Motorcycle Update▶︎バイクのある人生は素敵だ。お気に入りの一台に跨って、家を出るワクワク感。
■丸山浩史さん(46歳)
マルヤマヒロシ。日産自動車株式会社の商品利益原価管理室でミニバンを担当。休日はほぼ、バイクで高速道路を使ったツーリングに費やすほどのバイク好き。
昔からのカワサキ党で、好きなジャンルはビッグツアラー。神奈川県で夫婦ふたり暮らし。
■スズキ・ハヤブサ(2021年モデル)

’90年代後半、カワサキ・ZZ-R1100やホンダ・CBR1100XXスーパーブラックバードらが市販車最速を競っていた頃、’99年に登場した初代GSX1300Rハヤブサはオーバー300km/hを軽々とマークして大きな話題となった。
空気抵抗低減のためのエアロフォルムボディは、13年ぶりのモデルチェンジを果たした3代目の2021年モデルにも継承。
スーパースポーツであるGSX-Rをルーツにもつ高い運動性能と、進化した電子制御システムによって、アルティメット・スポーツバイク(究極のスポーツバイク)とも呼ばれる。

■最初に憧れたのも乗ったのもカワサキで……
「高校生の頃はスポーツ自転車にハマっていましたが、本屋で何気なく手に取ったバイク誌にカワサキ・ZZ-R1100が載っていて、『格好良いなぁ……』と思ったのが私のバイクライフの始まりです」。

大学に入学してアルバイトに勤しみ、18歳で中型自動二輪免許を取得した丸山さん。最初に購入したバイクは、“あのとき”見たZZ-R1100の流れを汲む、中型バイクのカワサキ・ZZR400だった。
ZZR400から約10台ものオンロードバイクに乗り継ぎ、途中一度だけトライアルバイクも所有していたこともあるが、まったく性に合わないと感じてすぐに手放してしまう。
そして丸山さんのバイクヒストリーを紡ぐ大型バイクの1台目は、かつて本屋で見たあのZZ-R1100だった。

「そう、ずっと憧れだったバイクでとても気に入っていましたが、1100に乗るとその上のクラスにも興味が湧いてきて、同じくカワサキの2002年式ZX-12Rに乗り換えました」。
丸山さんも当時のビッグバイク乗りと同様に、速いバイクに憧れがあったようで、ZX-12Rも数年連れ添うことになるが、そのあと、またもカワサキの1400GTRに乗り換えたという。

■「どんどん乗り換える」というバイク愛
「2台以上の面倒を見るのは大変だけど、乗りたいバイクはたくさんある。だから、1台の新車に3年乗るか、走行4万km以内を目安にどんどん乗り換えています」。
丸山さんのバイクの楽しみ方はもっぱらツーリングだ。そういった楽しみ方だと、3年後にはほぼ4万km走行に達してしまう。「3年もしくは4万km以内のほぼツーリングでしか使っていないバイク」なら、消耗度合いも比較的低く、次に売るときに有利なのだ。
ビッグツアラーを高速道路使用のツーリングで使うので、消耗品のタイヤだけはどんどん交換していくと言うが、なるほど理にかなっている。

そんな乗り換えスタイルを貫き、1400GTRの後も程度の良いまま乗り換えを繰り返して、最近までカワサキの超ハイパフォーマンスバイクH2のツアラーモデル「H2SX SE+」でツーリングを楽しんでいた。
またしてもカワサキである。

「初めて乗ったカワサキがとても格好良くて、以来ずっとカワサキ党なんです。
スズキのバイクに乗ったこともないのに、カワサキ党の私がああだこうだと言っていると、『乗ったこともないのに何を評論するんだ?』と友人に言われまして……」。
そんなわけで走行4万kmを迎えたカワサキ・H2SX SE+から、自身初めてのスズキ車、それも今最も話題のハヤブサに最近変わったばかり。

「購入してから2400km走りましたが、シートの座り心地がすごく良くて、ロングツーリングでもお尻がまったく痛くならないのは気に入りました。
排気量1339ccのエンジンならではのアメリカンマッスル的パワー感もイイですね。乗り心地の良さと、太いエンジントルクに任せてゆったりとクルージングするのがとても楽です」。
これまで北は北海道、南は鹿児島県佐多岬まで走った。昔はキャンプツーリングばかりだったが、今は宿泊まりのツーリングばかりという。
「宿泊まりにしてから荷物が圧倒的に減りました。“ミニマリスト”ってヤツです。それこそ、宿のランドリーを使えば、ハヤブサのリアに固定したシートバッグひとつで、1週間のツーリングでも大丈夫です」。

ただ、ロングツーリング時のハヤブサで、少し残念なことがあると言う。
「ハヤブサのタンク容量は20Lと少なくて400km走行にギリギリ足りない。ロングツーリングを走るバイクとして、1回あたりの給油で400kmは走ってほしいところですよね。
静岡とかにツーリングに行くと、価格の高いパーキングエリアのガソリンスタンドで最後の給油をしないといけないのが残念。
あと、前からの走行風を逃がしてくれるフロントスクリーンの高さが低くて、ヘルメットを被ったときにスクリーン端がちょうど目線にかかるんですよ」。

そう言いながらも、ハヤブサの流麗なルックスやその性能には大満足そうな笑顔だ。
「今はとにかくハヤブサに乗ってツーリングに行くことだけを楽しみに、毎日仕事を頑張っている感じです(笑)」。



ちなみに、ハヤブサに乗って3年後、もしくは4万kmを迎えたら?
「次に乗るバイクがガソリンエンジン最後となるのかな? 最後はすごろくで言う“アガリ!”のバイクとして例えられる究極のツアラー、BMW・K1600GTにぜひ乗りたいですね!」。
え? もう次のバイクが決まっているの!?

乗りたいバイクがたくさんあるから、新車を買って程度が良いうちにどんどん乗り換えていく。そして保有するのは1台のみ。
バイク愛のカタチは、それこそ十人十色なのだ。
山中基嘉=写真 今坂純也=取材・文