又吉さんは浦添市牧港出身。若い頃外国車販売の会社に勤め独学で電気を学んだ。その後、牧港で電器店を経営した。
約30年前、家の近所や農道でハブを頻繁に見かけ「よし、ハブとの戦いだ。捕獲してやる」と情熱に火が付いた。従来の捕獲器は四方からしかハブをおびき寄せることができないため、円盤状にしてどこからでも入れるよう約3年かけて改良。捕獲器は1996年に発明協会のコンクールで奨励賞を受賞した。
22年前、店を閉め妻の実家のある荻道に移住し農業に従事。農家から「畑にハブがおり怖い」「路地でハブを見た」との声が相次いだ。又吉さんは畑の数カ所に捕獲器を設置した。
捕獲場所と日時、気温、湿度、捕食された獲物など、2年近く観察し細かく記録した。
以前の円盤形はおとりのハツカネズミが成長すると身動きがとれなくなる欠点があった。新作の2号器は縦横50センチ、奥行き45センチのアルミ製で緑色の箱型。音、匂い、熱が捕獲を左右することもデータで知り、器の中に野鳥の羽ばたき音が出る素材を取り付けた。バッテリーで夜間に60秒間隔で羽ばたく音が出るよう工夫を凝らしている。ハブが入ったら赤く点滅する点滅器も設置した。
ただハブはハツカネズミをあまり捕食せず白色にも反応しないという。又吉さんは「ハブは白色を敬遠するのか?」と専門家の指導を仰ぎたいと話している。
公民館を訪れた村の行政相談員の比嘉洋子さん(75)は「アイデアと機器の素晴らしさに感服。できたら各自治会や畑に村役場が設置してほしい」と述べた。友人で共に農業をしている比嘉次雄さん(70)は「誰一人ハブ咬傷(こうしょう)被害が出ないように協力したい」と又吉さんに感謝した。