成田空港などの入国ロビーで外国人(番組では「YOU」と呼ぶ)に「YOUは何しに日本へ?」と聞き、その滞在中に密着ロケをするドキュメントバラエティ『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京)は、すべてアポなしのガチンコ取材が特徴で、それだけに先の読めない展開の数々が人気を呼んでいます。

しかし司会のバナナマン日村勇紀さんが、「こんなにスタッフが大変な番組はない」と語るほど、撮影はトラブルの連続。

密着を許してくれるYOUが少ないうえに、収録した内容がお蔵入りになることもザラで、YOUの北海道旅行に3日間かけて密着ロケをしたのに、どうしても面白くならず泣く泣く放送しなかったことまでありました。

現場をよく知るディレクターによると、「オンエアできるのは30分の1。ゴールデンで放送するには10組ほど必要なので、毎回300組以上は取材している計算になる」そう。当初は数回のパイロット版を経て、2013年1月9日に深夜の1時間番組としてスタートし、その人気ぶりからたった1クールでゴールデンに格上げになりましたが、放送時間が47分から84分に延びたため、スタッフからは口々に「絶対に無理だ!」との声があがったそうです(現在は63分)。

現在は3クルーが成田空港に張り付き、いくつかのチームが交替で平日はほぼ毎日取材を行なっています。予算の少ないテレビ東京だけに、撮影隊はディレクターにカメラマン、通訳の3人だけですが、これには、

「空港から突然に密着が始まるので、スタッフの人数が多いと対応できないのです。スピード感を失うとガチンコの良さがなくなってしまいますから」(番組プロデューサー)

という“メリット”があるそう。「手探りで交流していくことで、独特のライブ感が生まれ、見ているほうも番組にのめり込むことができる」ため、ディレクターも外国語が喋れない人がほとんどなのだそうだ。

◆ケトル VOL.22(2014年12月12日発売)

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