若林正恭 「決めてるわけじゃないですけど、あんまり丁寧に扱わないようにはしてるかもしれないですね。乱暴な言葉を使ったほうが、短時間で距離感が近くなることもあるので」
春日俊彰 「一般の方なので、『へー。大学生なの』みたいに普通に話して、口コミに書いてあることをやってもらって。芸能人とは違うので、笑いが起こるべきところで起こらなくても、焦って早口になったりする必要もないですし。くだらなかったら『くだらねえな、おい!』とか言って、一緒に遊ぶ感じですかね」
何気ない会話の中にも、しゃべりのプロのエッセンスが色々と詰め込まれているということ。「友達の友達みたいな距離感」(春日)、「ただただ楽しいことをする時間を作る感覚」(若林)と語る2人だが、相手は一般人ゆえに、番組作りのセオリーも自ずと変わってくるようだ。
若林 「冷たいですけど、一般の人は笑いは取れないと基本的に思っていて。だったら本人がしゃべりたいようにしゃべった本当の言葉のほうが、展開の余地があるというか。用意していない質問を投げることで、急にエンジンがかかったりすることはあるかもしれないですね。口コミと本人の印象が違う時も、本音が出やすいように仕向けたりもしてますね」
春日 「たしかに、ぜひらーの子が予想してなかった動きをすることで、想定外の面白いことが起きて跳ねるのは、この番組が狙いを決めていないからだとは思います。でも、いざという時のために、保険は用意しておいてほしい(笑)」
名古屋ローカルでスタートした番組は少しずつネット局を増やし、気づけば8年目。
若林 「8年もやると、なんかあんのかなー。MCとかやってる時には、粘り強くなったりしてるのかなあ。いろんなスイッチを探して、押して、反応を見てダメだったらまた違うスイッチを探して押す、みたいな」
春日 「隔週で名古屋に来て、一日で6人くらいの一般の人と絡むので、ロケで面白素人さんみたいな人にグイグイ来られても、焦らなくなってるかもしれないですね。素人さんに絡んでいく時の強さの加減もあんま間違えなくなりました」
一口に“芸人”といっても、コントや漫才が面白いのと、一般人を上手にいじれるのは全く別の才能。その両方ができる“二刀流”のオードリーが引っ張りだこなのは必然というしかないようだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.149(2020年4月25日発売/太田出版)