「自分が詞曲で関わらせていただいたものは、どれもチャレンジングでした。たとえばもともと1コーラスサイズが存在していた『白い部屋』という曲は、アルバムに入れるにあたって前口渉さんにフルサイズでアレンジしていただいたんですけど、2番からドラムがしっとり入ってきて広がっていくような感じになっていまして。
それを聴いたら、いわゆるA・B・サビ、A・B・サビ……みたいな構成とは全然違うイメージが膨らんで、『まったく違うメロディと歌詞にしたい』と思いまして。前口さんにもそれをお話して、まるっと変更していただいたり……こういったかたちで、アレンジャーさんとの掛け合いのなかでもともとあった部分が変わっていったことは、すごくたくさんありました」
タイトルをモチーフにしたさまざまな道の交差するイメージをジャケットに採用したニューアルバム。「JUNCTION」というタイトルは、アッパーチューンからバラードまで、多彩な曲が揃った今回のアルバムを表しているようだ。
「今回は、曲自体もいろんな道だと思っていて。カーブしてる道もあればストレートに進んでる道もあるし、戻ってる道もあるし……それがこの『JUNCTION』にたまたま重なった瞬間、みたいなものを意識したアルバムなんです。そしてその枠をさらにぐるっと包んでくれるような曲になればと思って最後に置いたのが、『温かな赦し』という曲で。直前の『新しい朝』でひとつ新しい明日を迎えたあとに、またそっとふわっと来てくれるものがあってアルバムが終わる……みたいな。そこで完成、というイメージでした」
この後4月から約3年ぶりのツアーが待っている早見。新作を引っさげて行なうライブはどのようなものになるのか?
「すでに舞台のセットや雰囲気についての話ははじめているんですが、スペシャルライブからのフィードバックも得たうえで、4月に向かえればと思っています。あと、新しいリリースをガッツリ考えているわけではないんですが、楽曲自体は常にいろんなものが手元にあるので、もし可能であればツアーでもまた新しい楽曲をお披露目できたらと思っていて。
歌唱力と表現力には定評のある早見だけに、素晴らしいライブが期待できそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.141(2018年12月21日発売/太田出版)