バラモン教とカースト制度、現代のインド社会でも根強く残る4つ...の画像はこちら >>

インド社会について考えるとき、カースト制度は切っても切れない関係にあります。現代の日本ではあまり馴染みのないカースト制度。

その起源はいつ、どのようにして創られていったのでしょうか?
2024年1月に発売された『図解でわかる 14歳から知るインド・中国の宗教と文化』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所/大角修・著)には、古代インドと古代中国について分かりやすくまとめられた記事が満載。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)

現代まで続く4つの身分

ヴェーダの神々を祀まつる宗教をバラモン教といいますが、バラモンとは祭りを行う司祭たちのことです。
バラモンはヴェーダ聖典を朗詠し、祭祀を独占的につかさどる階層になりました。かれらは出家の修行者ではなく結婚してバラモンの家系を受け継ぎました。

ヴェーダ聖典は、のちに「サンスクリット(清めの言葉)」とよばれる聖言語で語られ、一般の言語とは異なります。バラモンはその聖なる言語を操る者でした。

アーリア人たちはバラモンを人々の最上位におき、武力をもつ王族・戦士(クシャトリア)は第二順位の階層となりました。神々の権威と武力、すなわちバラモンとクシャトリアをもって人々を支配する社会をつくりあげ、人々を4つのヴァルナ(家系・血統)、すなわち四姓に大別し、先住の被征服民族は下位のヴァルナに置きました。

4つのヴァルナによる身分制度は、さらにジャーティ(生まれ)によって細分され、ジャーティによって職業が固定されるなどの身分制度が現代のインド社会でも根強く残っています。
それはインドの民族宗教として新たに発展したヒンドゥー教によって人類の始祖とされるマヌが定めた掟「マヌ法典」(紀元前2世紀~後2世紀に成立)においても、はっきりと4つのヴァルナが規定されていることが今も社会の根幹に置かれているためです。

なお、ヴァルナをカーストともいいますが、それは15世紀以後にインドに進出したポルトガルの言語で家柄を意味する「カスタ」から生まれた言葉です。

バラモン教とカースト制度、現代のインド社会でも根強く残る4つの身分

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本書では、世界史を創った2大文明の基礎である仏教/ヒンドゥー教/道教/儒教を古代までさかのぼり分かりやすくまとめています。「世界の宗教と文化」シリーズ第3弾『図解でわかる 14歳から知るキリスト教』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所/大角修・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。

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Credit: インフォビジュアル研究所 大角修

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