最近、既存モデルのオーバーランダー仕様車が多く登場している。
毎年アメリカで開催されるカスタマイズカーのイベント「SEMAショー」でも、日本メーカーのオーバーランダー仕様車が多数展示されていた。
■トヨタ
タコマ・オーバーランディング・コンセプト

トヨタと、オーバーランダーの製作に長けたクルーザー・アウトフィッターズ社が開発したのが、「タコマ・オーバーランディング・コンセプト」。
ベースにタコマの標準グレードであるSR5を選んだり、ARBやヤキマなど有名メーカーのパーツを多用するなど、ガチンコの冒険家ではなく、週末冒険者たちが手の届く価格や性能にしようというコンセプトなんだとか。

もちろん週末のオーバーランディングを思い切り満喫できるよう、さまざまなアイテムが荷台に備わっている。
ARB製の引き出し式ドロワーキットや冷蔵庫に十分な食料を積んでいけるし、荷台上のベッドラックシステムに備えられたヤキマ製テントでどこでも快眠できる。備え付けのマックストラックのハイリフトジャッキがあれば、がっつりスタックしても脱出可能だ。

アメリカではフルサイズピックアップのタコマがいいんだろうけど、日本のハイラックスにも同様のオーバーランダー仕様が発売されればウケるはず!?
■日産
プロジェクト・オーバーランダー・パスファインダー

SUVの名車、日産「テラノ」が祖先のパスファインダー。これをベースにSEMAショーでお披露目された「プロジェクト・オーバーランダー・パスファインダー」も、上記タコマ同様、誰でもすぐに同様のカスタマイズができるモデルとして開発された。
しかもこっちはパーツの販売予定もある。そのパーツを使えば自分のパスファインダーを簡単にオーバーランダーに仕上げることができますよ、というわけだ。

まずオーバーランディング性能を向上させるために足元に備えられたのは、NISMOオフロードによるプロトタイプの2インチリフトキットやホイール。
NISMOは日産のモータースポーツ部門で、北米での日産のラリー競技を支えている。それゆえ、オーバーランディングのためのパーツ開発はお手の物なのだ。
そしてこれらNISMO製の各種パーツの多くは、2022年初頭からディーラーやオンラインショップで購入できるとしている。
さらに夜間走行中の足元を照らしてくれる、フロントバンパーに組み込まれたグリッド製の4インチDシリーズライトや、背面タイヤを支えるRIGd製のウルトラスイングといった既製品も装着。

これならカスタムショップに持ち込んですぐにでも装着可能!? サイズ感はトヨタ「ランドクルーザー」なみだから、そっくりそのまま真似するのもアリだ。
■日産
プロジェクト・オーバーランダー・フロンティア

日産のフルサイズピックアップ、フロンティアをベースにした「プロジェクト・オーバーランダー・フロンティア」も、「簡単にオーバーランダーに仕上げられますよ」な一台だ。
足回りはNISMOオフロードのパフォーマンスサスペンションキットをはじめ、いくつものNISMO製パーツが採用され、悪路走破性が向上されている。
またライトの組み込まれたゴツいバンパーや、テントを展開できるベッドラックもNISMO製。

一方荷台には、TruckVault製のドロワーシステムにARB製の冷蔵庫や、万一のパンクの際にも便利なARB製エアコンプレッサーなどが備わる。
そのほかガーミン製の全地形対応GPSシステムや、ポータブルバッテリー、ソーラーパネルなども搭載。こちらも上記パスファインダー同様、NISMO製の各種パーツが2022年初頭からディーラーやオンラインショップで購入できる。

タコマ同様、日本では少々手こずりそうなサイズだけに国内導入は難しいかもしれないが、愛車のオーバーランダー化のヒントがたっぷり詰まっている一台だ。
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北米で話題のカスタムオーバーランダー。こんな車たちがやって来たら、日本でもオーバーランディング・ブームが起こること間違いなしだろう。
籠島康弘=文