日用の便利グッズを相次いで発明し、七つの特許を取得した東海大相模中等部2年の嘉手納杏果(ももか)さん(14)=相模原市=が、海草のアマモを自然界より高い割合で発芽、成長させる養殖に成功した。この研究は「第82回全日本学生児童発明くふう展」(発明協会主催)の最高賞、恩賜記念賞に輝き、29日に表彰される。
沖縄出身の祖父・知俊さん(76)=同市=がいる杏果さんは「沖縄に貢献したかった。アマモを食べるジュゴンがもっと増えるような環境にしたい」と語った。(社会部・塩入雄一郎)
 杏果さんは幼い頃から、家ではいつも折り紙とテープ、はさみを使って工作をするような創作活動が大好きだった。「好き」から「発明」へ。小学生の時、磁石を使った「からまないハンガー」や、マスクを片手で服やバッグに留めて一時保管できるマグネットクリップなどを開発し、それぞれ特許を取得している。
 そんな杏果さんが今回取り組んだのがアマモの養殖。
「海のゆりかご」と呼ばれ、魚やエビ、カニの産卵場になるアマモが、環境破壊でどんどん減少している現状に危機感を持ったからだった。
 自然界では1%しか芽を出さないアマモの発芽割合を高めるため、種に漬ける栄養「発芽水」の発明に取り組んだ。炭酸水、リンゴ酢、バラ肥料を水に溶かしたものなど15種類の液体に漬け、発芽しやすい液体は何かを調べていった。
 最も効果があったのは、祖母が飲んでいた酢の健康ドリンク。アマモが発芽しない真夏に、これに漬けると最短18時間で芽を出した。温度差もつけて試すと、6日間で漬けた種の88%が発芽するという高い確率を出した。

 杏果さんは1年以上、この研究に費やしてきた。自室に水槽を置いてアマモを育て、遊びにも行かずに観察する日々を送り、夏休みも返上。「成功した時は、何度も発芽しててすごい成長も早かったのでびっくりした」。指導してくれた大学教授にすぐに連絡して報告したという。
 育てたアマモは3月、神奈川県内の海に初めて移植した。「一生懸命育ててきたので、やっと返せて本当に感動した」と話す。
養殖の成功に、知俊さんは泣いて喜んでくれたという。
 曽祖父の故・知通さんはペルーに移住してデパートを経営し、県人代表として大統領に面会したことがある。杏果さんも将来、曽祖父のように人の役に立つ仕事に就くのが夢だ。次の発明も、すでに頭の中にある。
便利グッズを相次いで発明 特許を7つ取得した中学2年生 海草...の画像はこちら >>