデルがトレンドらしい。

全米で最も売れるピックアップトラックでも、圧倒的な積載量だけでなく、走破性まで備えたゴツい最新モデルが続々登場している。

その代表選手を見ていこう。


■フォード F-150 ラプター

ピックアップトラックのマッスル化を最初に仕掛けたと言われるのはフォードだ。

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10年以上前の2010年に砂漠のレース「バハ1000」に向けて「ラプター」を開発。ベースに選ばれたのは全米セールスナンバーワンを誇る同社のF-150で、以降連綿とラインナップに加えてきた。

ロマンの塊みたいな、デカくて走れる最新アメ車をピックアップ
岩場を走行する際は、操作が簡単になるように、アクセルペダルだけで前進・停止が可能。ドライバーはステアリング操作に集中できる。

そして2020年にフルモデルチェンジしたF-150を用いて、第3世代となる新型のラプターもデビュー。

最新の電子制御技術によって、灼熱の砂漠レースに耐えうる足回りをさらに進化させ、V6 3.5Lツインターボエンジンが搭載された。

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インテリアは高級スポーツカーなみ。また音声による操作が可能で、12インチタッチパネルにはオフロード走行に関するさまざまな情報を表示できる。高級オーディオシステムも用意される。

最高出力&最大トルクは現状未公表だが、同エンジンは第2世代でも採用されていて、そのときの最高出力は450ps、最大トルクは691N・mだから、同等以上の性能だと思われる。これに10速ATが組み合わされた。

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通常のF-150(写真)に対し、ラプターは専用サスペンション等の装着により、最低地上高は35インチタイヤ装着で12インチ(約305mm)、37インチタイヤの場合13.1インチ(約333mm)。

さらに、よりハイパフォーマンスな「ラプターR」も来年には登場すると予告されている。

最近になって現れたライバルたちに対抗し、より大排気量の、マスタングシェルビーGT500に積まれているV8 5.2Lエンジンを積むのでは?という噂も。

マッスル化競争によって、さらにゴツいラプターが見られそうだ。


■ラム ラム1500 TRX

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ラム1500 TRX。同社自ら「仕立ての良いタキシードを着た総合格闘技ファイター」と評するエクステリアデザイン。走行モードはオンロード用に5種類、オフロード用に3種類用意されている。

ビッグ3の一角であるラムからも、ついに今年ゴツいピックアップがデビュー。F-150ラプターを追撃すべく、2021年モデルのラム1500に「TRX」なるモデルが追加された。

砂漠のオフロードレーシングマシンを参考に新開発された専用の足回りを装備したり、35インチのマッドテレインタイヤをベース車に押し込むために、前輪の車軸を20mm移動させるなど、かなりの熱の入れようだ。

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渡河深度は32インチ(約813mm)。ジャンプ検知機能があり、ジャンプしていると車が検知すると、着地後すぐに最適なパフォーマンスが発揮できるようエンジンの回転数等さまざまな機能が調整される。

さらにアリゾナの灼熱の砂漠から、ミネソタ北部の極寒地、コロラドの海抜数千メートルの高地まで、アメリカの過酷な自然下での走行テストを繰り返し、同社最強のピックアップトラックを作りあげた。

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インテリアはクロス&ビニール、レザー&スエード、レッド&カーボンファイバーアクセント付きのレザー&スエード(写真)の3種類から選べる。もちろん12インチタッチスクリーンや高級オーディオシステムが備わる。

エンジンはライバルより強力な、最高出力702ps/最大トルク650lb-ft(約881N・m)を発揮するV8 6.2Lエンジンを採用。

さらに砂埃をエンジンが吸い込まないよう新開発された吸気システムを備え、これに8速ATが組み合わされた。

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通常のラム1500(写真)に対して2インチ(約5cm)車高が上げられ、ボディ幅は8インチ(約20cm)拡幅されている。

0-60マイル/h(約97km/h)加速は4.5秒で、ステアリングにはパドルシフトまで備えるなど、ピックアップトラックというより、こりゃもう砂漠のスポーツカーだ。


■シボレー シルバラードZR2

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シルバラードZR2は、エンジンに空気を送るボンネット上のエアインテーク周りがブラックフードで覆われる。タイヤサイズは33インチ。

ビッグ3最後の一角、シボレーのシルバラードもついに2022年、ゴツいピックアップ「シルバラードZR2」を販売すると発表した。

弟分であるコロラドには既にZR2モデルが販売されているが、いよいよ本丸のフルサイズピックアップでも、ということのようだ。

シルバラードZR2も専用の足回りを備え、オフロードレースでその性能を実証。最高出力420ps/最大トルク460lb-ft(約623N・m)を発揮する6.2Lエンジンを搭載し、10速ATが組み合わさる。

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13.4インチのタッチパネルを装備。音声コントロール機能にはGoogle製が採用されていて、話しかけてから電話やメール、音楽をかけたりエアコンも操作できる。

オフロードレースからのフィードバックにより、バンパーは石などで壊れた際に、簡単に取り替えられるようになっている。また排気口もリアバンパーより引っ込めることで、オフロード走行によるダメージの軽減が図られた。

そのほかライバルのF-150ラプター同様、岩場の走行時にアクセルペダルだけで前進・停止ができるオフロード走行モードを備えている。

現時点ではまだこれ以上の詳細は発表されていないが、ノーマルのシルバラード同様のインテリアや、ハンズフリー機能を含めた先進安全運転機能、快適機能などを装備すると思われる。

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ノーマルのシルバラード(写真)と比べて最低地上高が上がり、全高はノーマルに対して約8cm高い。

このようにアメリカでは今、低めのスポーツクーペよりも、岩山も砂漠も走れるゴツいスポーツピックアップが人気のよう。

「そんな道走らない」とか「デカすぎる」じゃなくて、このロマンとワクワクを、Don’t think! Feel。

 

籠島康弘=文

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