防衛省の2026年度予算の概算要求は過去最大の8兆8千億円となった。
 重視する分野として七つの柱を掲げる。
その中で敵基地攻撃能力を持つ長射程ミサイルの配備を加速。攻撃や偵察に使う無人機の大量配備に向け調達費を盛り込んだ。
 県内自衛隊の部隊増強や施設整備などいわゆる「南西シフト」の増強も際立つ内容となった。
 陸上自衛隊那覇駐屯地では、第15旅団の師団格上げに伴い普通科連隊を現在の一つから二つに増やすほか、攻撃機能を備えた装輪装甲車「16式機動戦闘車(MCV)」を県内で初めて配備する。
 これにより隊員数は現在の約2300人から、約1・7倍増の約3900人になるという。
 県内では22年の知念分屯地を皮切りに自衛隊の通信を防護したり、敵の通信機器を妨害したりする電子戦部隊の配備が進む。
 それが来年度中には石垣駐屯地にも配備されるほか、今回新たに与那国駐屯地への「対空電子戦部隊」の配備計画が判明した。
 今後導入される「24式対空電子戦装置」を使い、陸上から敵の航空機レーダーを妨害する部隊で全国初となる。熊本県の健軍駐屯地でも発足する予定だ。
 航空機を使った戦闘を有利にする役割を持ち、通常の電子戦部隊より実戦に即した部隊。27年度には那覇駐屯地に配備する方針もすでに示されている。
 電子領域での優勢確保は現代の防衛の要だ。
県内での配備強化は南西諸島周辺で軍事的圧力を強める中国をけん制する狙いがある。
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 与那国ではすでに配備されている電子戦部隊も増強される。将来的には地対空ミサイル配備の計画もある。
 部隊の増強は国境に近くなればなるほど、逆に周辺国との緊張を高めることにもつながりかねない。自衛隊のさらなる機能強化に懸念を抱く町民は多い。
 今月の町長選では配備増強に前向きな前職が敗れ、慎重姿勢を示す上地常夫町長が就任したばかり。上地町長は対空電子戦部隊の配備計画について「知らされていない」と述べた。
 この間、部隊や施設の新設計画については事前に説明もなく進められ、地元の反発を招いてきた。うるま市の陸自訓練場計画が白紙となったことは記憶に新しい。自衛隊の機能強化は地域の安全にも関わる。説明もなく痛みを強いることは許されない。
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 日本周辺の安全保障環境は厳しくなっている。
だからといって際限なく増強していい理由にはならない。
 沖縄関係経費は本年度当初予算から1・4%増の2102億円となった。一方、在沖海兵隊のグアム移転など米軍再編に関する経費は具体的な額の提示がない「事項要求」となっている。
 米軍基地の過重な負担がのしかかる県内では、さらなる負担増の懸念もある。野放図な増強は「専守防衛」の空洞化にもつながりかねず、認められない。
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